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【有識者検討会 1月26日 議論その2 バイオシミラーの問題についてディスカッション】

公開日時 2023/01/27 06:17
厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の8回目の会合が1月26日に開催された。この日は、長期収載品からのビジネスモデル転換を促す取り組みとバイオシミラーの問題についてディスカッションを行った。本誌は「議論その2」において、の問題について有識者検討会の構成員による議論の発言要旨を公開する。

遠藤座長:もう一つの大きなテーマとしてバイオシミラーが大変重要なわけだ。これをどうするのかの議論をいただきたい。いかがでしょうか?ご質問でも結構です。

坂巻構成員:前半のパートで少し話しが出てきたが、やはり一番の問題は国内でバイオシミラーが製造あるいは開発されてないということだ。日本国内の製造もさることながら、先発のイノベーティブなバイオ医薬品の特許が切れた後に、そのバイオシミラーを開発しようと意思決定して、自ら開発するという会社自体が非常に少ない。そこが大きな問題だ。結局この状況が続くと国内でバイオシミラーが開発されていないし、製造も非常に少ない。今後、多くのバイオ医薬品が特許切れた後も、バイオシミラーが日本で全然開発されないというような状況になってくる。

フィルグラスチムの例を紹介する。フィルグラスチムBSは一般名ベースで3製品あるが、既に3つの会社が撤退する状況になっている。なぜ撤退したのか各企業は理由を明らかにしていないが、いずれの企業とも自分の会社でバイオシミラーの開発・製造をしてない。つまり元の技術を持っている会社にロイヤリティを払うか、あるいはCMOを使っている。ただ、CMOを使えば使用料が発生しており、化学合成薬に比べると非常に原価が高いということがある。

一方で、バイオシミラーの売り方に関してはジェネリック品と同じような不健全な競争のもとで価格競争して値段がどんどん下がっている。バイオシミラーは化学合成薬ほど弾力性がないから、すぐに利益がなくなって撤退せざるを得ない。こういう市場でもあるわけだ。ですからバイオシミラーの使用促進をこれから議論しなきゃいけないが、その前に日本でバイオシミラーを安定的に開発する仕組みを作るのか。あるいは製造に関しても自前で製造するための製造設備をどうするのかを考えなければならない。

投資リスクが高いのであればCMO 、CDMOを使うことは重要だ。ただ、日本においてCMO、CDMOの実績が全くない。コストも高い。いくつかベンチャー的なところがバイオ医薬品のCMOに参入してきているが、そういったところで仮に製造しても、PMDAが承認しませんというようなことが起きてしまう。ですからCMOに関しては、例えば承認に関して何らかのインセンティブを取るとか、国内でCMOを使うための仕組み作りを考えるべきだ。極端に言えば国そのものがCMOを作り、運営するというようなことも考えてもいいだろう。産業政策に関し、今後どのようにバイオ医薬品の開発を促すかということについて議論を進めることが必要だと思う。

2番目にバイオシミラーの使用促進についての話だが、先ほどのジェネリックところで患者負担の話があったが、これも少し話に出てきているが、バイオシミラーが進まない理由は、その患者の負担が殆ど無いところや、モノによっては逆転現象、つまり先行品を使う方がむしろ安くなってしまうようなことがあるためだ。すでに議論されているが、バイオシミラーあるいはジェネリック品もそうだが高額薬剤等の患者負担のあり方について議論する必要があるのだろうと思う。

それから何よりもバイオシミラーに関して不信感があるというアンケート調査の結果が紹介された。私は国民の不信感の前に、バイオシミラーって何か? もっと言えばバイオ医薬品そのものについて国民の理解が乏しいのではないかと考えている。これは別の調査でも明らかになっている。バイオシミラーについて国がもっと普及啓発活動に力を入れる必要があるのではないか。正直にいうと、ジェネリック品に関しては厚労省のホームページで“ジェネリック医薬品とは?”という解説ページがある。しかし、バイオシミラーに関する解説ページはない。もっと厚労省がバイオシミラーの普及啓発に力を入れていくべきだろうと思う。私からは以上です。

遠藤座長:はい、ありがとうございます。バイオシミラーについて研究されておられますので非常に見識あるお話を最初に承ったと思う。他にいかがでございましょう。あるいは事務局からありますか。

安藤課長:まさに坂巻委員ご指摘の通りだと思う。製造の問題、それから高額薬剤への対応の話、さらに普及啓発と大きく3点のご指摘を頂いた。本日資料で示した通り、バイオシミラーについてどういう目標を設定するかを年度末までに決めることになっている。

当然のことながら目標だけ設定すれば自動的に達成するわけではないので、あわせてどういう対策を打っていくかが重要だ。有識者検討会での議論も踏まえながら、さらに実際に行うべき対策、特に国としてやはり力を入れるべきところについて、しっかりとまとめた上で、それも合わせて目標設定したい。その際に非常にご参考になるご意見だったと認識している。

