日米欧3製薬団体 “強い口調”で新薬創出等加算の見直し「再考を」 欧米団体は政府に揺さぶり

公開日時 2017/11/30 03:52
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日本製薬団体連合会(日薬連)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)の日米欧の製薬3団体は11月29日の中医協薬価専門部会で、厚労省が薬価制度改革案に盛り込んだ新薬創出・適応外薬解消等促進加算の見直しについて強い口調で再考を求めた。特にPhRMAのエイミー・ジャクソン日本代表は、「正直申し上げて、すべての企業がショックを受け、落胆している。世界に対して、日本がイノベーションの競争から脱落するというメッセージを発信することになりかねない」と発言し、日本への投資の減少やドラッグ・ラグの再燃への懸念を示し、今回の政府の対応を牽制した。この発言に代表されるように、日米欧の製薬団体は、厚労省の薬価制度改革の骨子案に対する唯一の発言機会と捉え、各発言者ともこれまで増して“強い口調”での主張を展開した。


【ヒアリングに臨む製薬業界の本当の声】


この日の製薬業界の意見陳述には、一つの共通した想いがあった。先の総選挙で与党が大勝して以降、支持母体である日本医師会など医療関係団体が診療報酬のプラス改定を求める空気感を着実に強めていた。その一方で、改定財源の槍玉として「薬価」を狙い撃ちにする機運が日ごと政権内部から高まってくる。11月22日の中医協薬価専門部会で厚労省は薬価制度抜本改革の骨子案を提示したが、その時の傍聴席で業界関係者から「声なき悲鳴」が漏れる場面を記者は見た。


診療報酬引き上げ財源の帳尻合わせに薬価制度の抜本改革が使われることに憤りを感じる業界関係者も少なくない。とは言え、政府の指摘する長期収載品に依存するモデルからの脱却など、保険制度の枠内でビジネスを行っている中での約束事を反故にはできないとの想いも強い。今回の業界ヒアリングには、その想いが強く込められていた。


◎中医協薬価専門部会における日米欧業界代表の発言


「足元の収益を直撃するのみならず、特許のある新薬が評価されないことは次のイノベーションの投資の原資が確保できないことになる」(日薬連・多田正世会長)-。


「日本における新薬発売のインセンティブがあまりにも大きく損なわれ、新薬へのアクセスにも重大な支障をきたす。投資家は、投資を日本からほかのイノベーションを推進する国に移すということになる。日本経済へのけん引役を担う役割を損なうことになりかねない」(PhRMA・エイミー・ジャクソン日本代表)-。


「日本の医薬品市場は先進国の中で最も成長率が低く、唯一マイナス成長となる市場だ。想定をはるかに超える新薬創出等加算の大幅な縮小で、さらにマイナス幅は大幅になるだろう。企業は優先的に投資をするだろうか」(EFPIA・トーステン・ポール副会長)-。


各団体の代表が業界陳述で、そろって懸念を示したのが、研究開発型製薬企業の“生命線”とも言える新薬創出等加算の見直し案だ。


厚労省が提案する、“革新的新薬創出等促進制度”は、革新性・有用性に着目し、希少疾病用医薬品、開発公募品、加算適用品、新規作用機序の品目に絞る。新規作用機序の医薬品は1年以内、3番手のものに限ることとした。その上で、国内での開発実績などに応じた企業要件をポイント化し、区分に応じた段階的な薬価とするもの。品目要件に該当する製品は5~6割とされる上に、企業要件で薬価が引き下げられる。品目要件を満たしてもこれまで同様に、薬価が維持されるのは上位5%の企業に限られることになる。一方で、2010年度の薬価・診療報酬改定で試行的導入されて以降、業界側が求め続けてきた“制度化”することも盛り込んだ。


「特許期間中のすべての新薬を対象として薬価を維持すべきという業界の主張とはかけ離れた考えだ」-。日薬連の多田会長はこう指摘する。業界が長年にわたり主張してきた制度化についても、「今回の提案は、私どもが納得できる案とはかけ離れている。恒久化だという形には思わない」と発言した。PhRMAのパトリック・ジョンソン在日執行委員会委員長も、「日本の研究開発費は平均で2~6倍高い。このままの制度であれば、日本を最初の新薬の導入国にすることはほとんど不可能になる。現在提案されている内容でそのまま導入、実装することは支持しない」と述べ、欧米団体も改革案での制度化に強い反発を示した。


◎品目要件 ラセミ体や配合剤、類似薬効比較方式Ⅱなどは除外も許容


特に、品目の絞り込みについて、95%の企業の薬価が引き下げられることから異論が噴出した。日薬連の多田会長は、「対象を限定し、かつ対象品目をほとんどの薬価が維持されないという見直しは再考を求めたい」と強い口調で訴えた。また、品目要件の新規作用機序医薬品を1年、3番手以内に限定することについても、イノベーションの進歩などをあげ、反発を見せた。多田会長は“最低限”と断ったうえで、革新的新薬の開発に取り組んでいると評価され、薬価が維持される“区分1”の対象範囲拡大などを求めた。


一方で、日本製薬工業協会の畑中好彦会長が、「ラセミ体や配合剤、類似薬効比較方式Ⅱで算定されるものついての対象除外は、今まで一部の品目については除外していたということを考えると容認できる範囲だ」と歩み寄る姿勢も示した。


◎長期収載品依存モデルからの構造転換は理解


長期収載品の引下げについては、「長期収載品に依存した経営モデルからの構造転換が求められていることは理解している」とし、一定の品目の除外や激変緩和措置などは日薬連が求めるにとどまり、容認する姿勢を打ち出した。特に欧米企業は積極的に肯定する姿勢を示した。ただし、新薬創出等加算とのセットでの見直しは必須との考えを強調。EFPIAのポール副会長が「後発品の普及で売り上げが下がる、長期収載品の価格が引き下げられるということで痛みを分かち合っている。財源の節約分で新薬創出加算の財源に充てることができる」などと述べた。 

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