ギリアド・ブライスティング社長 HIV暴露前予防の適応追加は「HIV流行終結の最初の一歩」
公開日時 2024/09/26 04:49
ギリアド・サイエンシズのケネット・ブライスティング代表取締役社長は9月25日、HIV/AIDSに関するメディアセミナーで、抗HIV治療薬・ツルバダ配合錠のHIV-1感染症の暴露前予防(PrEP)の追加適応について、「日本でのHIV流行終結に必要不可欠」と意義を強調した。国連合同エイズ計画(UNAIDS)は2030年までのHIV流行終結を目標に掲げており、ブライスティング社長は「これは最初の一歩に過ぎない。HIV予防の理解を広げ、保険償還を含めた幅広いアクセス確保へ連携を続けていきたい」と述べた。
◎エイズ治療・研究開発センター・岡氏 「PrEPは検査とのパッケージが必須」
セミナーでは、国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センターの岡慎一名誉センター長が講演し、日本では23年にも960人の新規感染者が報告されている現状を紹介。HIV感染リスクが高い人に対してPrEPはWHOガイドラインでも推奨され、非感染者に対するPrEPは、感染者への効果的な治療による「U=U」(Undetectable equals untransmittable:ウイルス量が低下したHIV陽性者はほかの人に感染させない)とともに「新規HIV感染者ゼロへの両輪になる」と強調した。
加えて、岡氏はPrEP希望者に求められる定期的な感染リスク評価やHIV検査などに触れ「ただ薬を出せばいいだけでなく、必ず検査とパッケージで行うことが重要。PrEP開始後も繰り返して定期的なフォローアップが必要だ」と訴えた。また、今後の課題として、若い世代を念頭に「持続可能な費用でまかなえることも大事だ」と主張。PrEPは予防的投与のため保険適用外だが「場合によっては補助や公的な仕組みなども今後考えていく必要がある」と述べた。
ツルバダは2005年にHIV-1感染症治療薬として製造販売承認され、19年からギリアドが承継し、販売と情報提供活動を手掛ける。HIV-1感染症のPrEP適応については、18年に日本エイズ学会が厚生労働省に要望書を提出。未承認薬・適応外薬検討会議での協議結果を踏まえ、医療上の必要性が高いと判断され、8月28日に公知申請に基づく承認事項の一部変更承認を取得した。