ギリアド・ブライスティング社長 細胞療法でリーダーに「イエスカルタの認定施設増で治療機会拡大を」
公開日時 2024/06/21 04:51
ギリアド・サイエンシズのケネット・ブライスティング代表取締役社長は6月20日のメディアランドテーブルで、「グローバルでの細胞療法におけるリーダーシップを確立」する姿勢を示した。イエスカルタの投与に際し、投与できる認定施設が日本では「限定的」と指摘。「患者さんのニーズを完全に満たす数に必要がある。多くの病院が認定を取得し、イエスカルタの治療機会を拡大することが必要だ」と強調した。最適使用推進ガイドラインに記載されている施設要件を満たす必要があるが、治療機会拡大に向けて、政府と対話を進めていることも明かした。
◎「ギリアドとKiteはワンチーム」 細胞療法の成功には専門人材必要
「2030年までにTop10オンコロジーカンパニーになる」ことを掲げる同社。30年末までに10種類以上の革新的新薬の上市を目指している。23年時点ですでに5品目が上市されており、このうち2品目がオンコロジー領域だ。ブライスティング社長は、オンコロジー領域が会社の成長を加速させると強調した。この事例の一つが「CAR-T細胞療法」だ。
CAR-T細胞療法・イエスカルタをめぐっては、23年6月に第一三共からギリアド日本法人への国内製造販売承認の承継を完了した。ブライスティング社長は、「ギリアドとKiteはワンチーム」と強調。イエスカルタの適応拡大に加え、Tecartusの上市を控える中で、CAR-T細胞療法で成功を収めるには「専門の人材とCAR-T細胞療法に特化した専任のチームが必要」との見方も示し、一体となって製品価値最大化に注力する姿勢を強調した。
イエスカルタについては強固なエビデンスに加え、96%の製造成功率、ターンアラウンドタイムが14日間(米国)で短期間で治療提供を可能にしているなど、製造能力も強みだと強調した。
◎イエスカルタの認定施設「70以上の病院が資格を持つことができると思う」 政府と交渉も
一方で、課題と言えるのが投与施設が可能な認定施設数だ。第一三共から承継が完了した23年6月時点では、投与が可能な認定施設は6施設だったが、38施設(24年5月)にまで増加した。ブライスティング社長はグローバルで455施設が認定されているなかで、「日本ではまだ能力が限定的」と指摘。「政府と交渉しながら、より多くの病院が認定を受けるようにしたいと伝えている。センターの数を増やしていきたい」と訴えた。「70以上の病院が資格を持つことができると思う」と踏み込んだ。
グローバル全体でも認定施設の拡大に取り組んでいると言い、Kite Pharmaのシンディ・ペレッティエグゼクティブ・バイス・プレジデントは、「認定施設の拡大で患者の住んでいる場所に近い所で治療を受けることを可能にしている」とメリットを強調。コミュニティの治療者と地域の病院との連携で、治療を行っているケースもあることを紹介した。
◎国立がん研究センターと新たな戦略的提携「新たなイノベーションのエンジン」
Kiteと国立がん研究センターと新たな戦略的提携を結んだことも明らかにした。CAR-T細胞療法の研究を推進し、日本人をより理解し、研究を共有して細胞療法のゴールを目指すという。ペレッティエグゼクティブ・バイス・プレジデントは、「新たなイノベーションのエンジンになる」と強調した。