新薬16製品が薬価収載へ 4抗がん剤に有用性加算 ノバルティスの悪性黒色腫薬に45%加算

公開日時 2016/05/19 03:52
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厚労省の中医協・総会は5月18日、新薬16製品(16成分27品目)を薬価収載することを決めた。同省は5月25日収載予定。抗がん剤4製品に有用性加算が認められ、その中でノバルティスファーマのBRAF遺伝子変異の悪性黒色腫に対するBRAF阻害薬とMEK阻害薬の2製品は、全生存期間を延長する効果があるとして45%の加算がついた。そのほか、エーザイの新規抗てんかん薬フィコンパ錠、Meiji Seika ファルマの新規統合失調症治療薬シクレスト舌下錠も収載されることになり、シクレストについては10年後のピーク時の販売金額を385億円と予測した。

収載が決まった製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)

サブリル散分包500mg(ビガバトリン、サノフィ)
薬効分類:113 抗てんかん剤(内用薬)
効能・効果:「点頭てんかん」
薬価:1包1487.00円(1日薬価:3628.20円)
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数140人、販売金額2.3億円
加算なし

希少疾病用医薬品。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を経て、厚労省から開発要請を受け、アルフレッサファーマと共同開発された。日本においては1990年代に開発されたことがあるが、海外での不可逆性の視野狭窄の副作用の報告を受け、開発が中止されていた。米国でも視野狭窄の副作用が問題視されたが、厳格な管理下で使用されている。そのため今回、承認条件として、使用にあたっては講習を義務づけ、処方医のみならず、眼科、薬局でも十分な安全対策がとられること求める。

「点頭てんかん」は通常1歳未満の乳児に発症する稀な難治性のてんかん。乳幼児での死亡率は5~30%と推定される。患者数は2997人(2012年度小児慢性特定疾患治療研究事業の全国登録状況)。

フィコンパ錠2mg、同4mg(ペランパネル水和物、エーザイ)
薬効分類:113 抗てんかん剤(内用薬)
効能・効果:「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)、強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法」
薬価:
2mg1錠189.70円
4mg1錠310.20円(1日薬価:930.60円)
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数7.5万人、販売金額131億円
加算なし

AMPA受容体の活性化を非競合的に阻害し、神経の過興奮を抑制するAMPA受容体拮抗薬。1日1回2mgの就寝前投与から開始し、その後1週間以上の間隔をあけて2mgずつ漸増する。同剤はCYP3Aで代謝されるため、同酵素を誘導するフェニトインなどと併用すると、効果が減弱する。そのため、それら代謝促進する薬剤と併用する場合の維持用量は1日1回8~12mg、併用しない場合は1日1回8mgとする。

シクレスト舌下錠5mg、同10mg(アセナピンマレイン酸塩、Meiji Seika ファルマ)
薬効分類:117 精神神経用剤(内用薬)
効能・効果:「統合失調症」
薬価:
5mg1錠:274.00円(1日薬価:548.00円)
10mg1錠:411.00円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数31万人、販売金額385億円
加算なし

非定型抗精神病薬。通常1回5mgを1日2回舌下投与から開始。維持用量は1回5mgを1日2回。最高1回10mgを1日2回まで。同社は中枢神経領域を重点領域とし抗うつ薬を持っていたが、統合失調症の治療薬は初めて取り扱うことになる。

イムブルビカカプセル140mg(イブルチニブ、ヤンセンファーマ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:「再発または難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」
薬価:140mg1カプセル9367.00円(1日薬価:2万8101.00円)
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数470人、販売金額44億円
有用性加算(I)(A=35%):加算理由「ブルトン型チロシンキナーゼを阻害する新規の臨床上有用な作用機序を有する。1レジメン以上の前治療歴がある患者を対象とした海外フェーズ3試験で有効性が認められ、治療方法の改善が客観的に示されている。ただ、日本人の治験症例が限られていること等から、加算率は35%が適当」

希少疾病用医薬品。1日1回経口投与のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬。悪性B細胞ではBTKを含むB細胞受容体シグナル伝達経路が過剰に活性化しているが、イブルチニブはBTKと強固な共有結合を形成し、悪性B細胞の過剰な細胞生存シグナルの伝達を抑え、リンパ節などでの過剰な細胞増殖を阻止する。患者数は慢性リンパ性白血病が約1000人、小リンパ球性リンパ腫が約1600人と推定。

