ロート製薬 新卒採用で書類選考廃止 Entry Meet採用導入で対話型選考へ 生成AI時代の均質化に危惧
公開日時 2025/12/18 04:49

ロート製薬は12月15日、新卒採用においてエントリーシートによる書類選考を廃止し、人事担当者との15分間の対話を第一ステップとする選考を行うと発表した。「Entry Meet(エントリーミート)採用」と名付け、2027年4月入社を目指す大学生・大学院生の新卒採用から導入する。同社では生成AIの普及によりエントリーシートの内容が均質化し、応募者一人ひとりの個性を十分に把握できていないことが課題となっていたという。Entry Meet採用による直接対話を通じて、価値観やビジョンをより深く確かめ合う狙いがある。
Entry Meet採用は、2026年1月16日から、全国8拠点で行う第一選考で実施される。人事担当者と15分間、志望動機や実現したい目標などを対話し、学生と企業の相互理解を深める。これまでの人生を年表形式のグラフで振り返る「人生グラフ」と簡単なアンケートを提出した志望者は原則として全員がEntry Meet採用に進むことができる。
同社ではこれまで、新卒採用の初期段階で書類選考を行ってきたが、生成AIを活用してエントリーシートを作成する学生が増えたことで、本質的な個性や可能性を見極めにくくなっていた。同社はAI面接の有効性も認めつつ、「技術革新とともに形づくられてきた現在の採用プロセスが当社や学生にとって最適なのかを改めて問い直す必要があると考えた」としている。
Entry Meet採用の導入により、同社では、書類やAI面接による一方向の評価に頼らず、直接対話を通じて価値観やビジョンを確かめ合えるとしている。同社は、「私たちは採用を“未来を共につくる仲間探し”と考えている。この取り組みが就職活動のあり方を見直す一つのきっかけとなり、就活や仕事を通じて自分らしくウェルビーイングに働ける社会の実現につながるよう、学生のみなさんと真摯に向き合い続けていく」とコメントしている。