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アステラス製薬・岡村新社長 自律型組織で継続的にイノベーション生み出す カルチャー醸成に力

公開日時 2023/02/07 04:52
アステラス製薬は2月6日、岡村直樹代表取締役副社長を次期代表取締役社長CEOに昇格させるトップ人事を発表した。安川健司代表取締役社長CEOは代表取締役会長となる。4月1日付。岡村新社長は同日開いた記者会見で、イノベーションを継続的に生み出すためには、「失敗から学んで賢いリスクを取り、社員一人ひとりがリーダーシップを発揮し、アステラスで高みを目指すという企業文化を一層醸成していく必要がある」と力を込めた。同社の売上の4割を占める前立腺がん治療薬・イクスタンジのパテントクリフが迫る。こうしたなかで、自律型組織が新たなイノベーションを生み出すことで、パテントクリフを乗り越え、成長軌道を歩む姿を描いた。

◎「戦略的パートナー、ステークホルダー、患者の声に耳を傾け事業に反映」

「イノベーションをずっと見出していくためには、誰かからの指示を待っている、あるいはやり方が決まっている、お作法に従って決められたことをやっていくのではダメだ。一人ひとりがもっと自主的に色々なことを自分の頭で考え、必ずしも組織が同じではなくても、同じアステラスの仲間として協力し合っていく。アステラスは1人で事業を行っているわけではない。戦略的パートナー、ステークホルダー、そして何よりも大事な患者さんの言葉をお聞きし、それを事業に反映していく。そういう組織でありたい。自律的で、自分たちが一生懸命お互いに考えて、あまり指示が出なくても自分たちがどんどん物事を前に進めていく。そういう文化をより強く醸成できれば、ますます経営計画2021の目標達成に近づいていくのではないか」-。岡村新社長は会見で、こう熱く語った。

◎「イクスタンジ特許満了後の持続的な成長を盤石にすることが使命」

25年度を最終年度とする「経営戦略2021」では戦略目標、組織健全性目標、成果目標の3つの目標を掲げる。岡村新社長は、「大きな枠組みで捉えれば、戦略、組織健全性、それから成果の3つの目標として掲げた優先課題に変更はなく、基本的に従来の経営方針やビジネスの方向性を継続する」との考えを示した。ただし、「事業環境もプロジェクトの進捗も日々刻々変化している。原理原則は維持しつつも、柔軟に優先順位を組み替え、限りある経営資源を適切に投下する」と説明。「イクスタンジの独占期間満了後の持続的な成長を盤石なものとして次のリーダーにバトンタッチすることが私の使命と考えている」と強調した。

経営戦略2021の成果目標としては、①イクスタンジおよび重点戦略製品の売上を25年度に1.2兆円以上、②フォーカスエリアプロジェクトから創出される製品の売上を30年度に5000億円以上、④コア営業利益率を25年度に30%以上―を掲げる。これらを達成することで、株式時価総額が7兆円以上となると見通す。岡村新社長は、「パイプラインについては、予想よりは進みが遅いと思っている。ただ他のところについては、まだ十分達成の可能性もある。何かがうまくいかなかったらそれで全部終わってしまうわけではなく、うまくいかなかったことをどうやったら埋められるか、ない知恵を絞って考える。いまの時点で成果目標をどうこうというのは時期尚早だと思っている」とも述べた。

◎安川社長「私が一番負っていたミッションには目途がついた」 

社長交代について安川社長は、「2023年度は成長を一段と加速させる攻めのタイミング。新たなリーダーシップチームを編成して、経営計画2021の達成、さらにはその先の長期的な成長に向けた戦略を検討、実行することが当社にとって最適と判断した」と説明した。

会見で安川社長は、自身が社長に就任した2018年当時から現在までを振り返った。18年当時は、成長を支えてきた多くの製品の特許満了や、提携先とのビジネス契約終了に伴う売り上げの減少などが次ぎ、厳しい局面だった。こうしたなかで、「私の最大のミッションは、もう一度アステラスを成長戦略成長の曲線に乗せること」だったという。こうしたなかで、就任から5年が過ぎるなかで、ゾスパタやパドセブ、イベニティ、エベレンゾなどの新薬を複数の国で上市させることに成功。20年度を底に業績は上向いた。22年には閉経に伴う血管運動神経症状治療薬候補であるfezolinetantを申請、胃がん治療薬候補・ゾルベツキシマブも申請に向けて準備を進めている段階にある。「私が一番負っていたミッションには目途がついた」と安川社長は語った。

◎同じマネジメントチームでは「新しいアイデアは枯渇」

研究開発においては、自身が新たなモデルとして提唱した、”フォーカスエリア”に沿ってアプローチし、選定したプライマリーフォーカスに重点的な研究開発投資を進めてきた。安川社長は、「曲がりなりにも臨床の数が数十にまで増え、また細胞医療とイムノオンコロジー(がん免疫)については有機的につながるような成長をみせてきた」と自信をみせた。そのうえで、「区切りをつけるのに良い時だと思った。同じマネジメントチームでやっていても、新しいアイデアが枯渇してくる。バトンタッチをするのに良いタイミングだと思った」と語った。

岡村新社長の人物像については、「不確実性の高いビジネス環境のなかでも固定観念や既成概念に捉われず、アステラス全体を見渡し、俯瞰した決定ができる人物だ。また社員との直接の対応を重視し、常に自分の言葉で語りかけ、社員の声を真摯に傾聴している。論理的かつ情熱的、厳しくも温かく、真面目でありユーモアにもあふれた人柄は社内からも厚い信頼を得ている」と話した。
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