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【中医協薬価専門部会 7月5日 その2 議事要旨 製薬業界からのヒアリング 支払側委員との質疑】

公開日時 2023/07/06 04:50
中医協薬価専門部会は7月5日、関係業界からの意見聴取を行った。本誌は中医協薬価専門部会での支払側委員と製薬業界代表とのディスカッションについて議事要旨として公開する。

(意見陳述者一覧)
日本製薬団体連合会 会長 岡田 安史
日本製薬工業協会 会長 上野 裕明
日本ジェネリック製薬協会 会長 高田 浩樹
米国研究製薬工業協会 在日執行委員会 委員長 シモーネ・トムセン
欧州製薬団体連合会 会長 岩屋 孝彦
再生医療イノベーションフォーラム 代表理事会長 志鷹 義嗣
日本医薬品卸売業連合会 副会長 荒川 隆治
(敬称略)

※その1から続き

安川部会長:安藤委員から手が挙がっています。続いて松本委員、佐保委員お願いします。

安藤委員:まず、本日ご参加いただきました皆様に感謝申し上げます。私としましてはPhRMA、EFPIAからの説明につきましては大変勉強になりました。ありがとうございました。さて、前回のキックオフの際にも申し上げましたが、令和6年度の診療報酬改定、薬価改定におきましては有識者検討会の報告書も踏まえ、医薬品業界をめぐる根本的な課題について丁寧な議論を積み重ねる必要があると考えております。特に医薬品の安定供給の問題は、少量多品目生産といった後発品産業の構造的課題に端を発するものであり、診療報酬上の評価による対応だけでは問題の根本的な解決にはつながらないというふうに思っております。我々保険者の立場からいたしますと、やはり患者に必要な薬が必要なときに使うことができないという状況を作らないということが最も重要であると考えております。

今回のヒアリングにおきまして構造的課題があるというお話がありましたが、残念ながらその構造的課題が具体的に何なのか、またそれを具体的にどのようにして改善していくのかというご説明が十分にはなされておりませんでした。時間の関係だと思います。

例えば、品目数の適正化や適正規模への生産能力強化をどのようにして進めていくのかなど、今後議論を重ねていけば幸いだと思っております。先ほど私が医薬品の安定供給が患者にとって最も重要だと申し上げました。この問題は単にジェネリック製薬業界だけの問題であるとは思っておりません。これは流通を含めた医薬品業界全体の問題であると考えております。と申しますのも、新薬メーカーも自社の製品をジェネリックメーカーに委託生産しているからでございます。そこで質問ですが、医薬品業界全体でこの課題解決に向けた話し合いというものはなされているのでしょうか。そして、なされていないのであれば、何が阻害要因で実現できていないのでしょうか。お聞かせいただければと思います。以上です。

安川部会長:引き続いて松本委員の方からお願いいたします。

松本委員:はい、ご説明どうもありがとうございます。今日各団体の方から現状並びに団体との考えをご説明いただきどうもありがとうございました。こうした皆様方のご意見を拝聴する限り、イノベーションと安定供給のために薬価を下支えしてほしいという要望に集約されるというふうに思いましたけれども、今でも大変厳しい医療保険財政、生産年齢人口減少に今後ますます厳しくなるということを議論の前提としてしっかり再認識いただきたいということをまず冒頭申し上げたいと思います。

その上で各団体にいくつかコメント質問させていただきたいと思います。まず日薬連から示された資料の3ページでございますけれども、医薬品のカテゴリーに応じた薬価制度について概念図が示されております。左から真ん中の方へ移っていくのは、特許が切れて後発品が出たタイミングではっきりしていると思いますけれども、この真ん中から右に移るのは薬価制度上のG1、G2、あるいはCが適用されるタイミングと考えて良いのか。これをまずうかがいたいということでございます。私自身は現行の制度は基本的にはここに書かれているイメージをベースに設計されているというふうに考えております。それでも新薬メーカーがこの真ん中にもございますけれども、長期収載品の撤退ではなく、その依存から抜けられないということに関しては疑問を感じております。

同じ資料の8ページを見ますと、後発品メーカーが増産できないことに原因があるように書かれておりますけれども、一方でジェネリック業界の20ページにあるような産業構造の見直しが実現するということになりますと、後発品の増産が難しいということを合わせますと、かなりの時間がかかるというふうに受け止めております。そうした観点で製薬協には長期収載品からの撤退の進め方、ジェネリック協会には安定供給や増産の見通しについて具体的な想定というのをおうかがいしたいと思います。

