26年度診療報酬改定 急性期病院一般入院基本料を新設 病院機能を評価 救急搬送など実績要件に
公開日時 2026/01/29 05:58
2026年度診療報酬改定では、病院機能に着目した「急性期病院一般入院基本料」が新設される。新たな地域医療構想で急性期拠点機能病院の集約化が進められることを見据えたもの。急性期病院一般入院基本料は、看護配置7対1の「A」・看護配置10対1の「B」の2段階。救急搬送の件数や手術件数などの実績も求める。急性期病院一般入院基本料Aを算定する医療機関としては、地域の急性期基幹病院、急性期病院一般入院基本料Bでは、一般的な急性期病院などを想定する。
◎急性期医療の実績求める 救急搬送件数、手術件数
急性期病院一般入院基本料Aでは地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟とのケアミックスを認めない。一方、急性期病院一般入院基本料Bでは、地域包括医療病棟のみ併設を認めないとしている。このほか、入院患者の平均在院日数などの要件を課した。
急性期医療の“実績”も施設基準とした。急性期病院一般入院基本料Aでは、「救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が、年間で2000件以上であり、かつ、全身麻酔による手術件数が年間で1200件以上」、急性期病院一般入院基本料Bでは「救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が、年間1500件以上」、「救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が、年間500件以上で、かつ、全身麻酔による手術件数が年間で500件以上」、「人口20万人以下の地域に所在し、当該所属二次医療圏に所在する保険医療機関のうち、救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が最大であり、かつ、年間1000件以上」、「離島に属し、当該所属二次医療圏に所在する保険医療機関のうち、救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が最大」-とした。
◎診療側・江澤委員 介護保険施設に入所中の患者の救急搬送は協力医療機関との連携で
診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は1月23日の中医協総会で「救急搬送件数が様々な項目において評価の対象となっている」と説明。「病院の機能や特性に応じた評価を模索する中で得られた結果ではあるが、今回の改定の対応によって、三次救急を担当する病院に軽症救急も含めて救急搬送が集中すると、二次救急を支える地域の中小病院が機能しなくなり、ひいては地域の医療提供体制が大きく崩れてしまう危険性もある」と指摘した。そのうえで、「今後の通知等による具体化に当たり、救急搬送件数の適切な評価がなされるようご検討をお願いしたい」と要望した。
特に、介護保険施設に入所中の患者の救急搬送について、「二次救急、三次救急の役割分担の観点から、協力医療機関で滞留すべき患者さんが 三次救急に搬送されるような事態にはならないようにする必要がある。この点については修正が必要であると主張する」と述べた。
28日の中医協総会でも江澤委員は改めて、「急性期病院入院基本料A、 B ともに、介護施設の救急搬送の仕組みを活用して、協力医療機関と連携のもと、急性期医療を重点的に支えていける仕組みとする一方で、協力医療機関は急性期病院入院基本料A、 B を算定する医療機関と上り搬送も含めた緊密な連携を行って、介護施設の救急患者が適切な医療を受けることができるよう対応すべき」と主張した。
診療側の太田圭洋委員(日本医療法人協会副会長)は、急性期病院入院基本料Bを算定する医療機関は、「地域医療構想で、いわゆる高齢者救急、地域急性期機能を担うことになるのではないか。地域の急性期病院が地域のニーズによって適切に病棟構成を選択できるよう、本当にこれ、地域包括医療病棟は含めなくていいのか、再度ご検討いただきたい」と述べた。
◎支払側・松本委員「地域ニーズに沿って、病院が立ち位置を決め、地域の役割を分担する姿に」
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「病院機能を重視し、救急搬送や全身麻酔手術の実績を指標として急性期の評価体系をきめ細かく見直すことや、急性期と包括的のケアミックスに着目した評価により、病院の再編統合や機能の強化が期待できる」と評価。「地域性にも配慮しつつ、急性期病院の集約化にもつながる」と期待感をみせた。救急搬送件数が施設基準に設けられることで、「地域で救急車の取り合いが激しくなるのではないかと指摘されているが、本来は地域の関係者による協議等で最短かつ最適な搬送先を取り決め、そのルールに基づいて運用するのがあるべき姿だ。地域の医療ニーズに沿って、それぞれの病院が立ち位置を決め、地域の役割を分担するためにも、急性期入院の評価は見直すべきだ」と述べた。
◎「看護・多職種協働加算」を新設 急性期一般入院料4、急性期病院B一般入院料で
看護配置10対1の病棟で、多職種を配置、協働することで、看護配置7対1相当の体制とした場合の評価として、「看護・多職種協働加算」を新設する。急性期一般入院料4及び急性期病院B一般入院料のうち、急性期一般入院料1と同等の重症度、医療・看護必要度等を満たす病棟において、看護配置基準を超えて看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士又は臨床検査技師のいずれかを配置し、各医療職種が専門性を発揮しながら協働する場合に算定できる。急性期一般入院料4を算定している患者については看護・多職種協働加算1、急性期病院B一般入院料を算定する患者については看護・多職種協働加算2の算定を可能とする。