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【中医協薬価専門部会 7月5日 その1 議事要旨 製薬業界からのヒアリング 診療側委員との質疑】

公開日時 2023/07/06 04:51
中医協薬価専門部会は7月5日、関係業界からの意見聴取を行った。本誌は中医協薬価専門部会での診療側委員と製薬業界代表とのディスカッションについて議事要旨として公開する。

(意見陳述者一覧)
日本製薬団体連合会 会長 岡田 安史
日本製薬工業協会 会長 上野 裕明
日本ジェネリック製薬協会 会長 高田 浩樹
米国研究製薬工業協会 在日執行委員会 委員長 シモーネ・トムセン
欧州製薬団体連合会 会長 岩屋 孝彦
再生医療イノベーションフォーラム 代表理事会長 志鷹 義嗣
日本医薬品卸売業連合会 副会長 荒川 隆治
(敬称略)

安川部会長:これより質疑およびフリーディスカッションに移りたいと思います。質問は日本語でお願いします。では長島委員お願いします。

長島委員:業界からご意見をいただき、ありがとうございました。私から数点質問させていただきます。まず、ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスについて日薬連、PhRMA、EFPIAから指摘されています。例えば資料薬―1の37ページでは、製薬協の参考資料としてラグ/ロスの実態として、日本国内未着手86品目の内訳がベンチャー発の医薬品、オーファン、小児とされています。ここで示されたベンチャーの48品目は、最終的には欧米の既存の製薬企業に買収やライセンス契約されるなどして承認されている品目もあるという理解でよろしいでしょうか。また、ドラッグ・ラグ/ロスは、医療現場においても大きな課題である一方、なぜ起こるのか。どうすれば解決するのか、十分な分析がされていないと考えています。

例えば、日本に拠点のない海外のベンチャー企業は、日本の薬事承認や薬価制度に関する英語の情報が少ないため、十分な理解に至っていないことが大きな原因の一つであり、日本から英語の情報を発信することが解決策になりうるとも聞いています。

この場は中医協ですので、ドラッグ・ラグ/ロスの原因が、薬事承認や研究開発支援体制の問題なのか。薬価制度の問題なのか。深堀できるデータに基づいての議論が必要だと思います。そこでご質問ですが、そのようなデータの提示は可能でしょうか?

次に、薬―1の6ページで、日薬連から薬価差が果たしている役割を明確にした上で、必要分を診療報酬、調剤報酬の中で評価することも検討が必要であると提案されていますが、もう少し詳しく説明をお願いいたします。

3つ目です。薬―1の25ページ以降にある製薬協の提案についてですが、有用性加算に関して、臨床試験で既存の治療法と比べた患者さんや家族の社会生活上の有用性が、明確に示された事例があるのであれば教えてください。

薬価算定時に、薬事承認時の審査報告書以外の資料も参照して評価するとなると、相応の人、時間が必要になると思われますが、薬価収載の迅速さとのバランスについて、製薬業界ではどうお考えでしょうか?

4つ目です。薬-3のEFPIAの資料に関して。資料4ページに薬価制度のあるべき姿に、高い予見性とある。高い予見性とはよく聞く言葉ではありますが、具体的にはどのような予見性を示しているのか?例えば、何年後の見通しができれば良いと考えなのか。頻回な制度見直しというよりも、制度の適用のタイミングの問題になるでしょうか?また、日本における薬事承認後、速やかな薬価収載の仕組み自体が極めて高い予見性を持つとも思いますが、そこはいかがでしょうか?

5つ目です。後発医薬品について。安定供給も大きな問題で、直接的には企業における品質管理やガバナンスの不備が原因と考えます。また、薬価の下支え制度を要望されていますが、薬価が下がるのは安売りしているのも原因と思います。薬価を維持すれば解決する問題でもありませんが、後発品業界としてどのようにお考えでしょうか?また後発医薬品の業界再編も必要と考えますが、具体的にどのような企業であれば安定確保できるのか、お考えをお示しください。

物価高騰等についても主張されていますが、調達コストの上昇が、薬価の中でどれだけウエイトを占めているのかといった具体的なデータがないと、影響の大きさはわかりかねます。今後で結構ですが、影響の大きさがわかるデータがあれば提示していただきたいとお願いいたします。

6つ目です。最後に、薬-4の再生医療等製品についてです。これまで医薬品なのか医療材料なのか、類似性を考慮して薬価算定方式あるいは材料価格算定方式で対応してきましたが、承認品目数が20という現状において、それらの製品は価格面で現状どうなっているのかという点をまず確認する必要があると思います。

