【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

杏林製薬 25年度上期は増収も営業減益 新薬堅調も導入一時金が影響 荻原社長「下期は需要期」

公開日時 2025/11/11 04:49
杏林製薬の荻原豊代表取締役社長CEOは11月10日の2025年度第2四半期決算説明会で、「全体的に好調な上期だった。下期は(当社製品の)需要が増えるシーズンのため、売上をさらに伸ばしていきたい」と語った。25年度上期の連結業績は、売上高は前年同期比6.5%増の587億3100万円、営業利益は12.0%減の13億6300万円の増収・営業減益だった。過活動膀胱治療薬・ベオーバなどの新薬群は引き続き好調に推移した一方、米・Hinge Bio社から導入した全身性エリテマトーデス(SLE)を対象疾患とするKRP-A225(開発コード)の契約一時金15億円の計上などにより減益となった。今年度の通期予想については、「新薬の普及最大化、コスト削減などを進めることで、通期予想を超えていくことを目指したい」と力を込めた。

25年度上期の国内の新薬事業の売上は6.1%増の414億円だった。荻原社長は、「薬価改定の影響があったが、ベオーバ、ラスビック、リフヌアを中心とした新薬の売上の伸長が薬価改定の影響を凌駕した」と強調した。

製品別では、同社が成長ドライバーと位置付ける過活動膀胱(OAB)治療薬・ベオーバが17.5%増の123億円。OAB市場において、共同販売するキッセイ薬品との合計で、ベオーバは新規患者獲得率および患者シェア1位を獲得するなど好調に推移した。

ニューキノロン系抗菌薬・ラスビックも、19.9%増の35億円と2ケタ成長した。荻原社長は、「薬価改定や昨年のマイコプラズマ感染症流行の反動減などで経口抗生剤市場が縮小する中でも、(ラスビックは)9.7%までシェアを伸ばした」と説明した。ラスビックは24年9月時点のシェアが7.6%、この1年間でシェアを2.1ポイント伸ばした。

また、難治性慢性咳嗽治療薬・リフヌアは9.9%増の5億円となり、荻原社長は、「4月に発刊された咳嗽・喀痰の診療ガイドラインなどの活用によって年間予想11億円を達成したい」と述べた。

後発品事業についても、売上高は前年同期比7.2%増の168億円と堅調に推移。荻原社長は「薬価改定の影響がありながらも、選定療養などが追い風になった」と説明。オーソライズド・ジェネリック(AG)のシェアは、後発医薬品事業内で50%以上を継続している。

◎主要評価項目未達のKRP-R120 「今後の進め方をaTyr社と協議の上、検討していく」

開発パイプラインでは、米・aTyr社から国内の開発・販売権を獲得した間質性肺疾患を対象疾患とするKRP-R120(開発コード)の国際共同第3相試験において、安全性プロファイルは良好だったが、主要評価項目の「経口ステロイド(OCS)漸減終了後におけるOCSの1日平均投与量のベースラインからの変化量」で、プラセボと比較し統計学的に有意な差が認められず、主要評価項目は達成できなかった(p=0.3313)。この試験結果を受けて、「今後の進め方をaTyr社と協議の上、検討していく」とした。

一方、サスメドと共同開発する耳鳴治療用アプリ・KRP-DT123(開発コード)は、特定臨床研究において、主要評価項目である16週時点での耳鳴苦痛度問診票(THI)スコアの変化量に統計学的な有意差が認められたとして、26年上期に検証的試験の開始を予定している。

◎研究領域に神経筋疾患を設定 医療ニーズなど総合的に勘案

中期経営計画「Vision 110 -Stage1-」(2023年度~2025年度)の進捗についても言及。特に新薬の創薬研究においては、これまで研究領域を疼痛・自己免疫疾患・肺線維症としてきたが、「疼痛・自己免疫疾患・神経筋疾患を中心に創薬をしていきたい」と説明した。そして、「医療ニーズや事業性、創薬実現性を総合的に勘案した。他社の動向を踏まえて戦略的に考え、他の領域の分野に力を割いて世の中の役に立てるものに領域を絞り、力を割いていきたい」と述べた。

【25年度上期連結業績(前年同期比) 25年度予想(前年度比)】
売上高 587億3100万円(6.5%増) 1270億円(2.4%減)
営業利益 13億6300万円(12.0%減) 61億円(51.5%減)
親会社帰属純利益 14億9400万円(19.0%増) 48億円(47.2%減)

【25年度上期の国内主要製品売上高(前年度実績) 25年度予想、億円】
ベオーバ 123(104)251
ラスビック 35(30)85
リフヌア 5(4)11
デザレックス 37(34)101
フルティフォーム 63(64)132
ペンタサ 63(62)116
キプレス 9(18)21
ムコダイン 20(15)52
ミルトン 9(9)18
ルビスタ 4(6)10

後発医薬品
モンテルカスト錠「KM」 44(50)
モメタゾン点鼻液「杏林」 11(7)
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(7)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

最低薬価3%引上げも「不十分」の声
25年度改定の影響分析 最低薬価引上げのインパクト

最低薬価3%引上げも「不十分」の声

2025/04/01
薬価算定基準が明文化された2000年以降、消費税率変更に伴う引上げ以外で初めての最低薬価引上げがなされた25年度薬価改定。みなし最低薬価を含めて一律3%引上げられ、低薬価品の安定供給の一助となることが期待されている。
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー