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中外・17年通期決算 国内2.3%増収 18年は3.5%減収に、ハーセプチン、リツキサン特許切れで

公開日時 2018/02/02 03:52

中外製薬は2月1日、2017年通期(1~12月)決算を発表し、国内事業(タミフル除く)はがん領域、骨・関節領域の新薬群が堅調に伸長して、売上3884億円、前年同期比2.3%増だった。18年は、特許切れを迎えた抗がん剤のハーセプチンとリツキサンが4月の薬価改定でこれまでの新薬創出等加算の返還があるなど改定影響を大きく受け、国内事業(同)は売上3748億円、前年同期比3.5%の減収になるとしている。18年にハーセプチンで20.8%の減収、リツキサンで29.9%の減収を見込むが、両剤ともバイオシミラーの影響をどの程度織り込んだかは開示しなかった。

タミフルは季節性の影響が強くでるため、国内事業の売上から除いている。

18年の国内事業は主力品を中心に数量ベースでは伸びるものの、「薬価改定影響を非常に大きく受けて」(板谷嘉夫・上席執行役員CFO)、減収を見込む。同社の薬価改定影響率、新薬創出等加算の新ルール導入に伴う影響はいずれも非開示。

■18年の国内申請、6プロジェクトを予定 テセントリクの非小細胞肺がん一次治療など

18年の国内事業は厳しくなるが、ALK陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん治療薬アレセンサは売上227億円、前年同期比35.9%増を計画するほか、関節リウマチなどに用いるアクテムラや経口骨粗鬆症薬エディロールを中心に骨・関節領域の売上も伸長するとしている。

18年1月19日に非小細胞肺がん二次治療で承認を取得し、4月の薬価収載が見込まれるがん免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体テセントリク、自社創製品で17年7月に国内申請したインヒビター保有血友病A治療薬エミシズマブは、いずれも同社の成長ドライバー製品に位置付けた。小坂達朗社長COOは同日に開いた決算会見で、テセントリクについて、最適使用推進ガイドラインに準拠して適正使用を推進するとともに、最速での価値最大化に取り組むとの考えを示した。なお、テセントリクの18年売上計画は薬価収載前ということで開示しなかったが、前述の国内事業の売上計画には含まれている。

18年に日本で承認申請を計画しているプロジェクトは、▽エミシズマブの非インヒビター保有血友病Aの適応▽テセントリクの腎細胞がん、乳がん、非小細胞肺がん一次治療への適応拡大▽アクテムラの全身性強皮症の適応拡大▽アバスチンの腎細胞がんの適応拡大――の6つとなる。

なお、17年の連結業績は売上5342億円(前年同期比8.6%増)、営業利益989億円(28.7%増)――と増収増益だった。Core営業利益は1032億円(28.0%)と、1000億円の大台を初めて突破した。売上、Core営業利益とも過去最高となる。アレセンサの日本での伸長、海外向け輸出増などが業績をけん引した。

■加藤営業本部長、36支店制に手応え エリア分析可能に

同社では17年4月に、11支店体制を36支店体制に改めるとともに、支店の中のオンコロジー、プライマリーといったユニットを廃止する組織改正を実施した。支店が、全製品と都道府県単位の特性を見ながらエリア戦略を策定、実行する体制を整えるためだ。

会見に同席した加藤進・上席執行役員営業本部長は、「36支店制と細分化することで、エリア内の本当の問題点や良い面が見えてきた。エリア内のユニットも廃止したので地域医療計画に則った形でのエリア分析もできるようになった。まだ十分ではないが、分析に基づく戦略立案もできてきた」と手応えを語った。18年にテセントリクやエミシズマブといった新薬上市が見込まれることに触れながら、「エリア戦略と、新製品の全社戦略のマッチングをはかりながら、各エリアで最適な形で市場導入できるようにしたい」と述べた。

なお、加藤営業本部長は4月1日付で上席執行役員CEO特命となり、佐藤綱則・営業本部関西統括支店長が執行役員営業本部長として就任する。

■個別化医療実現にPHC推進部を新設 4月1日付

同社はこの日、がんゲノム医療をはじめとした個別化医療(PHC)の実現に向けた戦略立案と実行機能を担う組織として、「PHC推進部」を4月1日付で新設すると発表した。約10人で組織する。

PHC推進部では、スイス・ロシュ傘下で遺伝子解析を得意とする米ファウンデーション・メディシン社(FMI)が保有する「網羅的遺伝子解析プロファイリング」の国内事業化などに取り組む。遺伝子情報に基づく医薬品開発の加速やコンサルティングプロモーションを実現し、個別化医療に貢献する。

小坂社長COOは会見で、「オンコロジー領域のトップ企業として、FMI事業を通じた革新的な医薬品とサービスにより、個別化医療に貢献していく」と語った。

【連結業績(前年同期比) 18年予想】(IFRS)
売上高 5341億9900万円(8.6%増) 5415億円(1.4%増)
営業利益 989億3400万円(28.7%増) 1080億円(4.7%増)
*18年営業利益予想はCoreベース

【主要製品の国内売上(前年同期実績) 18年予想、億円】
がん領域   2259(2203)2145
アバスチン   931(921) 920
ハーセプチン 336(341) 266
リツキサン 334(321) 234
アレセンサ 167(119) 227
ゼローダ 122(123) 126
パージェタ 136(119) 146
タルセバ 105(115) 98
カドサイラ 80(83) 83
ゼルボラフ 1(4) 1
アラグリオ 0(-) 7

骨・関節領域 933(861) 971
アクテムラ 331(302) 352
エディロール 296(267) 317
ボンビバ 87(73) 99
スベニール 88(93) 83

腎領域 393(411) 353
ミルセラ 239(242) 235
オキサロール 82(91) 58

その他領域 299(322) 279
セルセプト 89(79) 85

タミフル 169(135) 56
うち行政備蓄 50(15) 6

ロイヤルティ及びその他の営業収入 349(191) 430

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