次に日薬連の資料5ページでございますが、原材料等の調達コストが高騰とございますけども、保険者の立場からいたしますと、これまで賃金が伸び悩んでいた状況下でも、介護保険を守るために保険料率を引き上げた経緯がございます。

長いデフレの間に原材料コストがどう推移してきたのかを精査しなければ、直近の状況だけを捉えての判断は難しいと思いますので、長期トレンドをぜひデータで示していただきたいというふうに思います。

さらに製薬協の27ページに、価値についての資料が出ております。新たな価値評価の枠組みというのがあるんですけども、この27ページのお考えと、次以降に出てきます32ページ以降に書いてあるご提案というのはリンクしているものなのかどうなのか、そこを確認させいただきたいと思います。

次にPhRMAの説明資料16ページに新薬226品目の内訳を出していただいてるんですけども、この中では新興バイオテック企業がちょうど半数を開発しており、こうしたバイオベンチャーが日本向けに販売する場合に俗に言うグローバルメガファーマとは違う課題があるのかどうか伺いたいと思います。

次にEFPIAに対して、資料の3ページ、日本での上市を延期・中止した事例があるということですけども、議論の結果、日本で上市したものを含めて具体的にどのようなカテゴリーの医薬品があって、具体的にどんな課題だったのか、もしおわかりであれば教えていただきたいということでございます。

次に製薬協、PhRMA、EFPIA共通ですけども、類似品の再算定についてルールの廃止を要望されておりますけども、市場で競合する製品を同様に扱うことは、薬価制度としては一定の合理性はあるというふうに感じております。また、冒頭に申し上げた保険財政の状況を踏まえれば、どうしても類似品の再算定を廃止するということであれば、市場拡大再算定そのものについて、下げ幅の拡大、あるいは対象範囲も広げるということもセットで当然議論すべきだろうと考えます。この点について見解を伺いたいということでございます。

最後に卸連に対してです。調整幅についてはこれまで再三申し上げている通り、長い間一律2%で固定されていることには疑問を持っており、丁寧な議論が必要であると考えておりますので、ぜひ取引の実態がわかるデータをお示しいただきたいというふうに思います。

また資料4ページに新たな仕組みの構築という記載がございます。薬価が下がるそもそもの理由は、薬価よりも卸の納品価格が低いからであり、保険者の立場としてはどのような制度であっても、薬価差は国民に還元すべきであるということが基本的な考え方です。そうした中で5ページのグラフを拝見しますと、特に右側のグラフですが、前提のところを拝見しますと、乖離率8%という記載がございますけども、これは、先ほどらい製薬業界からご説明があったコストの上昇、あるいは人件費の高騰で厳しい状況にあるのに相変わらず乖離率が続くんですということを、見通されているものだとすれば、ちょっと考え方を改める必要があるのではないかというふうに感じております。

むしろ過剰な値引きとはどんなものであるとか、それを防ぐにはどうすべきだとか、そうしたことを当事者間で認識を共有すべきであるということを指摘させていただきます。長くなりました私からは以上になります。

安川部会長:佐保委員お願いします。

佐保委員:はい、ありがとうございます。本日は関係業界の皆さんからのご説明誠にありがとうございました。参考になりました。薬-1の資料の中で次期薬価制度改革に向けた要望事項等中長期的な視点からの要望事項に触れられております。薬価については今回改定で議論することと、中長期的な課題とが考えられます。その年々の改定議論に追われ、中長期的な議論が後回しにならないように今回の改定を議論する中で、中長期的な課題についても整理して今後の議論に繋げていく必要があると考えます。

質問とお願いが1点あります。卸連です。資料2ページの厳しい環境の中で人材確保難について触れられております。従業員の数とMSの数の減少についてグラフがありますが、それ以外の左側の表にいろいろ書いておりますが、これについてもう少し詳しい資料というか、実例と実情といったものがわかれば、今後お示ししていただきたいというふうに考えます。以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございます。7つほど質問ございました。時間の関係もございますので端的にお答えいただけるものがございましたら、よろしくお願いいたします。

