心不全治療薬の国内市場 30年にピークの1042億円 その後は後発品切替で市場縮小 富士経済
公開日時 2026/01/27 04:51
心不全治療薬の国内市場は2030年にピークを迎える――。このような市場予測を富士経済がまとめた。心不全を適応とするSGLT2阻害薬など6クラスの医薬品・開発品を対象とした市場規模は、23年の504億円が30年には1042億円へと倍増する見通しだ。しかし、その後は後発品への切替が進むことなどから市場は縮小に転じ、調査最終年の32年は948億円になると分析している。
調査対象の6クラス(薬剤)は、▽SGLT2阻害薬(フォシーガ、ジャディアンス、それらの後発品)、▽ARNI(エンレストとその後発品)、▽sGC刺激薬(ベリキューボ)、▽HCNチャネル遮断薬(コラランとその後発品)、▽MR拮抗薬(ケレンディア)、▽25年時点でP3の新薬候補品――となる。
同社の発表資料によると、心不全治療薬の国内市場は23年504億円、24年688億円、25年見込784億円、26年予測899億円――と右肩上がりの成長が続く。30年には1042億円に達してピークを迎えるが、32年には948億円まで縮小する予測となっている。
なお、27年~29年、及び31年の数値は非公表だが、富士経済は本誌に、「市場は30年にピークを迎える」と説明した。
◎標準治療の定着で拡大続くも、SGLT2阻害剤やARNIの特許切れが転換点に
心不全治療薬市場の現状及び今後の成長要因については、「標準治療薬の早期処方が学会やガイドラインでも明確に推奨されていることから、SGLT2阻害薬やARNIが市場をけん引している」と分析した。また、左室駆出率(LVEF)に基づく心不全患者の分類において、症状の改善がみられた区分「HFimpEF」が新たに設定されたとした上で、「LVEFの改善が認められても心不全の再増悪リスクありとして、治療継続が推奨される形となったことから、継続的な投薬が進み、今後も市場拡大が続く」と予測した。
一方、30年を境に市場が縮小に転じる要因については、「標準治療薬であるSGLT2阻害剤やARNIは30年前後に特許が切れ、ジェネリック医薬品の発売が予想される」ことを挙げた。同社は具体的な特許切れ製品を明らかにしていないが、SGLT2阻害薬ではフォシーガの慢性心不全適応が28年以降に特許切れするとされている。ARNIは現在、エンレストのみ承認・上市されているため、同薬の特許切れを指しているとみられる。