また、再生医療等製品により、介護などの社会負担の軽減や医療費の削減など多様な社会的価値がもたらされることは歓迎しますが、製品の上市後にそのような具体的なデータが取得されたものがあれば提示をお願いします。私からは以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。いくつか質問いただきましたが、もう一方ご質問をいただいてから業界の方からご回答頂きたいと思います。森委員お願いいたします。

森委員:はい、ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。各団体におかれましてご説明ありがとうございました。私からいくつか質問をさせていただきたいと思っています。まず薬―1の日薬連の資料38ページに関する質問です。これ製薬協からそしてPhRMA、EFPIAからこのことに関して何かコメントがあればお願いをしたいと思っております。

38ページをご覧いただければと思います。ドラッグ・/ロスの問題は非常に重要な問題だと認識しております。国内未承認薬の分類が示されておりましたけれども、今回示されている全てが国内での承認が必要で、必要性があるということでしょうか。まずはそれが1点です。その中で例えば抗悪性腫瘍剤に関しては63%、皮膚科用剤に関しては12.5%と分類ごとに開発中の割合の差が発生していますけれども、その要因などが分かれば教えていただきたいと思います。

また類薬や同種同効薬がなかったり、ガイドラインで重要な位置づけをされていたりなど、日本で必要であるにもかかわらず、導入がされてこない新薬はどのような医薬品があるのか。具体的な医薬品とともに見解があればお聞かせいただきたい。これが一点です。

2点目ですけれども日本ジェネリック製薬協会に関しての質問となります。20ページで構造的課題という文言がございます。これは該当する団体として、どのようなことを意図しているのか具体的にご説明いただければと思います。

それから24ページ目で安定供給されている収載品について、個別銘柄ごとに薬価が反映される制度が提案されていますけれども、価格帯が複雑になりすぎないように現行の形になっているものと理解しています。その上で安定供給していることはある意味当たり前のことで、何か評価するものではないというふうに思いますが、提案の意図に付いて何かあればご説明いただきたいというふうに思います。

あとは、医薬品卸に関しての質問になります。日本の医薬品卸は毛細血管型の流通網を持っていて品質を確保して医薬品を正確迅速に配送すること、そういう機能のみならず安全性情報などの情報提供機能、また重要だと思うのは価格交渉、価格形成機能を持っているというのが医薬品卸の機能だというふうに思っています。その中で質問ですけれども、卸の重要な機能として、薬価形成に重要な役割を担っています。先日の流改懇でも指摘がありましたけれども、今問題となっているのが過度な薬価差、薬価差の偏在というものがあります。そういった現状を卸としてどのように受け止めているのか、また、どのように改善していきたいのか。お聞かせいただきたい。私の方から以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。2人の委員から9つほど質問をいただきました。たくさんありますので、まずは、日薬連から口火を切っていただいて適宜ご質問に対応して、業界の方からお答えがいただければと思います。よろしくお願いいたします。

岡田日薬連会長:ご質問ありがとうございます。まず長島委員から6点質問をいただきました。1点目ドラッグ・ラグ/ロスの原因について薬事が起因なのか薬価なのかという話がありました。上野製薬協会長から回答をお願いします。

上野製薬協会長:はい、質問ありがとうございます。まず、長島委員から最初の質問で資料37ページにあるドラッグ・ラグ/ロスの実態の中で、このベンチャー発の48品目はどうであったかという質問だと受け止めます。それでよろしいでしょうか?はい、ありがとうございます。これについて調べた結果、その後ベンチャー企業自身が承認を取得しているということが確認されております。

続きまして、ドラッグ・ラグ/ロスの原因分析ですが、これまで我々行ったのはどういうカテゴリーの医薬品であるかとか、その開発元がどういうところなのか、という分類をした。これを深堀しますと、そういったものがどういった原因でラグ/ロスを生じているかということかと認識しているが、これは基本的に各社の判断によるところが大きいものとは思いますが、もう一段踏み込んで、個別は難しいのかもしれませんが、ある程度そのセグメンテーションというか、分類を分けるようなことは可能ではないかということを想定しておりまして、これから追及していきたいと思います。

加えて、今までお示ししましたのは2020年度までの結果でございますが、21年、22年がどうであったかという追跡調査も必要だと言っておりますので、今後取り組んでまいりたいと思っております。

岡田日薬連会長:2点目は薬価差について補足説明をお願いしたいということであったと思います。この薬価差の役割につきましては、様々な議論があるというふうに思っておりますけれども、その役割については、まずきちんと関係者にて整理することが必要であると思っておるところであります。仮に今日、ご提案させていただきましたように薬価差が生じない仕組みということを我々考えることも一つの選択肢と申し上げましたけれども、その場合に薬価差が薬剤管理であったり、あるいは経営維持に必要な費用というような役割があるのであるならば、それは本来的には診療報酬本体にて賄われる形とすべきということも一つ考えるポイントではないかというふうに思います。以上2点目でした。

3点目は製薬協への有用性等に関するご質問かと思います。お願いします。

上野製薬協会長:製薬協から回答させて頂きます。ご質問は有用性系加算に関して臨床試験で既存の治療法に比べて患者や家族の社会生活への有用性が明確に示された事例はあるのかというご質問だったと認識しております。その中で、新薬の臨床試験において患者の有効性・安全性を評価するために、既存の治療法と比べて、患者に有用性を示したという事例はあることは確認しております。しかしながら一方、家族の生活、社会生活上の有用性というものは薬事承認で求めておりませんので、現時点で明確に示された事例はないと思います。したがいまして提案3に掲げた有用性系加算の改善について提案させていただきました。

また、ご質問の中でこういった評価をすることによって承認時期が遅れるのではないかというご質問がありましたけれども、私どもとしては、こういったデータは非臨床試験、臨床試験等を通じてある程度評価をすることが可能と思いまして、現在の承認時期、あるいは承認後の薬価収載時期を遅らせないように評価ができるようなことを考えて参りたいと思っております。

岡田日薬連会長:4点目はEFPIAへのご質問であったといいます。岩屋会長からお願いします。

岩屋EFPIA会長:ありがとうございます。具体的にEFPIAの資料についてご質問いただきました。高い予見性の部分についてもお答えさせていただこうと思うのですが、その前に既に一度やり取りございましたドラッグ・ラグ/ロスというのは薬事の問題なのか薬価の問題なのかという質問をいただいたと思うので回答します。端的に申し上げると、両方であると認識しております。薬事制度につきましては過去10年、15年の間に国際的な調和が進んでおりますし、審査体制も充実しています。スピードの観点で 日本がすごく遅いというわけではないと認識している。

一方、資料でも書いたが例えば薬事制度において審査をされる審査の観点と、薬価制度において我々が期待しておりますイノベーションの評価の観点というのが、我々からしますと端的に申し上げればどちらで評価をしていただいても構わないんですが、現実的にはどちらにも評価をしていただけないということがある、というのが現実的な課題だというふうに認識をしています。もう少しわかりやすく申しますと、例えば審査報告書におきましては審査にとって必要なことがメインで書かれているわけで、審査側の見解といたしましてはこれがそのまま薬価の査定に使われることは想定していない。例えばそういうコメントをいただくことがあるのですが、現実的には加算の評価をするときに審査報告書が引用されて、それで加算を付けられない、とそういったやり取りがあったりするとこういうことを聞きます。それはどちらの制度かというとどちらも影響しているというふうに言わざるを得ませんし、業界といたしましてはきちんとその点について評価をしていただけるような制度にしていただきたいというふうに思っております。

EFPIAの資料につきまして具体的にいただきました「高い予見性」ですが、何年後の見通しができればよろしいのかとお聞きいただいたというふうに思います。もちろんその長期的な見通しが立つという大変大切なことでございますが、一方で我々考えておりますのはまず、例えば日本の場合には特許期間中に薬価が下がる仕組みでございます。これ自体が欧米におきましてはあまり例を見ない制度ですので、その点においても既に特許を取得して上市させていただきましても、一体この薬価はどれだけ続くのかよくわからない。それから具体的にコメントさせていただいた点で申し上げれば、例えば再算定と“共連れ”につきましては自分たちで把握をしていない他社の営業成績によって、ある日突然あなたの薬も共連れですと言われる。これも大変予見性が低いというふうに認識をしております。

もう一つ申し上げますと先ほどの加算の話に通じるのですが、こういう形で加算がございますというふうに書いてある制度の解釈の余地というのが我々にとってわからない点が多く、加算が受けられたり受けられなかったりと、蓋を開けてみないとわからないという状況が、これまた予見可能性という意味では非常に厳しいかなというふうに思っております。単なる期間の問題ではなく、適用というかですね実際の判断も含めまして今の制度というのをもう少し良いわかりやすく、誰にとっても事前に想像がつく制度にしていただければなというふうに思っています。以上です。

高田GE薬協会長:それでは5点目のジェネリック医薬品の安定供給に関する質問に対してお答えさせていただきます。まず安定供給は直接的にはやはり企業における品質ガバナンスの不備が原因だったのではないかということです。そして2点目については業界再編が必要だと思うが、具体的にどのような企業であれば、今後安定供給の責務を果たしていけるのかということかと思います。2点あわせて回答させていただければと思います。