岡田日薬連会長:まず安藤委員からご質問をいただいた点です。この安定供給に関するところでございます。ジェネリックについてのご指摘とともに(製薬業界)全体としてもというお話がございました。昨今の医薬品の安定供給問題についてはご指摘の通り、後発医薬品だけの問題ではなくて製薬業界全体の課題であるというふうにまず認識をしているということを申し伝えたいと思います。本当に関係者の皆様、行政当局、そして国民の皆様に多大なご迷惑をおかけしていることについて、この場をお借りして改めてお詫び申し上げたいというふうに思います。

日薬連としては医薬品の安定供給確保に向けて最大限の強化を行うべく、一昨年の7月に安定確保委員会というのを設置をして対応の強化というのを進めているところでございます。またあの今日スライド12でお示しをいたしましたけれども、医薬品の銘柄別の供給状況調査ということも毎月実施することとしてですね、取り組みの強化を行っているところでございます。今後この供給不安の問題について引き続いてGE薬協の高田会長からお願いします。

高田GE薬協会長:安藤委員の指摘あるいは、松本委員からの安定供給の見通しを具体的にという想定も含めてご質問いただきましたので、併せて回答させていただきたいと思います。繰り返しになりますが、皆様にご迷惑をおかけしていることをお詫び申し上げます。不祥事に端を発した供給不足でございますが、まず現状申しますと、やはりこの不祥事、コンプライアンスの問題から3年以上経過しているわけですが、その間、コロナなど世界的に不安定な情勢の影響により原材料の調達など供給が滞る要因が非常に多岐にわたっておりまして、また製品も多く連鎖的に供給が滞る状況が続いております。また後発品の割合が非常に多いということですが、日薬連会長から申し上げました通り、医薬品業界全体の問題ということでございます。まず短期的に個社として人を増員したり、あるいは設備を増強を生産体制の強化ということで増産を図っておりますが、ある特定の製品はそれで増産をして限定出荷あるいは出荷停止の解除ができても、また連鎖的に別の製品で限定出荷になるなど全体として大幅な改善に至ってないという状況でございます。

GE薬協としましては、日薬連とも協力をして供給状況の情報開示に積極的に努めているところでございます。中長期的には現在大手企業を中心に工場の建設を進めたり、買収による移転を図るなど、大幅な増産を図ろうということを取り組んでおります。しかしこれには複数年を要するということでございまして、また今後、有識者検討会の取りまとめに応じて新たな会議体を設置しそこで議論されると思いますが、製品の集約化をするなどによって生産効率を図ることであったり、あるいは増産体制の強化の一環として先ほど申し上げましたが、急な増産対応や他社の代替を引き受けられるようなバックアップ体制をしっかり取って、製造能力を余力を持つということで業界全体としての安定供給に貢献してまいりたいというふうに考えておるところでございます。以上です。

岡田日薬連会長:続いて松本委員の質問について順次お答えさせていただきたいというふうに思います。最初に日薬連の資料3ページの医薬品のカテゴリーに応じた薬価制度の構築というこれに関するご質問いただきましたけれども、松本委員ご指摘の通りこのG1、G2,あるいはCが適用されるまでは後発品の置き換え期間であることから、いわゆるそのタイミングで移行する、この基礎的な医薬品に移行していくということもあると思いますけども、ここにあくまでも医療上の必要性を勘案した上で基礎的な医薬品に移行をするものというふうに考えております。そういった意味では医療上の必要性を判断する新たな仕組みが必要ではないかというふうに思っております。現在、安定確保医薬品は506品目ございますけども、これらはABCランクの三つにわかれておりますけど、まずはサイエンスの観点からこの安定確保医薬品の再整理が必要だというふうに思っております。そして何年でこれに切り替えていくのかということについては、足元でやはりジェネリックにしかりと置き換わっていかないという観点も含めて考えるとですね、この医療上の必要性が高いというふうに判定された品目については、この当該ルールが始まるタイミング以前にしっかり薬価を下支えするようなルールを早い段階から入れるというふうにしないと、長期収載品として残ってしまうという逆の課題が出てくるというふうに思っておりますので、この点が一つ回答させていただきたいというふうに思います。

それから次に大きくスライド3にも関連するところで新薬メーカーの長期収載品への依存を含めて包括的なご質問いただいたというふうに思います。私のコメントの後に製薬協の上野会長とGE薬協の高田会長にも補足をいただきたいと思います。私からのプレゼンテーションでも申し上げました通り、まず長期収載品に依存しないビジネスモデルへの転換といいますか、この構築については10年以上前から国が示された明確な方針でありまして、業界としてこれを完全に受け入れているということをまず明確に申し上げたいというふうに思います。資料3ページでも、特許満了は長期収載品の撤退というふうに言い換えております。そのことを明確にお示したつもりであります。

