日本リリー・トムセン社長 新製品・成長製品群は前年比24%増、販売数量も26%増 重点投資継続に意欲
公開日時 2023/04/26 04:50
日本イーライリリーのシモーネ・トムセン代表取締役社長は4月25日の記者会見で、2022 年の総売上高は2167億円、うち新製品・成長製品群は前年比24%増、販売数量も26%増と大幅伸長を達成したと発表した。トムセン社長は「日本は米国に次いで、世界で2番目の規模のアフェリエイトであり続けており、リリーにとって日本が引き続き重要な市場であることは変わらない」と強調。ただ、「(業界全体でみると)グローバルでは33%の研究開発投資を増やしているが、日本への投資が9%マイナスになってきている」とも指摘し、政府やステークホルダーとの間で日本に対する投資を継続するための議論を行っていく必要性について強調した。
◎コロナ禍にあって特許製品群で継続的な成長を達成できたことは非常に素晴らしい
同社の22年業績は、全売上高に占める新製品・成長製品群の割合が前年の53%から76%に大幅拡大した。また、開発品ついては1 製品の上市を含む 2 製品の承認ならびに4 製品の適応追加を達成した。トムセン社長は、「この3年間のコロナ禍にあって、特に特許保護された製品群で継続的な成長を達成できたことは非常に素晴らしいことだと思う」と強調した。
製品別売上高でみると、448億円を売上げたジャディアンスは前年比31.3%増、392億円を売上げたベージニオは前年比50.6%大幅増となり、いずれも業績伸長の牽引役となった。このほかにもオルミエントは246億円(14.8%増)、トラディアンスは237億円(27.8%増)となっている。逆にサインバルタの売上は164億円で前年比67.3%減、フォルテオの売上高は109億円で前年比35.0%減とそれぞれマイナスとなった。
◎持続性GIP/GLP-1受容体作動薬マンジャロに期待
23年の業績見通しでは、4月18日に発売を開始した持続性GIP/GLP-1受容体作動薬マンジャロにトムセン社長は期待を寄せた。トムセン社長は、「田辺三菱製薬と共同で全国の医療従事者に情報提供することになる。この薬剤は非常に適切な治療オプションであると考えている」と強調した。
◎中国、ドイツ、韓国は研究開発への投資、海外から直接投資が増えている
日本市場についてトムセン社長は、「今後も継続的に投資をしてまいりたいと思うが、厳しくなってきている」との認識を表明。「他の競合市場をみると、中国、ドイツ、韓国といった国々では、研究開発への投資、海外から直接投資が増えてきている。そういった国々で(投資が)加速する一方で日本では下降している。そういう状況だ」と指摘した。その上で、「今年は非常に重要な年になる。この国にとって製薬業界が成長産業であるということで改革を推進していく。業界団体そして政府と協力をしながら、さらに議論を重ねて、何がなされるべきなのか、日本に対する投資を継続してもらうにはどうしたらいいのかを話し合っていく」と決意を示した。