次の焦点は薬価告示の時期 3月告示か増税直前告示か 両睨みの対応も

公開日時 2018/12/06 03:52
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薬価の乖離率(18年9月取引分)が12月5日の中医協総会に示されたことで、次の焦点は19年10月実施の消費増税改定に伴う薬価告示日の設定に移る。19年3月告示との見方がある一方で、増税改定の直前に告示することも業界関係者は視野に入れている。2019年度の医薬品市場は、期中に消費増税というイレギュラーな要素が入ることで、市場実勢価格の動向が通年で読み切れない要素をはらむ。増税直前の仮需に加え、半年後の2020年4月には診療報酬改定を控えており、購入者側の価格引き下げ圧力が高まるとの観測もある。仮に3月に薬価告示すると、消費増税までの数か月間は2つの価格が独り歩きすることになる。業界関係者も告示の時期とその際の対応について、早くも両睨みで探る動きが出始めている。

日本医薬品卸売業連合会(卸連)の鈴木賢会長は12月5日の中医協薬価専門部会の業界陳述で、「国が主導し、流通改善ガイドラインに逆行することのないようにしていただきたい」と要望した。19年10月の消費増税改定となると、価格交渉が難航し、薬価改定前の返品、急配の増加、一部品目の駆け込み需要の発生、部分妥結の増加などが想定され、医薬品流通に支障をきたすとの警戒感がある。ただでさえ2019年度の医薬品市場はイレギュラーな要素の多い中で、卸・流通当事者にとっては、少しでも懸念材料を減らしたいところだ。そこにきて薬価告示の時期について、その後のマーケット環境をより混迷させる要素の一つとして捉えておく必要があり、告示日については、早めに行政当局に示して欲しいというのが流通当事者の考え方だ。

中医協薬価専門部会のヒアリングで卸連の鈴木会長は、2019年10月の増税改定は、流通改善の取り組みに「多大な影響を及ぼすことが見込まれる」と指摘。「国が主導し、流通改善ガイドラインに逆行することのないようにしていただきたい」と要望した。

これに対し厚労省医政局の三浦明経済課長は、「現場でどうしても、交渉が非常に難航してしまうケースがあれば相談いただきたいということで相談窓口を設けて対応させていただいている。配送の条件、都会と田舎でコストが違うというのは想像に難くない」と述べ、国として流通改善に取り組む姿勢を改めて鮮明にした。

◎気になる医療機関・保険薬局の動向

気になるのは医療機関や保険薬局の動向だ。消費増税に伴う薬価改定が期中に行われることから、通年とは異なる価格交渉が想定される。財務省が社会保障費の自然増抑制に強気な姿勢を示していることに便乗し、2020年度診療報酬改定を睨み、薬価引下げ財源を充て込んでバイイングパワーを強めることも視野に入れる。だとすれば、10月の増税直前の仮需に乗じた強気の値引き交渉が市場実勢価格を下落させる可能性も高い。20年4月改定の薬価本調査の時期は明らかでないが、例年通り9月取引分を薬価本調査とするならば、薬価乖離率は18年9月取引分の約7.2%より拡大することも否めない。医師会をはじめ、医療関係者が本丸と掲げる2020年4月の診療報酬改定だけに、卸・流通当事者にとっては、今回の増税改定に伴う市場の混乱をより少なくするための施策がより重要性を増すわけだ。

◎日米欧製薬団体 2020年度改定を見据え「多面的価値」反映した薬価制度設計求める

日米欧の製薬団体はこの日のヒアリングで、19年10月実施の消費増税に伴う薬価改定について、長期収載品の追加的引き下げや再算定、新薬創出加算の累積額の控除などは実施すべきでないと改めて訴えた。

また、2020年4月実施の薬価通常改定に向けた対応として、新薬創出等加算の品目要件および企業要件を改善するよう要請した。さらにイノベーションの適切な評価についても言及し、政府の掲げる健康寿命の延伸や労働生産性の向上などに寄与する、「多面的な価値」を評価するような薬価の制度設計が必要だと指摘した。

日本製薬工業協会(製薬協)の中山讓治会長は、現状の評価は有効性・安全性などの“医療的価値”はなされている一方で、新たな軸である「社会的価値」、「保健基盤的価値」の評価を求めた。中山会長は一例として、コンパニオン診断薬の登場をあげ、これにより、医薬品が有効性・安全性を発揮できる確率はあがり、社会全体のコスト削減にもつながると説明。「直接的に価値として定義し、評価していくことが国全体にとっても有効ではないか」と述べた。

保健基盤的価値については、希少疾病や小児用医薬品をあげ、「現在でも加算は設けられているが、永続的な基盤になっていない」と指摘し、政策的に重要性の高い領域での評価を明確化することを要望。「我々も何を期待されているのか明確に持てるし、継続的な考え方として長期的な投資を要する医薬品にとって透明性と安定性を保てる」と、多面的な評価の必要性を訴えた。

欧州製薬団体連合会(EFPIA)のオーレ・ムルスコウ・ベック会長は、部会終了直前に2018年度薬価制度抜本改革の影響について改めて訴えた。ベック会長は、「薬価制度抜本改革において数多くの製品について新薬創出加算の除外となり、今後の改定にさらされるという状況になっている」と指摘。「製薬産業で数多くの雇用の減少が起きている。営業だけでなく研究開発の部門でもこうした現象が起きている」と訴えた。さらに増税改定時に全面的な薬価改定が断行されることを憂慮。「今後さらに日本の市場への新薬開発が難しくなる状況が起きてしまうことを懸念している」と改めて強調した。

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