今の後発品への置き換え率を踏まえれば、もはや長期収載品に依存できず研究開発に軸足を置く企業はやはり、引き続き新薬を出し続ける構造に転換しつつあるというふうに思っているところでございます。

また先ほどのご質問に対するお答えでもちょっと触れましたけれども、この後発品の安定供給が確保されることによってその長期収載品はその成分を後発品に譲ることができるというふうに思っておるところであります。したがってスライド8で示したところもどうしても触れられたというふうに思いますが、既に大幅にシェアを失った先発品については現状様々な価格の問題を含めて撤退しようとしても現実にできない。長期収載品に依存しているというよりも、我々としては長期収載品のところから撤退したいというふうに言っても、後発品が増産体制で受け入れるということができない、というのが今の実態であるというふうに思っているところであります。長期収載品への依存云々というところについては製薬協の上野会長に補足をいただくのと、安定供給でもう一度、高田会長に補足をいただければと思います。

上野製薬協会長:ありがとうございます。私ども製薬協はいわゆる革新的な新薬の創出を大きな目標としてやっている企業としては、長期収載品に頼るというよりは、より一層新薬の創出に力を入れるっていうところでそこに大きな投資をかけています。いち早くイノベーションを創薬として実現し、それを早く患者さんに届けるっていうときに本当に注力してきていると思います。

従ってその結果、長期収載品から得る収益は過去に比べて大きく変わっている。そういう中で新薬に対する研究開発の投資を早く成果として、そして次の投資に回す。早いサイクルで研究開発投資を回しながら次の新薬の創出に向けて取り組むそういったサイクルを目指して今現在取り組んでいるっていうところで、この傾向はますます今後強くなるんではないかというふうに考えております。以上です。

高田GE薬協会長:いまお話にありましたように長期収載品から安心してジェネリック薬に切り替えられる、そういった体制を私どもとしても、早急に足元の安定供給が不安定な中で作り上げていかないということで先ほど申し上げた短期的あるいは中長期的な取り組みを引き続きしっかりと図っていきまいりたいというふうに思っております。また一方で長期収載品をG1ルール等用いて切り替える際には、今まで膨大な蓄積されてきたデータを引き継ぐ、あるいは残っている製品の生産を引き継ぐということになりますので、そういった体制もしっかりと取れるような総合的なですね対応を取っていかないといけないというふうにも考えておるところです。以上です。

岡田日薬連会長:続きまして3点目のご質問でございます。物価高騰に関連するデータ等の提示をというお話であったと思います。もちろんご要望いただいたデータについては今後検討させていただきたいというふうに思っておりますけども、原価の部分については企業にとって結構センシティブな情報でございますので、協会内で全体を網羅的に調査どこまでできるのかということについてはちょっと宿題させていただきたいというふうに思います。

また、これだけ物価上昇している中で特に後発品、あるいは古くからある薬価が低い薬については、薬価が引き下がる中で、この物価高騰、エネルギー価格高騰というのは非常に大きなインパクトやウエイトを占めるというこの状況について、ぜひとも定性的な表現になって申し訳ないのですけども、ご理解をいただければというふうに思います。

続いて4点目のご質問は製薬協の資料27ページへのご質問であったというふうに思います。上野会長お願いします。

上野製薬協会長:改めて製薬協方からご説明します。大変重要な御指摘だと思います。ご質問ありがとうございました。ちょっと説明がわかりづらいというところもそこに点をお詫び申し上げます。まず冒頭申し上げた新しい価値評価ということについては、今の環境が冒頭申し上げたように、やっぱりモダリティが多様化する中で、やっぱりその薬としての価値っていうのが非常に多様になってきている。またその製造コストっていうところも新しいモダリティについては、高いものもあれば少額というものもあり、非常に多様になっている。そういう中で現在の類似薬効比較方式と原価計算方式だけではなかなか薬の価値というものを判断するのは難しいということで、改めて新しい薬の価値とは何だという点で提案させていただきました。一方、後半の3つの提案というのは、足元で起こっているドラッグ・ラグ/ロスについて薬価という点からどういう提案ができるかということで提案を申し上げさせていただきました。特にその中で、新薬を早く導入する「迅速導入評価制度」というところでは多様な価値をしっかりとその評価するっていうことでもって、その新しい薬価収載時の価格設定ができるのではないか。その点について言えば、その2つの話っていうのは繋がってると、このように考えていただければよろしいかと思います。以上でございます。