まずご指摘の通り、現在もご迷惑をおかけしている安定供給に関して、発端はやはり企業のガバナンスの問題であるというふうに認識をしております。今後は持続的な安定供給を将来にわたって品質の確保と責任を持つ企業がしっかりと果たしていくべきだというふうに思っております。それに対して評価をいただきたいというふうに思います。しかしながら現在の薬価、流通の仕組みの中では、薬価が下がり続け、製造原価が薬価を上回るような製品がこれ以上増えていけば企業としても責任を持って品質確保、設備投資、人材育成といったものが維持困難になってくるというふうに思っております。こういったことが可能となるような薬価における下支えも必要なのかなというふうに思っております。

またどのような企業であれば安定供給が確保できるのかということにつきましては、繰り返しになりますが、持続的に将来にわたって品質と供給に責任を持つ企業がその役割を果たすべきだというふうに思っております。

またそういった企業が現在は余力がなく、例えば緊急の増産、あるいは今後進むであろう品目の集約化に対する代替品としての生産を引き受けていくということに対しても十分な役割を果たせない状況でございますので、しっかりと生産能力を高めて強化をして、そういった役割を果たしていきたいというふうに考えております。

また3点目、ご要望と認識しているが、物価高騰のデータにつきましては、現在提示できておりませんが、製造原価ということで難しいデータではございますが、検討させていただきたいと存じます。以上、ジェネリック製薬協会から回答申し上げます。

志鷹再生医療イノベーションフォーラム代表理事会長:私から長島委員の質問に回答させていただきます。20品目が承認をされていて、まず現状として価格がどうなっているのかというご質問が最初だったと思います。資料の5ページを使って口頭で説明をさせていただければと思います。20品目全部が載っています。医薬品なのか、医療機器で値付けがされているのかという部分に関してですが、20のうち16に薬価がついておりまして、4つはまだ未収載です。そのうち、10品目は医薬品として計算されております。残りの6つが医療機器ということです。未収載の4つに関しましては、医薬品として計算されると聞いておりますので、それを合わせますと14対6ということになります。

もう少し細かい情報を提供いたします。真ん中のいわゆるCAR-T療法ですが、これに関しましては、一番先頭のキムリアが原価計算で、それ以降のものが類似薬効で計算されており、薬価はいずれも約3265万円となっております。

それから左側の組織移植、細胞移植の部分です。組織移植のところは全て、医療機器として計算されているものということになります。それから細胞移植のところのビズノバも機器で、残りの3つは医薬品ということです。価格のレベルですけれども、一番安いものでいいますと、組織移植のジャックこれは軟骨の自家移植の細胞ですけれども、キットとあわせて215~6万円ということです。高い方になりますと、ハートシートとステミラック注などはキットと全部合わせまして1500万円程度になっています。残りのものは大体その間で500万前後のもの、それから1000万前後のものがこの左側のカテゴリーの値段レベルになっております。右側の遺伝子治療のところですけれども、ゾルゲンスマが類似薬効で薬価がついていますけれども、ご承知の通り1億6700万円程度ということです。

それから残りの薬価がついておりますコラテジェン筋注は60万×3、最大3回のインジェクション、それからデリタクト注は143万×最大6回ということで850万程度と言うことになります。

それから2つ目のご質問で社会的な価値介護などの軽減のデータがどの程度あるかということですけれども、本日お示しできるデータがございません。FIRMの現状ですけれども、現在いろいろなシミュレーションで計算をしているような現状です。例えば、介護負担が50%減ったらどうなるか、とかそういう現状ですので、ぜひその検討会等を設けていただければ、どういったデータが今availableなのかところもあわせてお示ししたいと思っておりますし、またこういった価値が価格に反映されると、バイオテックも含めて、そういった認識におりませんので、これまでそういったデータを積極的に取ってきてないところもあるかもしれません。そういった意味で、こういったものが価値に反映させられるとなった時にどのようなデータを取ることができるか、そういった見通しも含めて今後検討会等で議論させていただければと思っております。以上になります。

岡田日薬連会長:つぎに森委員への3つのご質問への回答です。1点目は製薬協の資料38ページに関連しての質問であったというふうに思います。そして2点目はGE薬協に対する構造的な課題、云々ということ。3点目は卸連に対して薬価差の偏在をどう受け止め、改善していくのかというご質問をいただいたと思っております。まず、製薬協の上野会長からお願いします。

