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田辺三菱 中計見直し 国内売上3000億円維持も研究・生産拠点集約、MR減員を検討

公開日時 2018/11/20 03:50
田辺三菱製薬は11月19日、2020年度までの中期経営計画について、米国事業の進捗に遅れが出たことなどから、目標売上高を700億円減の4300億円、目標コア営業利益を400億円減の600億円に引き下げると発表した。当初の目標数値は3年先送りし、米国事業の成長強化で達成を目指す。国内事業は当初の20年度目標3000億円を据え置き、23年度まで維持する。20年度以降の毎年薬価改定の影響を折り込み、6つの新薬(適応・剤形追加2製品含む)を成長ドライバーとして投入する一方、コスト削減を強化する。23年度までに研究と生産の国内拠点を集約するほか、営業体制は自然減や採用抑制などでMR数の減員を検討する。
 
国内事業は、薬価制度改革の影響を、新製品の成長とコスト削減の強化で乗り切る方針。国内事業の成長ドライバーとして、▽糖尿病・腎領域:腎性貧血薬バダデュスタット(20年度上市)、SGLT2阻害薬カナグルの糖尿病性腎症適応追加(23年度追加)▽免疫炎症領域:変形性関節症薬ファシヌマブ(22年度上市)、生物学的製剤シンポニーのオートインジェクター製剤追加(19年度追加予定)▽中枢領域:遅発性ジスキネジア薬バルベナジン(22年度上市)▽ワクチン領域:5種混合ワクチン(百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオ、hib感染)MT-2355(22年度上市)――の6製品を挙げた。
 
糖尿病・腎領域では主に腎領域の拡大を図る。これら新薬のピーク時売上総額は500~700億円を見込み、23年度に向けて国内売上規模を維持すると表明した。この中には検討中のアライアンス分も含めているという。
 
石﨑常務 営業へのデジタル導入でMRの役割、要員見直し進める
 
他方、20年度まで300億円のコスト削減を行うとし、当初より100億円積み増す。売上原価で10億円増の90億円、販管費で90億円増の210億円とし、調達コスト、業務削減、外部委託費、自然減や採用抑制による人件費の削減による実施する。田原永三常務執行役員(経理財務部担当)は「薬価改定などで収益性は厳しい状況にあり、これで対応していく」と説明した。
 
さらに23年度に向けて、国内に2つある研究拠点(戸田、横浜)を1つに、3つある生産拠点(小野田、吉富、加島)を2つに集約(場所未定)、国内営業では「市場ニーズ把握と効率化に向けて外勤・内勤のICT活用」を施策に挙げた。
 
国内営業施策の狙いを石﨑芳昭常務執行役員(営業本部担当)は、「デジタルを通じた情報提供を希望される医療関係者が増えており、対応するためデジタルマーケティングを進め、(効果的な情報提供とともに)コストを制御することを考えている。プロモーションがデジタルに移っていくに従って、MRの役割が変わってくる。今後のMRに求められることは何かを定義し直して、それに対応できる要員がどの程度か試算しているところ」と、MR体制の見直しを検討していることを明らかにした。MR数については「品目に合わせた配置は必要だが、少しずつ減っていくことイメージしている」との認識を示した。
 
人件費の削減策について三津家正之社長は、会社全体でコア業務の見極めと、それに基づく要員数の検討をしていることを説明した上で、「早期退職(制度の実施)は現時点では検討していない」と明言し、自然減や採用抑制などで対応する考えを明らかにした。
 
三津家社長 研究拠点集約でオープンイノベーションの加速目指す
 
研究拠点を1拠点化する狙いについて三津家社長は、「今後の様々な外部連携を進める中で、日本の研究開発拠点を1つにまとめることは、オープンイノベーションを加速する意味で重要と考えている」との考えを示した。どこに拠点を集約するかは、生産拠点の集約を含め「有力なオプションはあるが、決定に至っていないので合議できた時に説明したい」と述べるにとどめた。
 
米国事業強化で戦略的投資3000億円 5か年で

今回の中計見直しは、SGLT2阻害剤インヴォカナ(日本名:カナグル)のロイヤリティ収入が年々大幅に減少するなど想定どおり獲得できなかったほか、18年度に米国承認申請を計画していた抗パーキンソン病薬「ND0612」が、FDAとの協議から有効性を確認する新たな試験が必要と判断し、21年度申請に後ずれさせたことが主な要因。そのため田辺三菱は、米国を中心とした海外事業の成長を強化することで、23年度の売上高5000億円、コア営業利益1000億円を目指すことにした。

そのため年800億円の研究開発費に加え、23年度までの5か年で3000億円の戦略的投資を用意し、主に米国事業拡大に向けてつぎ込む。研究開発も米国上市を優先した組織体制に改める。23年度に向けALS(筋萎縮性側索硬化症)治療薬ラジカヴァの経口剤追加(懸濁剤、21年度上市)、鶏卵を用いない季節性インフルエンザワクチン(VLPワクチン、20-21年シーズンに向け上市)、抗パーキンソン病薬ND0612(22年度欧米上市)を成長ドライバーに20年度の4倍超の2000億円超の欧米売上を目指す。
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