岡田日薬連会長:はい。続いて5点目の質問はPhRMAからお願いします。

トムセンPhRMA在日執行委員長:この問題に関しましては、いま指摘されておりますようにドラッグ・ロス/ラグの問題が再発しようとしているまさに危機的な状況でありまして、例えば国家予算といいますか、社会保障費などの節減が求められている中にあっても、危機という状況があるということをよくご認識いただければと思います。

資料16ページについて松本先生も御指摘のように、これはビッグファーマだけが直面している問題ではなくて、またバイオベンチャーと両方が直面している問題であります。民間の全ての企業が研究開発をしているわけでありますけども、やはり投資したなりに、それを回収するということが必要です。またそれを原資にして、新薬開発をする。それが損なわれると悪循環が起こってドラッグ・ラグ/ロスといった問題が起こってしまうわけであります。やはりこの循環を維持していくということが必要であります。

ビッグファーマより小規模なバイオテックベンチャーとの違いは3点あると思います。1つは人的資源があるかどうかということ。それから第2に資金力あるかどうかということ。第3点としてこれは技術的な能力があるかどうかということ。でありまして特にその技術の範疇で言えば日本における規制制度などに関する理解とか、日本語対応能力とか、そういった点もビッグファーマと比べてバイオベンチャーがないというふうなことがあるかと思います。

しかし、ビッグファーマと小規模なバイオテックベンチャー等の共通項もあるかと思う。それはROI投資収益率に注目することでありまして、投資をして収益があれば、その市場に魅力があるということになり、さらにそこでの研究開発を進めようということになるきっかけとなる。

その具体例をご紹介したいと思います。一つはメルクという会社でありますけれども、そこで肺動脈性の高血圧に関する薬の第三相試験に関して、これを日本でもやろうということでいろいろ苦労がありましたがそれを進めるということにしようとしております。これも開発を続けてドラッグ・ロスをなくすためにドラッグ・ラグあったにしろここで研究開発を進めるといういい例の動きが出た。それも市場に魅力があったから、そういうことができるようになったということが言えると思います。

岩屋EFPIA会長:資料の3ページ目について質問いただきました。どのようなカテゴリーが課題かということでございました。私どもの団体といたしまして個社の研究開発情報について個別に把握しておりませんが、理由につきましては次のページにございますようにドラッグ・ラグ/ロスが生じる要因の左側に記してある理由に尽きるというふうに認識をしております。

岡田日薬連会長:7点目は類似品の再算定の合理性について製薬協の上野会長から回答をお願いします。

上野製薬協会長:はい。これいわゆる共連れの件のご質問というふうに受け止めます。共連れの現状を見ますと、確かに類似薬であるのかもしれませんが、それぞれ見ますと特に抗がん剤の場合は複数の効能を有したり、あるいは用法用量も違うもので、必ずしもその類似品と言えるものではないのではないか。そういった点での合理性はどうなのかという懸念を持ってます。

一方ですね、やはり予見性がなく他の類似品が下げられることによって他社の薬価も下がるっていうところで、先ほどのPhRMAの発表もありましたけど、そういった点も大きな問題だと考えまして、今回撤廃すべきということを述べさせていただきました。

一方、財政という点でいうと市場拡大再算定の範囲を広げることもあるんじゃないかという点で、お話ありましたけど、そもそもこの共連れという制度が日本特有のもので、そういったことでも相対的に日本の市場が魅力が低下しているということで言えば、この拡大再算定の幅を大きくするということを、それに続くものということで、我々としては反対だ。反対の意見を述べさせていただきたいというふうに思っております。以上です。

岡田日薬連会長:最後8点目は卸連に対して調整幅の問題、資料4ページの新たな仕組みということに言及して松本委員からご質問いただきました。

荒川卸連副会長:卸連の方からご回答申し上げます。まず1点目の調整幅2%を議論する上で流通コスト等の資料というかデータが要るのではないかということでご指摘ありがとうございます。私どもといたしましては、調整幅というのはご存知のように川上から川下に至る薬剤流通安定のために多面的な調整弁として機能しているというふうにご説明申し上げました。従い、川中の卸の部分のみを対象として、配送コスト等の地域差について調査を実施し、その限定的な範囲でエビデンスをもって議論が行われることは必ずしも適切ではないのではないかというふうに考えております。

