日本ジェネリック製薬協会（ＧＥ薬協）の川俣知己会長は７月９日の中医協薬価専門部会で、「低薬価品目の薬価の引上げが必要」と訴えた。３年連続で不採算品再算定が実施される中で、不採算品再算定品目の限定出荷や供給停止が減少しているとして、「それなりのインセンティブになった」との見解を表明。「医療上必要な低薬価品の薬価の引上げは、今後も重要」として、継続的な薬価の下支えを求めた。不採算品再算定品目については、「優先的に増産できるような取り組みをしてまいりたい」と表明した。診療側の森昌平委員（日本薬剤師会副会長）が「（不採算品再算定を）受けた品目は必ず増産につながるようお願いをしたい」とクギを刺す場面もあった。

◎不採算品再算定品の限定出荷、供給停止は579品目から382品目に減少

GE薬協の川俣会長は、不採算品再算定の供給状況が24年３月の579品目から25年６月には382品目まで減少したとのデータを示した。限定出荷、供給停止の理由は需要増が最も多いとして、「生産余力を今以上に確保することが課題」との認識を示した。一方で、物価が高騰するなかで、「増産のための設備投資コストを、設備投資等のコストを捻出するのが厳しい状況になっている。安定供給を果たすための人員確保についても、従業員の賃金上昇が必須」と指摘。「医療上必要な低薬価品の薬価の引上げは、今後も重要と考えている」と述べた。「供給量を増やし、供給不安の改善に努めている企業が、今後も継続して安定供給体制を強化していくため、市場での評価が適切に反映される制度となることを期待する」とも要望した。

◎「不採算だから増産しないというつもりはない」　不採算品再算定品は「優先して増産」

薬価制度改革の効果を問われる形で、川俣会長は25年度改定の影響について「まだ3か月しか経っていないが、これがさらに加速して限定出荷品目が減るというふうな形になることを期待している」と説明。「我々としても不採算だから増産しないというつもりはない。こういう形で下支えをいただいたということに対して、対応できるように取り組んでまいりたい」と表明した。

支払側の鳥潟美夏子委員（全国健康保険協会理事）は、「安定供給にはまだ程遠い状況」と指摘。「不採算品再算定の適用品の供給量が増えているのか確認したい」と質した。これに対し、川俣会長は「私ども医薬品の製造団体として、採算性が悪いからやめたい、採算性が良いから増産したいというような、そういうことだけで企業が成り立つとは思っていない。不採算のものであっても、少量のものであっても必要な医薬品というのは供給するからこそ、我々の存在意義が発揮できる」と強調した。そのうえで、「その中でもやはり順番というのがあり、より収益性の高いものを優先的に増産する気持ちを否定できるものではなかったというのがこれまでの現状」と説明。不採算品再算定が適用された品目について、「優先的に増産できるような取り組みをしたいと思うし、企業指標がより高いレベルに上がっていくことを期待している」と述べた。

鳥潟委員は「不採算品再算定の適用品の供給量の変化についてわかる資料を提示いただきたい」と要望。厚生労働省保険局医療課の清原宏眞薬剤管理官は、「事務局として業界と相談して、どのような数字の整理ができるか検討して参りたい」と応じた。

◎診療側・森委員「安定確保医薬品など代替がきかない医薬品優先して供給を」

また、GE薬協が29年度予測需要量を供給量⾒込みが上回ることと試算したことにも触れた。試算は、後発品市場の伸びを1.3％、GEシェア率を90％で頭打ちと仮定している。森委員は、「現場の感覚からするとかなり使用を進めていますので、（後発品）使用率がもう少し高まる」として、供給不安解消に対する懸念を表明。「安定確保医薬品など特に必須で、代替がきかない医薬品を優先して供給するなど、ある程度メリハリをつけた対応が必要だ」と述べた。

川俣会長は、「（後発品使用率が）90%を超える、1.3%を超える市場成長が図られるようであれば、さらに足りなくなるというような危機感を持って情報提供をしたつもりだ。我々もこの数量で収まるとは思っていないので、それが医療関係者の患者さんにとって好ましいのかどうかも含めて今後検証してまいりたい」と応じた。

◎日本バイオシミラー協議会「バイオAGがあっても市場競争できる制度に」

この日、初めて意見陳述に臨んだ日本バイオシミラー協議会の森敬太会長は、バイオAGに問題意識を表明。「バイオAGがあっても、バイオシミラーが市場で競争できるような薬価制度にしていただきたい」と要望した。