遠藤座長:坂巻構成員お願いします

坂巻構成員:一点申し上げるのを忘れていた。前半でAGの話をしたが、バイオ医薬品についてもバイオジェネリックというものがある。先ほど安藤課長の方からAGについて定義がないという話があったが、バイオシミラーとバイオジェネリックに関しては、薬機法の区分できちんと定義できている。その上でバイオジェネリックの薬価はどうあるべきなのかぜひ議論していただきたい。現実にバイオジェネリックに関して1品目は薬価収載されていて、これも中医協で特例的な形で値段がついた。しかし、その後中医協で全く議論されていない。有識者検討会の方でバイオジェネリックの薬価のあり方について意見をまとめたいと思う。以上でございます。

遠藤座長:はいどうもありがとうございました。

安藤課長:AGにつきましては次回バイオAGも含めて、この場で検討いただきたい。その際にいまの指摘についても論点として提示させていただきたい。

遠藤座長:よろしくお願いします。他にいかがでしょう。芦田構成員お願します。

芦田構成員:発言の機会をいただきありがとうございます。バイオシミラーの普及促進において啓発活動がより必要だという坂巻構成員の意見に賛成します。本日の資料にも病院や診療所、保険薬局の意見としてバイオシミラーの品質、有効性、安全性に疑問があるという結果が示された。なぜ処方しないのかということなので、そういう意見が出てくるのかなという見方もあるが、それは病院などの理解不足が一つの要因ではないかなというふうに思っている。やはり厚生労働省をはじめとした啓発不足が要因としてあるのではないかと思う。

信頼性ということに関して言うとバイオシミラーを実際に開発して販売しているのは先発品メーカーだ。国内大手の製薬企業であったり、海外の大手企業が開発している。またバイオシミラーは治験を行った上で薬事承認を得ているので、いわゆる低分子の後発品とは承認までのプロセスが違うわけで、医療関係者や患者さんがどこまで理解されているのかということについてはちょっと疑問を感じるところだ。

バイオ医薬品はほぼ注射剤が多い。全てではないと思うが基本的には病院や診療所で投与されるものだと理解をしている。そうするとやはりバイオシミラーへの置き換えを促進するには患者さんへの啓発活動ももちろん重要だと思うが、それよりも医師や病院に対する啓発活動の方が重要ではないかと思う。

資料59ページのバイオ後続品に係る情報提供の評価ということで、点数がついている。この点数はいつついたのか? もう一つの質問だが、資料58ページのグラフがあるが、病院に対するインセンティブをつけたことの効果がまだ測れてないという理解でいいのか?以上です。

事務局:事務局でございます。一部確認させていただいているところでございますが、資料59ページに記載している加算は大きく三つあるが、外来腫瘍化学療法診療料と外来化学療法加算の2つについては令和4年度の診療報酬改定で導入された。一番上の在宅自己注射管理指導料につきましては以前の診療報酬改定で導入されたものだが、何時の導入かは確認をしている。いずれにしても前のものではございませんので、ご指摘いただいた通り、これら加算制度導入の効果につきましては現在もその効果につきましては確認をしているところだ。

芦田構成員:わかりました。そういう意味で点数加算されなったこと効果が今後現れてくることを期待しているという理解でよろしいのか? あと、もう一つ質問だが、例えば外来化学療法加算とか外来腫瘍化学療法診療料についても、新しいバイオシミラーが出てくるたびに品目として追加されていくという理解でよろしいか?

遠藤座長:事務局お願いします。

事務局:基本的にはそのような考え方で運用されていくものと理解しております。

芦田構成員:はい、ありがとうございます。

事務局;すいません追加でございます。先ほど確認中と申し上げました一番上の在宅自己注射管理指導料、こちらは令和2年度、一つ前の改定で導入された制度でした。失礼いたしました。

遠藤座長:ありがとうございます。坂巻構成員お願いします。

坂巻構成員:いまお答えのあった通りだ。その前のグラフに関して私が作りましたけども、2020年に関しては令和2年度のデータですので、在宅自己注射のところの影響が入っているということで理解いただければと思う。

遠藤座長:ありがとうございました。それでは菅原構成員お願いいたします。

菅原構成員:ありがとうございます。すでに前の発言と話がかぶる部分もあるが、やはりグローバルな開発条件を見るとバイオ医薬品の新薬に占める割合がどんどん増えてきている。一般論として値段が非常に高額なものが多いということで、この使い方をどのように考えていくことが非常に大事な問題だと認識をしている。先ほど説明もあったが、やはりバイオシミラー、バイオ後続品、あるいはバイオセイムと言っていいのかもしれないが、これまでより製造の投資コストがかさむ。しかも投資回収の見込みもなかなか小ロットでは立ちづらいという話になっている。そうすると多くの企業に参入を求める、あるいは促していくということは産業構造的にも産業政策的にもなかなか難しいのではないか。ある意味では初期投資が大きい場合には一般的な産業組織論で言うと、原価計算方式っていうのを逆に公正報酬率規制のような形である程度、参入企業を絞ってしまう。その中でコストがどれぐらい軽減していくかどうかというのが一つ大きなポイントになると思う。