そして2点目のご質問ですが、こちら薬価改定につきまして卸の価格が低いことが原因ではないかということです。私どもは薬価差については一定レベルのものは当然必要であるということで、これは医薬品の安定供給というレベルのことを考えても一定レベルが必要であるというふうに認識しております。

ただ過度な薬価差というところにつきましては、先ほどもご説明しましたように、私ども卸連といたしましては、医薬品の価値に見合った値決め、あるいは経済合理性に見合った値決めということを推進させていただくこと、いわゆる流通改善を推進させていただくことで徐々に解決に図っていきたいというふうに考えております。

そして3点目、こちら私どもがご提示しました資料の5ページのところで、薬価差8%という前提はいかがな過剰ではないかというようなご指摘ですけれども、これにつきましては資料の右下に書いてありますように前提として過去5年間の平均という数字を昨年この資料作ったときに設定をさせていただきました。

実際には今年の薬価中間年改定におきましてはこれを下回る数字になっております。また今日PhRMAからご提示いただいた資料につきましても6%の薬価差ということで加重平均ということで数字をとらまえられております。そういったところも踏まえて私どももこちら宿題事項としてアップデートさせていただきたいというふうに考えております。

佐保委員からの質問にありましたように、私どもがご提出した2ページの資料のところでいわゆる人数の削減のところでもう少し詳しい資料をいただけないかということで、これにつきましては卸連の方で宿題として持ち帰って、次回までに準備できるものはしていきたいというふうに思っております。はい以上ご回答申し上げました。

安川部会長:他に委員の方からありますか。長島委員。

長島委員:短くコメントします。予見性についてです。特許期間中に薬価が下落することは、いつどれだけ下がるか予見できたとしても下落自体が問題であれば、予見性を高めることは関係ありません。それ以外にも、いつどれだけ薬価が下がるかがはっきり予見できるようになれば、製薬企業としては、日本での上市の中止をより判断しやすくなるということもあり得ますので、ドラッグ・ラグ/ロスの解決に必ずしも結びつくものではありません。以上です。

安川部会長:他に眞田委員からもお願いいたします。

眞田委員:すいません時間が押している中で。一点だけ質問ではなく要望させていただきたいと思います。今回丁寧なご説明ありがとうございました。その中でご指摘いただいている課題であるとか、提案につきましては、今回6年度の改定で対応すべきものと、今回の改定には時間的に厳しいかもしれませんけれども中長期的に議論することが必要な2つに整理をして、これから継続議論をしていく必要があるのではないかというふうに思います。次回の業界ヒアリングの際においての要望でございますけれども、できるだけその観点から整理をいただくと同時に、具体的な客観的データあるいは分析等、具体的な事例を持ってお示しいただくようにぜひご努力いただければというふうに思う。そうすれば深い議論に繋がるのではないかと思いますので、改めてご要望させていただきたいと思いますよろしくお願いします。

安川部会長:他に委員の方からはいかがでしょうか?よろしいでしょうか?はい。今回は第1回目の業界ヒアリングということでいろいろとご意見ありがとうございました。本日の時点ではご意見ご質問は出たというふうに理解をしておりますので関係業界からの意見陳述について本日はここまでとさせていただきます。(岩屋EFPIA会長が発言を求める)

岩屋EFPIA会長:大変申し訳ないです。蛇足にならないようにしたいのですが、最後に予見性のお話いただきました。予見性が高ければそれだけでイノベーションが持ち込まれるというふうに思っていない。一方で、予見性がないところにおいて投資がしづらいというのは極自然な企業としての企業行動であります。その点については繰り返しになりますが、どうかご理解いただければというふうに思っております以上です。

安川部会長:ご意見ありがとうございました。繰り返しになりますが委員等から出ましたデータ等アップデートしていただきたいということもございますので、今後必要な資料やデータはまずは事務局の方にご提出いただいて、今後の議論に反映していただきますようにお願いを申し上げます。本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡をさせていただきます。それでは本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたします。皆様どうもありがとうございました。



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