ジカディアカプセル150mg(セリチニブ、ノバルティスファーマ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:「クリゾチニブに抵抗性のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がん」
薬価:150mg1カプセル6297.00円(1日薬価:3万1485.00円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数530人、販売金額16億円
加算なし

希少疾病用医薬品。がん細胞の増殖に関与するALK融合遺伝子の活性を阻害することで効果を発揮するALK阻害薬。通常、成人には1回750mgを1日1 回、空腹時に経口投与する。ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん患者数は約2200~5500人と推測され、非小細胞肺がん全体の2~5%程度とされる。

タグリッソ錠40mg、同80mg(オシメルチニブメシル酸塩、アストラゼネカ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん」
薬価:
40mg1錠1万2482.50円
80mg1錠2万3932.60円(1日薬価:2万3932.60円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数2400人、販売金額135億円
有用性加算(II)(A=5%):加算理由「既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のあるEGFR T790M変異陽性の非小細胞肺がんに対して一定の有効性が確認されていることから、治療方法の改善が示されている」

1日1回経口投与で用いる。EGFR阻害薬が奏効しても、ほとんどの症例で1年程度で耐性化し病状が進行するが、この耐性化した症例の過半数にT790M変異がみられるという。ただ、T790M変異陽性肺がんに対する治療薬がないため、日本肺癌学会が15年7月に同剤の早期承認を厚労相に求めていた。EGFR T790M変異陽性の非小細胞肺がん患者数は約1万9700人~3万5300人と推測されている。

タフィンラーカプセル50mg、同カプセル75mg(ダブラフェニブメシル酸塩、ノバルティスファーマ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」
薬価:
50mg1カプセル4860.60円
75mg1カプセル7156.50円(1日薬価:2万8626.00円)
市場予測(3年後):投与患者数80人、販売金額5.0億円
有用性加算(I)(A=45%):加算理由「BRAF V600変異のある根治切除不能な悪性黒色腫患者を対象にした臨床試験で、トラメチニブ(以下、TRA)との併用で、主要評価項目の全生存期間をベムラフェニブ群と比較して統計学的に有意な延長が示された。また、米欧の標準の診療ガイドラインで、TRAとの併用療法が高いエビデンスレベルで第一選択に推奨されている」

希少疾病用医薬品。腫瘍増殖に関わる「BRAF V600遺伝子」の変異型のセリン/スレオニンキナーゼを阻害し、腫瘍増殖を抑える。用法・用量は「通常、成人にはダブラフェニブとして1回150mgを1日2回、空腹時に経口投与する」。単剤投与も可能。国内の悪性黒色腫患者は約4000人で、「BRAF V600遺伝子」の変異を有する患者は800人~1200人と推定される。

メキニスト錠0.5mg、同錠2mg(トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物、ノバルティスファーマ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:「BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫」
薬価:
0.5mg1錠7731.70円
2mg1錠2万9021.00円(1日薬価:2万9021.00円)
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数70人、販売金額5.1億円
有用性加算(I)(A=45%):加算理由「BRAF V600変異のある根治切除不能な悪性黒色腫患者を対象にした臨床試験で、ダブラフェニブ(以下、DAB)との併用で、主要評価項目の全生存期間をベムラフェニブ群と比較して統計学的に有意な延長が示された。また、米欧の標準の診療ガイドラインで、DABとの併用療法が高いエビデンスレベルで第一選択に推奨されている」

希少疾病用医薬品。タフィンラーカプセルと併用する。BRAF遺伝子変異による腫瘍増殖に関わる酵素であるMEK(MEK1、同2)を阻害する作用を持つ。これにより腫瘍の増殖を抑える。用法・用量は、「ダブラフェニブとの併用において、通常、成人には1回2mgを1日1回、空腹時に経口投与する」。

プリマキン錠15mg「サノフィ」(プリマキンリン酸塩、サノフィ)
薬効分類:641 抗原虫剤(内用薬)
効能・効果:「三日熱マラリア及び卵形マラリア」
薬価:1錠2211.80円(原価計算方式で算定)
市場予測(ピーク時2年後):投与患者数33人、販売金額204万円
加算なし

