ヘルスケア産業プラットフォーム 医薬品卸、若手の退職意向高く「企業の存続にも問題」 対応求める
公開日時 2023/10/27 04:50
医薬関連労組が集うヘルスケア産業プラットフォームは10月26日、参院議員会館内で緊急課題報告会を開き、医薬品卸で企業の中核を担う20代、30代など若手社員の退職意向が高いと問題提起した。医薬品の供給不安が続く中で、医薬品卸のMSなどにとっては本来業務ではない需給調整に追われている状況にある。ヘルスケア産業プラットフォームは、「どこの企業でも20代、30代など企業の中核となる人材が流出することは企業の存在にとって非常に問題だ。そういったことが卸の業界で起きている」として、対応の必要性を強調した。
ヘルスケア産業プラットフォームは、医薬品卸で働く組合員を対象に退職(転職)の実態を把握する目的で、Webアンケート形式で緊急調査を実施。3161人から回答を得た。調査期間は8月中旬から9月上旬まで。
その結果、この1年間で退職(転職)を考えたことのある人は54.9%。年代別に見ると、20代以下で70.9%、30代で67.7%となるなど、若年層で高率となった。理由としては、「医薬品卸の将来に負担を感じたから」(63.3%)、「労働条件(給与、賞与等)に不満があるから」(57.1%)、「医薬品卸の業務に誇りとやりがいを感じなくなったから」(46.5%)などとなった。「後発品の品切れが多すぎる状態がもう3年以上続いているにもかかわらず、一向に改善が見られず、仕事に対するモチベーションが保てなくなってきている」(20代男性・営業職)、「出荷調整による緻密な在庫管理、毎日の謝罪、メーカーさんの代わりにひどく怒られることも多々ある。本来の営業の仕事ができていなくて、精神的な疲労や労力と給料が合っていないと強く感じている」(20代女性・営業職)などの声があがった。
ヘルスケア産業プラットフォーム政策担当幹事は、「安定供給に努めようと、需給調整に必死になっていた組合員からは、本当に悲痛な声が届いている」として、対策の必要性を強調した。
◎供給不安品目の買い取り前提の増産支援、価格調整制度など物価高騰踏まえた対応を
具体的には、供給不安に陥っている医薬品などの買い取りを前提とした増産支援、急激な原材料やエネルギー価格の高騰に対応する価格調整制度の新設、価格下支え制度の整備など、物価高騰等を踏まえた対応などを求めた。このほか、中間年改定廃止を含めた薬価制度の抜本的見直しや、流通改善ガイドラインの取り組みの実効性確保などを求めた。