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薬食審・第一部会 新薬6製品を審議、5製品の承認了承 糖尿病薬オゼンピックは継続審議

公開日時 2017/12/05 03:52

厚労省の薬食審・医薬品第一部会は12月4日、新薬6製品の承認可否を審議し、このうち5製品で承認を了承した。この中には大塚製薬の新規の統合失調症治療薬レキサルティ錠(一般名:ブレクスピプラゾール)がある。一方で、ノボ ノルディスクファーマが承認申請した2型糖尿病に用いる週1回投与のGLP-1アナログ、オゼンピック皮下注(一般名:セマグルチド)が継続審議となった。

厚労省担当官による部会終了後の説明によると、オゼンピックの審議では、重度の腎機能障害患者の使用に対する注意喚起について更なる検討が必要となり、現在の添付文書案では適切かどうか判断するに至らなかったという。今後、ノボやPMDAが内容を検討していく。同じクラスのGLP-1受容体作動薬が承認・発売されている中で、オゼンピックのどの部分が議論となったのかなど詳細は明らかにされなかった。

【審議品目とその内容】(カッコ内は一般名と申請企業名)

レキサルティ錠1mg、同錠2mg(ブレクスピプラゾール、大塚製薬):「統合失調症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

ドパミンD2受容体やセロトニン5HT1A受容体にパーシャルアゴニストとして作用する一方、セロトニン5HT2A受容体にはアゴニストとして作用するSDAMと呼ばれる新規機序の非定型抗精神病薬。大塚が販売するエビリファイ(一般名:アリピプラゾール)の構造変換の過程で発見された化合物。

1日1回1mgから治療を開始した後、4日以上の間隔をあけて増量し、1日1回2mgを経口投与して用いる。海外では17年9月現在、米国など3か国で承認済。

ソリリス点滴静注300mg(エクリズマブ(遺伝子組換え)、アレクシオンファーマ):「全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

ファースト・イン・クラスの終末補体阻害薬。ヒト補体であるC5に対して高い親和性を有するヒト化モノクローナル抗体で、C5の活性化によるC5a及びC5bの産生を阻害することで神経筋接合部におけるアセチルコリン受容体の消失と、それに伴う神経筋伝達障害を改善すると考えられている。

難治性の全身型重症筋無力症(以下、gMG)は稀な疾患で、補体系により神経筋接合部に進行性に炎症をきたす、慢性進行性の消耗性自己免疫性神経筋疾患。既存の治療法を行っても、歩行しづらい、話しづらい、飲みこみづらい、普通に呼吸しづらいといった深刻な症状に直面し、重症化して生命を脅かすこともある。

gMGの治療は第1選択が経口ステロイド、第2選択がタクロリムスやシクロスポリンのカルシニューリン阻害薬、第3選択が免疫グロブリン静注療法及び血漿交換とされているなか、ソリリスは第3選択でも治療困難な患者の治療選択肢となる。海外ではgMGに関して、17年8月に欧州で、同年10月に米国で承認済。

ナルベイン注2mg、同注20mg(ヒドロモルフォン塩酸塩、第一三共プロファーマ):「中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は残余(2025年3月29日まで)。

μオピオイド受容体作動薬。ヒドロモルフォン塩酸塩製剤は、あへん系麻薬性鎮痛剤であり、WHOのがん疼痛治療ガイドラインなどで、疼痛管理の標準薬に位置付けられている。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、経口剤、注射剤ともに開発の必要性が高いと判断されたもの。第一三共はムンディファーマから開発を引き継いでいた。まずは経口剤ナルラピド錠(即放性製剤)と、ナルサス錠(1日1回投与型徐放性製剤)が17年3月に承認、6月から販売されている。海外では2017年3月現在、米国、英国など43の国と地域で承認済。

グーフィス錠5mg(エロビキシバット水和物、EAファーマ):「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

EAファーマは、胆汁酸の再吸収にかかわるトランスポーターを阻害し、自然な排便を促す新規機序の治療薬としている。1日1回。持田製薬と共同開発し、承認後は共同で販売する契約を締結している。海外での承認はない。

イブリーフ静注20mg(イブプロフェンL-リシン、千寿製薬):「未熟児動脈管開存症で保存療法(水分制限、利尿剤投与等)が無効の場合」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

 
未熟児動脈管開存症は、胎児の時に胎内でも酸素を取り込みやすくするため開存している、大動脈と肺動脈をつなぐ動脈管が、早産などで生後も閉鎖することなく開存し続ける状態となる疾患。それにより発育不全や呼吸困難、頻拍などの症状を呈し、全身の臓器に影響が出て、長期予後も悪化させる可能性があるという。それに対しイブプロフェンが持つ作用で動脈管の収縮を促すことが期待されるとしている。患者数は年間平均約4447例という。

厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討を経て、開発要請されていた。海外では2017年6月現在、米国のみで承認済。

【報告品目とその内容】(カッコ内は一般名と申請企業名)
報告品目は、PMDAの審査段階で承認が了承され、部会での審議が必要ないと判断されたもの。
 
ジプレキサ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg、同細粒1%、同ザイディス錠2.5mg、同ザイディス錠5mg、同ザイディス錠10mg(オランザピン、日本イーライリリー)
▽オランザピン錠2.5mg「DSEP」他6製剤(第一三共エスファ)
▽オランザピン錠2.5mg「日医工」他6製剤(日医工)
▽オランザピン細粒1%「ファイザー」(マイラン製薬)
▽オランザピン錠2.5mg「ニプロ」他5製剤(ニプロ)
▽オランザピン錠2.5mg「ファイザー」他5製剤(ダイト)
:「抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状(悪心・嘔吐)」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
 
厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で公知申請が妥当とされ、医薬品部会で事前評価ののち公知申請されたもの。そのため追加する適応症については既に保険適用されている。
 
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