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NBI 社員の対面の意見交換重視 営業拠点再編・リノベーション 「コミュニケーションからアイディア」

公開日時 2023/04/21 04:52
日本ベーリンガーインゲルハイム(NBI)は4月20日の2022年業績会見で、社員同士のコミュニケーションで対面でのやり取りも重視していく方針を示した。対面や偶発的な会話から様々なアイディアが生まれることを期待する。会社として社員に対面機会を提供するため、全国の事業所及び営業所(以下、「営業拠点」)を再編するとともにリノベーションを進めており、23年中に全ての営業拠点が新たな仕様で稼働する予定。営業拠点には社員同士がコミュニケーションを取るためのスペースを設けるほか、拠点によってはウェビナーが実施できる会議室やオンライン面会ブースなどを設置する。

営業拠点を廃止する製薬企業もある中で、NBIはデジタル環境の充実だけでなく、社員の対面のやり取りも重視する方針を示した格好だ。

◎営業所の名称は「コミュニケーションポイント」に 全国に約40か所設置

NBIのヤンシュテファン・シェルド代表取締役医薬事業ユニット統括社長(写真)は会見で、「社員同士のコミュニケーションからアイディアが生まれる」と強調。「全ての営業拠点のリノベーションをしている。このことからも私たちが人と人とのコミュニケーションを重要視していることを感じてもらえると思う」と話した。

22年から営業拠点の再編・リノベーションを手掛け、順次稼働させている。シェルド氏は、「コロナ禍を経てようやくここまで来た。社員同士のデジタルコミュニケーションを続けることも重要だが、将来に向かってデジタルと対面のバランスを良くしたい」と述べ、患者により貢献するためには社員の対面コミュニケーションも重要になるとの認識を示した。

再編後の事業所や営業所は名称も変える。事業所は「コミュニケーションセンター」と呼称し、全国に6カ所設ける。営業所は「コミュニケーションポイント」とし、全国に約40か所設置する。同社広報部によると、このコミュニケーションポイントの数は、これまでの営業所数と比べると「減少」になるという。ただ、「弊社では対面でのコミュニケーションを重視しており、これだけの数を維持している」と話した。

コミュニケーションセンターの間取りのイメージは以下の通りで、交流(情報・意見交換)エリア、共同作業ができるコラボレーションエリア、Web講演会エリア、オンライン面会エリア、チャットエリア――などを設ける。



◎22年の医療用医薬品売上2168億円 4.1%増 ジャディアンスファミリーやオフェブ好調

NBIのヒト用医療用医薬品事業(以下、「国内事業」)の22年売上は2168億円(薬価ベース、以下同)で前年比4.1%増だった。同社のシャシャンク・デシュパンデ代表取締役会長兼社長(写真)は、日本の医療用医薬品の市場規模は米国、中国に次ぐ世界第3位だが、BIグループにとっては「日本は2番目に売上の高い国」だとし、「22年の数字は当社グループにおける位置付けを強く後押ししている」と評価した。23年の国内事業も、22年と同程度の成長を見込んでいることを明らかにした。

22年の国内事業の主な成長ドライバーはジャディアンスファミリーやオフェブとなる。SGLT2阻害薬・ジャディアンス(一般名:エンパグリフロジン)の売上は448億円(前年比31.3%増)、その配合剤のトラディアンス(エンパグリフロジン・リナグリプチン配合剤)は237億円(27.8%増)とそろって2ケタ成長した。ジャディアンスファミリーとしては計685億円(30.0%増)となり、国内事業をけん引した。

◎「医師がSGLT2阻害薬やジャディアンスの使い方に慣れてきた」

デシュパンデ氏は、ジャディアンスの成長要因について、適応を持つ2型糖尿病や慢性心不全のそれぞれで処方が伸びたほか、「医師がSGLT2阻害薬とのクラスやジャディアンスの使い方に慣れてきたことがある」と分析。「医師がより安心して処方できるようになった」ことも成長要因に挙げた。また、今年1月に慢性腎臓病(CKD)の適応追加を申請したことにも触れながら、「ジャディアンスはこれからも伸び続ける」と話した。

CKD適応をめぐっては競合薬のフォシーガが21年8月に同適応を取得しており、後手に回った影響も気になるところ。この点についてデシュパンデ氏は、「CKD患者は1300万人と非常に多い。アンメットメディカルニーズも非常に高い。(CKD治療の)選択肢が増えることは患者や医療従事者にとってとても良いことだ。エビデンスも増える」と述べ、市場が活性化することでジャディアンスの売上にもプラスに働くとの見方を示した。

特発性肺線維症(IPF)、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患(SSc-ILD)、進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)の適応を持つ抗線維化薬・オフェブは、売上544億円(6.6%増)と堅実に成長した。

◎国内開発品 ジャディアンスで急性心筋梗塞を対象に第3相試験が進行中

国内の開発パイプラインは、ジャディアンスはCKDでの適応追加を申請したほか、急性心筋梗塞を対象疾患とする第3相臨床試験が進行中。GLP-1/グルカゴン作動薬「BI 456906」(開発コード)はNASHを対象疾患に第2相試験段階にある。PDE4B阻害剤「BI 1015550」はIPFとPF-ILDを対象疾患に国際共同第3相試験で患者登録を開始。CatC inhibitorの「BI 1291583」は非膿疱性線維症性気管支拡張症を対象疾患に第2相試験を始めた。

がん領域やメンタルヘルスでは、MDM2-p53阻害薬「BI 907828」が非常に稀な脱分化型脂肪肉腫と胆道がんを対象疾患に第2相試験を進めている。グリシントランスポーター1阻害薬「BI 425809」は他に選択肢のない統合失調症の認知機能障害を対象疾患に国際共同第3相試験が進行中だ。このほか抗IL-36Rモノクローナル抗体「BI 655130」は化膿性汗腺炎を対象疾患に、sGC activator「BI 685509」は全身性強皮症を対象疾患に、それぞれ23年に第2相試験を開始している。

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