上野製薬協会長:まず一つ目のご質問、38ページ目の国内未承認薬の分類についてのご質問だと思います。冒頭ご質問として本当に全て日本で承認される必要があるのか、という非常に重要な問いだと思います。この中を見てみますと、一つは国内で承認に向けて開発したが色々な理由で開発中断されたものとか、あるいは日本で発生していないような感染症などもございまして、そういう科学的な根拠がないものとかあるいは本当にその日本でのニーズがないものについては、必ずしも日本での承認が必要とは思いませんが、患者の人数の多寡にかかわらず、日本でアンメットニーズがあるという疾患については基本的には日本で承認されるべきものというふうに考えております。

そういう中で、このグラフを見てみますと、ご指摘のように抗悪性腫瘍剤の数が多い一方で、国内でも開発が進行中ということが見てとれます。抗悪性腫瘍剤が多いのは、我々製薬企業の中で研究開発パイプラインを見ると、やはりがんというものがまだまだアンメッドニーズが高い、あるいは治らないがん腫が多いということで研究開発の段階からかなりの割合でがんに向かっています。そういう中でこういうグラフにしてもがんが多いのはよくわかることですけれど、一方でこの中で国内開発しているものも多いということは、国内でもがんに対するアンメットニーズが高いということが見てとれます。一方で皮膚科等については、低いからアンメッドニーズがないということではないと思いますけれども、相対的にそういうアンメットニーズの違いからこういう差が出ているのではないかというふうに分析しております。以上でよろしいでしょうか?

高田GE薬協会長:続きまして2点の質問に対してお答えさせていただきます。まず構造的課題という点について、やはり現在起こっております安定供給の課題につきましてジェネリック医薬品の構造的課題が根本的にあるのではないか、とご指摘をいただいていると認識しております。これまで80%というシェア達成に向けて政府主導のもと、促進策が図られ増産拡大を図ってきた中でございますが、長年後発医薬品を主体にしてきた企業、あるいは新規参入した企業もあわせて多くの企業が特許が切れる製品に同時に新規参入するということで、市場規模の大きい製品などを中心に非常に多くの企業が参入し、その結果、非効率な生産であったり、あるいは過度な競争が生じる構造となっているというふうに指摘され、また我々もそう認識しております。結果として、その間、人材育成、あるいは設備投資というものがおろそかになり、あるいは早期に撤退する企業がある、そういったことも指摘される中で、今回の安定供給のような形で問題が顕在化してきているというふうに考えております。先ほど申し上げましたように、今後持続的な安定供給、あるいは品質確保しっかりと図られる企業が新たな役割を担っていくと考えている。

また次のご質問、ご指摘ですが、価格帯について、現在複雑なりすぎないように現行の形になっているということですが、改めて銘柄別収載の提案の意図についてお答えします。今お話しさせていただきましたように、多くの企業が参入する中で導入された価格帯のまとめの制度だと思っております。その結果として、例えば安く売っている会社の製品が引き上げられたり、あるいは逆に将来的にわたって持続的に適正な価格で販売をしようという製品に関しましても加重平均により引き下げられるといった歪みが生じていると考えております。また現在の流通の仕組みにおきましても、メーカーの仕切価以降、関与できないという状況の中で総価取引等によって、個別の製品によらず薬価が引き下げられるという現状もございます。今後持続的な安定確保するという観点で、そういった製品に関しましては個別銘柄で薬価収載されるということを希望しております。以上、ご回答申し上げました。

荒川卸連副会長:森委員からのご質問についてお答えさせていただきます。過度な薬価差や薬価差の偏在についての認識、あるいは改善についてというご質問だったと思います。薬価差につきましては、その発生要因は取引先様との条件などの違い、あるいは様々な事象が複雑に絡み合った上で生じているものと認識しています。そういった中で過度な薬価差あるいは薬価差の偏在というものが生じることにつきましては、公的な医療機関制度であることや、あるいは医薬品の安定供給への影響などを考慮した議論が必要だというふうに考えております。

その中で私どもといたしましては医薬品の価値に見合った値決め、あるいは経済合理性に見合った値決め、そういったことがまずは改善のポイントだというふうに考えております。こういったところについては引き続き取り組んでまいりたいと思います。加えて6月26日に開催されました流改懇の中でもこういった議論がされたというふうに報告を受けております。そういったことも踏まえまして、厚生労働省の産情課の方で今後過度な薬価差等の定義などについて調査されるというふうに聞いております。そういった結果を踏まえて、私どもも引き続き取り組みを進めて参りたいというふうに考えております。以上お答え申し上げました。

※その2に続く

 
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