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住友ファーマ・木村新社長 日本事業再建「痛みを伴う非常に厳しいディシジョン」 大型品の特許切れ迫る

公開日時 2024/06/27 05:30
住友ファーマの代表取締役社長に25日付で就任した木村徹氏は6月26日、本誌などの取材に対し、「日本事業再建」に課題認識を示し、「足下の痛みを伴う非常に厳しいディシジョンも伴うようなことになりうると想定している」と語った。日本市場では、パーキンソン病治療薬・トレリーフ、糖尿病治療薬・エクア、エクメットが相次いで特許切れする。木村社長は、「今年以降、日本事業は非常に厳しくなる」と見通し、組織だけでなく、風土改革も含めた構造改革に着手する姿勢を鮮明にした。ブリッジローン約1450億円の返済期限が9月に迫る中で、早期に構造改革の絵姿を現実にする必要性にも触れ、「今年中にやりきる」と強調した。

◎トレリーフ、エクア、エクメットの特許切れ相次ぐ「全体を小さくするところが必要」

木村社長は課題の一つに、「日本事業の再建」をあげた。トレリーフが今年6月、エクアが12月、エクメットは25年6月に特許切れを迎え、後発品の参入が見込まれる。「昨年までは日本ではきちんと利益が出ていたが、今年以降、日本事業は非常に厳しくなってくる」との見方を表明。ブロックバスターとなった抗精神病薬・ラツーダがブロックバスター化する中で、「組織体制が必ずしも最適化されていないところがある。それを今の事業規模、製品群に応じた形に効率化するというのが非常に大きな今年の課題だと認識している」と述べた。「営業には限らないが、全体を小さくするところが必要になると思っている」とも話した。

人員削減については、「人事政策は非常に重要なことで、決断、決定したら即座に適時開示する。決断するまで申し上げられない状況にある」と明言を避けた。ただ、「今年中にやりきる。始めるのではなく、やり終えるということ」と話し、早期に決断、実行に移す考えを示した。北米では23年期初の2300人から2回のリストラを経て同年期末には1200人にほぼ半減させたが、「やると決めれば、50人、60人ということではない。北米のように半減ということは現実的ではない」と述べ、数百人規模の人員削減を視野に入れていることも示唆した。

MR数については、糖尿病治療薬が主力品であることから、「日本の開業医を面でしっかりカバーできるような営業体制を敷く必要がある。そうすると、1000人というのは、リミットの数字になる。それを諦めるとすると、どれぐらいが適正かということになると思う。定性的にはそのあたりが一つの考えるポイントになると思う」とも話した。なお、同社の24年度のMR数は本誌調査によると、870人。

◎改善計画示す中で「曖昧なことでは許されない」 

木村社長は、「我々の場合は大きな借入金があり、銀行あるいは債務保証をしている親会社から、我々の新しい方向性をしっかり理解してもらう必要もあるし、皆さんにそれを示す必要もあると思う。そうした中で、曖昧なことでは許されない。しっかり実行して形が出るということ」と説明。「例えば、来年度上市して200億円売り上げるというのは、ウィッシュ(意志)はあるが、曖昧さがある。しかし、組織改編、あるいはコスト改善、コア事業の売却などは自分のディシジョンでできることなので、しっかりやる。改善計画を示し、それにアドオンすることがあれば、さらに成長性が増すという話に今の状況となればならざるを得ない」と苦しい胸の内を語った。

◎製品導入に頼って計画する「余裕はない」

国内市場では、同社のMR力を活かした製品導入にも意欲をみせてきた。現在もこうした方向性は継続しつつも、「多くの外資の製薬会社が、日本での販売体制は整えている」と説明。ロイヤリティなどを踏まえた難しさがあるのが「数年間の経験でもあり、実感でもある。そこに頼って計画している余裕はもうないと思う」とも述べた。

◎社内の不安払しょくへ「具体的に何をするか、その先に何があるかしっかり示す」

構造改革に際しては、「新しい体制を作り上げることが必須だ。組織あるいは形を最適化するだけではなく、風土そのものをより厳しい風土に変えていくということとセットだと思っている」と強調。「個々の社員は一生懸命働いている。さぼってる人は誰もいないが、仕事の仕方に無駄があったり、重複感があったり、あるいはベクトルが揃ってなかったりというようなことで非効率っていうのは出ている。そういうところをしっかりしたら、もっと筋肉質な体制になると思う。それを今年度中にはしっかりやりきる」と強調した。

社内では不安感が高まっているとの見方もあるが、「今年の決算が出て、銀行の返済猶予で住友化学の全額保証もあり、事業は安定して継続できているが、全く違う状況になっている。急激に状況が変わったことについての社員に対するメッセージがまだ不足しており、何か起きるかもしれないという漠然とした不安感があるのだと思う」と述べた。そのうえで、「具体的に何をするか、その先に何があるかということをしっかりお示しすることで不安感は払しょくできると思うし、それは早急にやっていきたい。今、色々な所で動いているところだ」と話し、改善計画の策定を急ぐ考えを強調した。

◎北米事業「今年度の予算達成」に自信 予想と大幅に違うことは「もう起きない」

23年度の決算ではコア営業損失1330億円、営業損失3549億円、親会社帰属当期損失3150億円の大幅赤字に転落した。ラツーダの特許切れに加え、完全子会社化したマイオバントの影響が大きい。木村社長は、「(マイオバントの)経営陣が少数株主の保護に過剰に配慮しているところがあり、会社の中身が一般の株主と同じぐらいにしか見えなかった」と吐露。「ボード(経営会議)のマジョリティーが持てなかったことが大きい。経営方針が違うと思っても、経営者を変える力を持っていなかったことに尽きる」と振り返った。

住友ファーマがグリップを強めた現在は、「売上の予想が大幅に違うようなことは、もう起こらないと思う。営業の末端まで我々は完全にグリップできているし、アメリカのCEOも4月から気心の知れた我々のメンバー(中川勉取締役)に変わっているのでそういう意味では全く心配していない」と説明。現在は予想通りの推移を示しているといい、「4月、5月の数字はもう固まっているが、強含みで推移している」と強調。医薬品卸との契約からポイントとなる6月も推移を維持しているとして、「今年の予算については、北米は達成できる。北米事業が一番の稼ぎ柱になる。しっかり拡大していく」と意欲をみせた。

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