これらマラリアの治療には、まず血液中のマラリア原虫を殺す薬剤を用いるが、休眠原虫が肝細胞内に残存し、再発のおそれが残る。それに対し今回申請した薬剤は効果を発揮して完全治癒に導く。唯一の根治治療薬として60年以上、臨床使用されてきたという。日本熱帯医学会、日本感染症教育研究会から厚労省に開発要望があり、同省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発の必要性があると判断され、厚労省から開発要請されていた。

マラロン小児用配合錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩、グラクソ・スミスクライン)
薬効分類:641 抗原虫剤(内用薬)
効能・効果:「マラリア」
薬価:1錠161.50円 (1日薬価:484.50円)
市場予測(ピーク時初年度):投与患者数2人、販売金額2.4千円
加算なし

ヌーカラ皮下注用100mg(メポリズマブ(遺伝子組換え)、グラクソ・スミスクライン)
薬効分類:229 その他の呼吸器官用薬(注射薬)
効能・効果:「気管支喘息(既存治療で喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」
薬価:1瓶17万5684円(1日薬価:6274円)
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数7.3千人、販売金額143億円
加算なし

喘息の症状に関与するインターロイキン-5(IL-5)を標的とし、好酸球の増殖・活性化を抑制し、好酸球に起因する気道炎症に伴う喘息増悪を抑える。高用量の吸入ステロイド薬、他の長期管理薬によっても増悪をきたす重症患者が適応となる。類薬にはゾレア皮下注用があるが、同剤は症状に関わるIgEに作用するもので、ヌーカラと作用が異なる。

カヌマ点滴静注液20mg(セベリパーゼ アルファ遺伝子組換え、アレクシオンファーマ)
薬効分類:395 酵素製剤(注射薬)
効能・効果:「ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(コレステロールエステル蓄積症、ウォルマン病)」
薬価:20mg10mL1瓶 127万7853円(原価計算方式で算定)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数14人、販売金額10億円
加算なし

ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL欠損症)は、リソーム酸性リパーゼをコードとする遺伝子が欠損する常染色体劣性遺伝疾患で、肝障害や脂質異常症など重篤な合併症をきたすことが多い。乳児期に発症すると通常、生後6カ月以内に死亡する。

ゾーフィゴ静注(塩化ラジウム223Ra、バイエル薬品)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:「骨転移のある去勢抵抗性前立腺がん」
薬価:1回分68万4930円(原価計算方式で算定)
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数3千人、販売金額94億円
加算なし

進行した状態である去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)では、患者の多くが骨転移しているといい、疼痛や骨折、脊髄圧迫、生存期間に影響するとされる。同剤は放射性医薬品で、骨転移巣に対し、同剤から放出されるアルファ線がDNAの二重鎖切断を誘発し、殺細胞効果を示す。

アディノベイト静注用500、同1000、同2000(ルリオクトコグ アルファペゴル(遺伝子組換え)、バクスアルタ)
薬効分類:634 血液製剤類 (注射薬)
効能・効果:「血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制」
薬価:1瓶(溶解液付)
500国際単位5万9372円
1000国際単位11万0104円
2000国際単位20万4184円
(1日薬価:7万2923円)
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数1700人、販売金額213億円
加算なし

出血時の止血管理、定期補充療法に用いる。PEG化することで既存製剤よりも血中半減期を延長させた。

コバールトリイ静注用250、同500、同1000、同2000、同3000(オクトコグ ベータ(遺伝子組換え)、バイエル薬品)
薬効分類:634 血液製剤類 (注射薬)
効能・効果:「血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制」
薬価:1瓶(溶解液付)
250国際単位2万6680円
500国際単位4万9477円
1000国際単位9万1753円
2000国際単位17万0154円
3000国際単位24万4197円
(1日薬価:7万2923円)
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数1100人、販売金額133億円
加算なし

出血時の止血管理、週2または3回の定期補充療法に用いる。

マーデュオックス軟膏(マキサカルシトール/ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル、中外製薬)
薬効分類:269 その他の外皮用薬(外用薬)
効能・効果:「尋常性乾癬」
薬価:1g231.00円(1日薬価:462.00円)
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数9.3人、販売金額36億円
加算なし

両成分とも単剤で尋常性乾癬の効能・効果があり、単剤療法または併用療法が実施されている。

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