企業の苦情処理窓口 2割は「窓口が認識しにくい」 報告意欲の低下や情報提供の機会損失になると警鐘
公開日時 2026/01/13 04:52
製薬協加盟各社(25年4月時点)のホームページにおける苦情処理窓口の設置状況を調査したところ、窓口を認識することが難しい企業が全体の2割あり、一部に外国語サイトへの移動を求めていることがわかった。苦情報告の方法も、電話やフォームなど単一チャネルに限定する企業が多く、完全に匿名で報告できる企業はわずか2社のみだった。調査は日本大学病院薬剤部の佐々木祐樹氏と杏林大学医学部付属病院薬剤部の若林進氏が行い、第35回日本医療薬学会年会で発表した。本誌取材に応じた佐々木氏は、「窓口が認識しにくいことは、報告意欲の低下や情報提供の機会損失にもつながる可能性もある」と述べ、適切な対応と改善を企業側に求めた。
調査は、製薬協に加盟する67社のホームページから苦情処理窓口の設置の有無、苦情窓口として認識可能な階層に深さ、認識のしやすさ、報告方法、報告のしやすさについて調査したもの。苦情処理窓口の設置については、他の製薬企業とも提携による受託生産事業をおこなっている1社を除く、66社で「販売情報提供活動」と明記された苦情窓口の設置を確認することができた。
◎苦情窓口への導線 全てトップページから3階層以内に設置 外国語サイトへの誘導も
販売情報提供活動の内容に関するホームページ上での苦情窓口への導線を「階層の深さ」でみると、1階層で認識可能な企業が55社(83.3%)、2階層の企業が5社(7.6%)、3階層の企業が6社(9.1%)で、すべてトップページから3階層以内に設置されていることを確認した。ただ、「認識のしやすさ」については、自社のホームページのトップに「お問い合わせ」を記載(リンク)する企業がある一方で、メールのイラストのみ掲載する企業や、ページの一番下までスクロールしないと認識できない企業もあった。このほか外国語サイトへの移動を求める企業もあるなど、企業間で対応にバラツキがみられた。
◎報告フォーム 氏名、メルアドなど個人を特定する項目が多数 完全匿名はわずか2社
苦情に関する報告方法のチャネルについては、「フォームのみ」30社(45.5%)、「電話のみ」25社(37.9%)、「メールのみ」5社(7.6%)と単一チャネルしか用意していない企業が多数を占める。「電話・フォーム」の2チャネルは5社(7.6%)、「電話・FAX・フォーム」の3チャネルを用意する企業はわずか1社(1.5%)となっている。さらに報告フォームで入力必須項目の割合をみると、氏名94.4%、メールアドレス91.7%、電話番号80.6%、勤務先58.3%、職種55.6%、住所関連(住所、郵便番号、都道府県など)47.2%で、完全に匿名で報告できる企業は2社のみとなっていた。
◎杏林大病院・若林氏 「いざ報告しようとすると窓口の場所が認識しにくい」
杏林大学医学部付属病院薬剤部の若林氏は、「いざ、実際に報告しようとすると(企業の)窓口の場所が認識しにくく、報告方法が統一されていない、入力方法が煩雑など様々な問題が見られた」と指摘。製薬各社の苦情窓口の設置状況を調査し、より報告しやすい環境を検討することにした」と今回の調査目的を明かした。
◎日大病院・佐々木氏「発信者にとって心理的なハードルも高い」報告しやすい環境を
日本大学病院薬剤部の佐々木氏は、「窓口が認識しにくいという事例は報告者の負担になり得るため、報告意欲の低下や情報提供の機会損失につながる可能性も考えられる」と強調。さらに、「発信者にとっては心理的なハードルも高い行為であることを踏まえると、報告方法については複数のチャネルを用意することや、匿名での報告を可能にすることなどで、報告しやすい環境となると考えられる」と述べ、企業側に理解を求めた。