バイオ産業の製造コストの問題はあまり表になっていないので、どれぐらいのロットで作ると確実に費用が低減するのか、あるいは範囲の経済性が働くのかをもう少し丁寧に検証して必要がある。そういうものがある程度働き、しかも投資コストがかなり大きいって話になってくると、繰り返しになるが、自由な参入を促すよりは、むしろ、そもそも作っているオリジナル企業のバイオセイムという形に集約してしまって、そこにある程度原価計算プラスαのような形でのリターンを返すというやり方もあるのではないか。

今日の話を聞いて、そういう考え方も一つあるのかなというふうに思った。いずれにしても、製造の費用構造に関する情報を少し掘り下げる必要があるのではないか。

それからもう一点、資料60頁のスライドに書いてある通りだが、そもそも多く使われる疾患でかなり高額になるもの、あるいは薬剤そのものの単価が高いものが多いので、当然高額療養費だとか公費負担医療なってしまうと、患者さんには切り替えるメリットがほとんど働かない。切り替えて助かるのは、財政負担の側で保険者だったり国全体の話になるわけなので、ここは患者さんに促すというよりは、先ほど芦田構成員から指摘があったが、医療従事者の方々にお願いをするか、あるいは行動そのものをガイドラインや規制で縛り、バイオシミラーやバイオセイムを基本的には使うという形でやる以外にはないのではないかというのが私の意見だ。

遠藤座長:はい、どうもありがとうございました。他にございますか。香取構成員お願いします。

香取構成員:冒頭の発言でも申し上げたが、いま菅原構成員が発言されたように、今までの低分子薬の世界における産業構造で考え、例えば安定供給を考えるとか、より低廉な価格で、速やかに参入して全体として薬剤費を下げてとうことにはならないのではないか。もちろんバイオは特殊な薬剤で公費負担や、特殊・特定の分野のものが多い。先々のことを考えるとバイオ分野でも低分子薬と同じ構造の問題が生じるだろう。

いま日本国内でバイオシミラーを作れるメーカーがない。あるいは能力がないのでそれを育てるという言い方もあるが、そう考えると、この話はこっちから考えるのでなくバイオ医薬品の研究開発や製造、CMOも含め、その体制をどうするかを先に考えないといけないのではないか。

バイオシミラーの値段をどうするとか、どうやって使用促進するかと言っても、所詮は今の段階のままだと輸入に頼るわけだ。そうするとたぶん価格がどうなるかってことも含めて海外市場で先発品と後発品がどうなっているかということに依存した形で価格体系を作りながら参入、導入していくっていう形になる。産業政策的な視点でバイオシミラーを作れるメーカーをどうやって国内で育てるか。そっちを先に議論しないと出口がない。すぐには物事が動かない気がする。以上です。

遠藤座長:ありがとうございます。国内の産業基盤を整えるべきだという産業政策的な議論をすべきということも一つの結論だと理解をしている。大変適切なご意見いただけたというふうに思っている。

堀構成員:バイオ医薬品産業を育てていくっていう視点と、バイオシミラーを育てていくということで、何が一番大きな違いなのかを教えていただけますか。

遠藤座長:それでは審議官お願いします。

城審議官:これを導入した時期に経済課にいたこともあり、私からお話することが良いかと思う。基本的には従来の化学合成品の製造とバイオの製造は根本的に技術が違う。当時、化学合成品で相当を稼げていたこともあり、バイオへの投資を国内製薬企業が始めた時期が出遅れた。こうした中で日本でもバイオ医薬品を製造できるような技術力を育てることをしっかりやるべきという話があった。その技術を育てることと、それを人に適応して実際に医薬品として開発できるかという両方を一緒にやることは相当難しい。なので、まずはバイオシミラーで製造技術を磨き、さらに技術を磨いてから新薬開発できるように育っていただくということを当時は考えていた。

堀構成員:ありがとうございます。ということはバイオシミラーが作れるようになると、将来的にバイオ医薬品もチャレンジできるようになっていくっていうことだと理解できました。

遠藤座長:他に何かございますか。坂巻構成員お願い致します

坂巻構成員:先ほどの長期収載品とかで言い忘れたのですが、この会議体の目的かどうかわからないのですが、医薬品のライフサイクルを長めに見た場合、長期収載品の中からさらにそのスイッチOTC化の議論も考えるべきではないかと思う。この会議体の議論から外れるかもしれませんけど、もう少し議論したいと思う。

遠藤座長:本日は活発なディスカッションどうもありがとうございました。事務局何かありますか。


事務局:次回の第9回検討会につきましては、2月15日に開催予定。詳細につきましては厚生労働省事務局よりメールにて連絡をさせていただく予定でございます。また本日の検討会の議事録は後日厚生労働省のウェブサイトに掲載予定としております。事務局からの連絡事項は以上でございます。

遠藤座長:はい、どうもありがとうございました。それではこれをもちまして本日の検討会終了させていただきたいと思います。どうも長時間ありがとうございました。

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