製薬協・岡田会長「日本がアジアのヘルスケアで強いリーダーシップを発揮」 APACで
公開日時 2023/04/20 04:50
日本製薬工業協会(製薬協)は4月19日、第12回アジア製薬団体連携会議(APAC)後の記者会見を開いた。第12回APACは、「革新的な医薬品をアジアの人々に速やかに届ける」というミッション実現に向けて議論がなされた。製薬協の岡田安史会長は、新型コロナを経験し、各国の製薬企業、規制当局、アカデミアのさらなる強力な連携の必要性を強調した。そのうえで、APACを通じ、「アジアのヘルスケアに関する様々な課題について、日本がリードして解決をしていこうということをしっかりと示すことができた。もう一度しっかりと日本が強いリーダーシップを発揮していくということに関する大きな節目になる」と意欲を見せた。
APACでは、創薬連携をめぐり、効率的な医薬品の申請・審査を促進するために、規制当局間でのお互いの審査結果を参考にする信頼性の枠組みや規制当局による薬事規制のアジリティがアジアにおいて活用されていることが、共有・確認された。昨年策定されたコンセプトペーパーでは、医薬品の承認プロセスの統合をさらに進めるために、デジタル技術とリアルワールドデータ(RWD)を活用した薬事規制プラットフォームを構築していくことが提案されており、来年度以降、議論される予定という。
5月に広島で開催されるG7広島サミットでも議題の一つである、ユニバーサルヘルス・カバレッジ(UHC)についてもセッションが組まれた。各国・地域の経済状況、社会情勢、年齢別の人口構成、人々が尊重する価値が異なることを踏まえ、各国のUHCの定義とUHCを実現するためのファイナンスをテーマとした議論がなされた。公的保険の果たす役割や、公的保険の適切な範囲についての考え方が共有され、「保険がカバーする対象を拡大し、その次のステップとして、保険の質をあげていくべき」との意見や、「(公的保険の給付範囲などについては)フィロソフィーの観点が重要」などの声もあったと説明した。
◎岡田会長「製薬企業、規制当局、アカデミアのグローバル協力体制、さらなる促進が必要」
岡田会長は、IFPMAがG7広島サミットに向けて日本政府に要望した項目として、「UHCの支援と医薬品の公平なアクセスの促進」が含まれていることに触れ、「平時、有事を問わずに、安定供給を実現できる強靭なサプライチェーンの確立にフォーカスをして出させていただいている」と強調した。また、「次のパンデミックへの備えについては、新型コロナ感染症パンデミックからの学びを生かして、リアルタイムの疫学情報共有や薬事承認での国際協調の推進を提言している」ことなどを紹介した。
そのうえで、「今回の新型コロナパンデミックを契機に、人類の全てが安全でなければ、誰もが安全とはならないということが各国間で共有された。革新的な医薬品をアジアの人々に速やかにお届けすることを旗印に掲げて活動してきたAPACが目指す製薬企業、規制当局、アカデミアのグローバルでの協力体制をさらに促進していく必要があると考えている」と述べた。APACを通じ、「アジアのヘルスケアに関する様々な課題について、日本がリードして解決をしていこうということをしっかりと示すことができた。アジア各国の関係者の皆さんから、日本のリーダーシップに期待することが改めて示されたと私自身強く感じた。もう一度しっかりと日本が強いリーダーシップを発揮していくということに関する大きな節目になる」と述べた。
第12回APACは、”Deliver tenacious power for access to innovative medicine by reaffirming cooperation in Asia”をテーマに、4月18日に開催。研究開発型製薬13団体、規制当局、アカデミアが一堂に会して議論した。対面での開催は4年ぶり。