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厚労省・制度部会 薬機法改正へ議論スタート 佐藤監麻課長「MRのプロモーション活動実態調べて対応」

公開日時 2024/04/19 04:53
厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会は4月18日、医薬品医療機器等法(薬機法)の改正に向けた議論を開始した。花井十伍委員(特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権理事)は、2019年の改正時にMRによる誇大な情報提供が論点だったと振り返り、「今回、もう一回蒸し返していただき、部会の俎上にあげていただきたい」と要請した。厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課の佐藤大作課長は、販売情報提供活動ガイドライン施行後、不適切事例は減少傾向にあるとしたうえで、「資材以外のプロモーション活動ということであれば、実態を調べて対応したい」と応じた。また、後発品メーカーなどで行政処分が相次ぐ中で、前回の薬機法改正では見送られた責任役員の変更命令のほか、製造販売業者の安定確保義務などを議論の俎上にあげる必要性を指摘する声もあった。

◎MR活動による誇大な情報提供 「もう1回蒸し返して頂き、俎上に上げてほしい」

2019年の法改正では、不適切広告の抑止を目的として、虚偽・誇大広告に対する課徴金制度が導入された。厚労省によると、22年度の厚生労働科学研究により、影響評価を実施したところ、8割以上の企業が課徴金制度の導入が不適切広告の抑止になっていると回答している。

花井委員は、前回の議論ではMR活動に焦点が当たったと説明。「市販直後調査ではMRの協力が必要だが、営業的なモチベーションが強いところでもある。資材についても議論になったが、時期尚早ということで、MR活動のモニター事業の結果を見て決めるということで先送りになった経緯がある」と振り返った。MRの免許化などは米国でも一部の州にとどまっており、「法の規制はなかなか難しい」としながらも、「MR活動による誇大な情報提供が前回の法改正では論点だった。今回もう1回蒸し返していただいて、一応今回のこの部会の俎上に上げていただきたい」と求めた。

◎「資材以外のプロモーション活動ということであれば、実態を調べて対応したい」佐藤監麻課長

佐藤監麻課長は、「市販直後調査も含めてメーカーのMRが医療現場に提供する資材の中に誇張したもの、販売情報提供活動としてエビデンスのない説明など不適切なものがないか、モニタリング事業でチェックしている状況だ」と説明。販売情報提供活動ガイドライン施行後、不適切事例は年々減少傾向として、「会社でもガイドラインに沿って資材を監査する仕組みを作っていただいており、実効性はあがってきているのではないかと思っている」との見方を示した。そのうえで、「ご指摘が、資材以外のプロモーション活動ということであれば、実態を調べて対応したいと思っている」と応じた。

花井委員は、業界代表の委員が資材について企業間でバラつきが大きいと説明したことに触れ、「業界団体として使うなという禁止系は難しいと思うが、適切なものに印をするなどできないか尋ねたが、次期尚早で足並みが揃いにくいということだった。5年経つので、何か業界として取り組みができないかと期待している。国として認定するところを求めたが、そこまで必要ないとすれば、全体として同じ基準で襟を正す仕組みを考えていただきたいというのが私の希望だ」と述べた。

◎佐藤課長 新製品のリリースは「広告とは明確に言えないが、販売情報提供活動に含まれる」

一方で、医療系メディアの経歴のある北澤京子委員(京都薬科大非常勤講師)は、「厚労省のQAを見ると、プレスセミナーも販売活動とみなしかねないというような言い回しになっている。それを理由に製薬企業がこれも言えない、出せないと言っているように聞いている」などと述べ、厚労省の見解を聞いた。

佐藤課長は、「企業の行うプレスリリースやそれに伴う様々な報道発表について、安全性情報などは明らかに販売情報提供活動ではないことになるが、一方で、新製品のリリースに関するものは広告とは明確に言えないにせよ、販売情報提供活動に含まれている。私どもはガイドラインの適応対象だと考えている」と明確に説明した。また、医療関係者から比較情報が得づらくなったことからQ&Aを発出して運用の改善を図ってきたとして、「マスコミから見て、こういう情報が出にくくなったとか後ろ向きだということがあれば意見をお寄せいただき、運用の改善を図っていきたい」と応じた。

また、薬機法66条(虚偽・誇大広告の禁止)と販売情報提供活動ガイドラインとの関連を問われ、「流布等を含めて広告に当たるものを規制するという考え方。販売情報提供活動ガイドラインの適用範囲の広告の一歩手前であっても、販売情報提供を促進するという観点で行われるものに対して、上乗せ的に行われているのがガイドラインの趣旨だ」と説明した。

このほか、今後の検討事項に「リスクベースドアプローチの推進・RMP(医薬品リスク管理計画)制度の見直し」が盛り込まれていることに花井委員が触れた。市販後調査をリスクベースに見直す一方で、市販直後調査の重要性が増す中で、「MRさんがRMPを持ってこずに、インタビューフォームや関連資材ぐらいしか持ってこないケースもある。保険収載されると、なるべく販売したいというところにリソースが割かれる」と指摘。医師や薬剤師が忙しく、副作用情報に割く時間がない中で、「国として一定程度、人的手当などしないと難しいのではないか。または企業にもっと必要な人員を割くべきと規制するのか。本当に実効性がある形で制度設計をお願いする議論をしていただきたい」と述べた。

◎製造販売業者の責務に「安定供給確保の義務付け検討を」 責任役員の変更命令検討も

森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は前回の法改正で責任役員の変更命令が盛り込まれなかったことに触れ、「5年間で後発品業界の不祥事があったので、これについては引き続き検討していくべきだ」との考えを表明した。

また、「ドラッグロスや供給不足などの医薬品等へのアクセスの課題に対応した安全かつ迅速な承認制度の確立」が検討テーマに上がる中で、24年度薬価制度でも対応されたことに触れたうえで、「薬事上見直しできることは見直すべきだと考えている」と表明。「ただ、前提としてあくまで安全性の確保が脅かされることのないような制度設計が必要だ。医薬品は安定供給確保が大前提、安定供給に支障を来すことになると、国民の生命を脅かすことになる。医薬品の製造販売業者の責務として、安定供給の確保を義務付けるなどを含めて検討すべき」との見解を示した。

◎7月を目途に議論整理、秋以降検討を深め年内に意見とりまとめへ

検討するテーマは、①ドラッグロスや供給不足などの医薬品等へのアクセスの課題に対応した安全かつ迅速な承認制度の確立、② 新技術による医薬品等にも対応したリスクに基づく市販後安全性対策の強化、法違反事例を踏まえたさらなる法令遵守や品質確保の取組の実施、③ 国民からの信頼性確保に向けた体外診断用医薬品・医療機器の規制の見直し、④ 少子高齢化やデジタル化の進展等に対応した薬局・医薬品販売制度の見直し―。5月以降にテーマごとに検討を進め、7月を目途に議論を整理。秋以降さらに検討を深め、年内を目途に意見を取りまとめる予定。

薬機法は2019年に改正されており、施行後5年を目途に法改正に向けた議論を行うこととされている。


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