楽天メディカル 光免疫療法と抗PD-1抗体薬併用による国際共同第3相試験 国内5施設でスタート
公開日時 2025/07/30 04:50

楽天メディカルは7月29日、光免疫療法「アルミノックス治療」と抗PD-1抗体薬・ペムブロリズマブとの併用療法を評価する国際共同第3相臨床試験を国内5施設で開始したと発表した。この試験は遠隔転移を伴わない局所再発頭頸部扁平上皮がん患者に対するファーストライン治療を目指すもので、米国や台湾などを含めたグローバルスタディ。同社の三木谷浩史・代表取締役会長は同日の記者説明会で、「日本の医療界、病院関係者も含め、二人三脚で進めてきた日本を代表する治療法だと思う。これを世界に広げていきたい」と意欲を示した。
同社の開発するアルミノックス治療は、抗体などで特定の細胞をターゲットとし、特定の光を当てることで細胞を破裂させる治療法。国内では、2020年9月に切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部がんを対象に承認を取得している。同社は、複数のがんや細胞などほかのターゲットに応用させていく技術として「アルミノックスプラットフォーム」と名付け、開発を進めている。
◎東京医大病院、愛知県がんセンター、京都府立医大病院、鳥取大病院、広島大病院が参加
今回の第3相試験には、東京医科大学病院、愛知県がんセンター、京都府立医科大学附属病院、鳥取大学病院、広島大学病院の5施設が参加する。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は完全奏効率(CRR)、全奏効率(ORR)。実施期間は2024年12月24日~28年9月1日を予定。グローバル全体では400人以上の患者登録を予定しており、27年末までの組み入れ完了を目指す。三木谷会長は、「医薬品とデバイスのコンビネーションという新しいプロセスを治療現場でも取り入れていく必要がある。日本の医療界や病院関係者と進めてきた治療法を世界に広げていきたい」と抱負を述べた。
◎抗EGFR抗体、抗CD25抗体、抗PD-L1抗体を用いた3プロジェクトが進行中
同社の前田陽代表取締役副会長は、正常な組織へのダメージを抑えて標的細胞を壊死させるアルミノックス治療の特徴を踏まえたうえで、現在の開発プロジェクトを説明。現在、抗EGFR抗体、抗CD25抗体、抗PD-L1抗体を用いた3つのプロジェクトが進行しており、今後HER2などにも研究を進めていくことを明かした。前田副会長はまた、「がんの根治と臓器機能の温存の両方を実現していくような治療を作っていく。がん患者さんがQOLを犠牲にすることなくがんを克服し、根治していく世界を作っていきたい」と強調した。