中外・永山会長 “新医薬品産業論”の必要性説く バイオ時代の高付加価値産業へ構造転換を

公開日時 2018/12/07 03:52
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中外製薬の永山治代表取締役会長は12月6日、都内で開かれた医療フォーラムで講演し、医薬品産業が超高齢化社会のリーディング産業になるために、「生産性の高い付加価値の高い産業に転じていかないといけない」と熱く語った。医薬品開発のモダリティが低分子からバイオへと移り、研究開発費の高騰なども課題となるなかで、創薬から販売に至るまで、「企業だけではできないことが多い」と話し、アカデミアや医療機関、ベンチャー、政府と構築するエコシステムの必要性を強調。革新的新薬創出に向けた“インフラ整備”を国に求めた。一方で、高齢化に伴って社会保障費抑制への圧力が増すなかで、「これまでは薬価議論のなかでしかイノベーションは議論されてこなかった。産業論とイノベーションで議論する必要がある」と述べ、新たな時代に合致した“新医薬品産業論”の必要性を説いた。

少子高齢化や人工知能(AI)、IoTなどのデジタル革命が起きるなど、日本全体が転換点を迎えている。こうしたなかで、永山会長は、医薬品産業も環境変化にあわせた産業構造転換が必要との考えを示した。そのうえで、「医薬品産業が生き残るためにやることはひとつしかない。研究開発力を高めて画期的な新薬を出すことだ」と強調した。

一方で、研究開発を取り巻く環境変化も大きい。医薬品のモダリティは、低分子からバイオへと移り、抗体医薬だけでなく、再生・細胞医療や中分子などへと多様化することが見込まれる。グローバル化も相まって、研究開発費の高騰も企業に重くのしかかる。こうしたなかで、永山会長は、“規模”の追求の重要性を強調。「規模が大きければ成功する保証はないが、規模が大きくなければいまのバイオ、各モダリティを使った研究と生産体制はほぼ不可能になってきている」と述べた。内資系企業が、米・ファイザーやスイス・ロシュなどグローバル企業との間に売上高、研究開発費で水をあけられるなかで、「このままいくと欧米企業とさらに差をつけられる可能性がある」と危機感をあらわにした。

◎武田のシャイアー買収「大きく山が動いた」 規模の追求の必要性強調


そのうえで、生き残りをかけた今後の製薬企業の姿として、「グローバル企業を目指した規模の拡大」をあげた。その姿について、「まさに武田薬品が目指している動き」と説明。「大きく山が動いた」とも評した。武田薬品によるシャイアー社の買収について、研究開発投資の拡大が図れるメリットがあるだけでなく、世界最大の市場である米国でのプレゼンスを拡大し、希少疾患のパイプラインを拡充できると評価した。永山会長は、クリストフ・ウェバー代表取締役社長兼CEOと会談した際に、買収によりファイザーやMSDのようなトップ企業の研究開発費に追随できることを強調していたこともあかした。こうしたグローバル企業は、欧州では英国を除けば「サノフィ1社」とし、企業の“集約化”が進んでいるとの見方を示した。

一方で、規模の追求が難しい企業では、自社の強みを活かし、革新的新薬の創出に専念。グローバルでの販売はグローバル企業のインフラを活用する「インターナショナル企業として成長を図る」姿を提案。さらに、研究開発領域や販売地域を国内に絞る「ローカル企業として生き残る」姿も描いた。AIやIoTなど革新的技術の活用で、研究開発から営業まであらゆるステージで、「オペレーションコストを下げることが必要になるかもしれない」と述べ、AIやIoTの活用による生産性向上の必要性についても言及した。

◎イノベーションは「薬価ではなく産業論で議論を」

永山会長は、「研究から営業に至るまで産業としてのエコシステムを作り直さないといけないということではないか」と指摘。多様な環境変化に応じた「各企業の国際力強化」と、「国家的な基盤整備の必要性」を説いた。自動車産業の発展を振り返り、戦後の関税率などによる優遇、さらには全国に道路を整備したと説明。医薬品産業にとっても、「実践するのは各企業だが、医薬品の場合は、自動車にとっての道路がない。それでは車が走れない」と述べ、医薬品産業のインフラ整備の必要性について理解を求めた。欧米では国家戦略の柱にプレシジョン・メディシンを組み込み、議会などで広く議論もされてきたことをも紹介。日本でも、「医薬品産業が自分だけではできないことを整理し、国、国民に問う」必要性も指摘した。

永山会長は、「薬価は大事だ。しかし、イノベーションをやるから薬価で面倒を見てくれといっても、イノベーションの中身がはっきりしていないことが悪いのではないか」との考えを表明。「薬価の中でイノベーションを評価してほしいというが、イノベーションはどこでも議論されていない」と述べ、本質的なイノベーション議論が必要との考えを鮮明にした。

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