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厚労省 “Super MID-NET”構想に着手 疾患レジストリと融合で日本発の革新的創薬を後押し

公開日時 2018/06/06 03:53

革新的新薬の創出や市販後安全対策の効率化・低コスト化を実現する目的で、厚生労働省は「Super MID-NET」構想の実現に着手する。PMDAが今年4月に本格稼働させた医療情報データベース(MID-NET)と、疾患レジストリのクリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)を融合する。将来的には、国立病院機構の診療情報集積基盤(NCDA)や地域密着型のヘルスイノベーションパークなどとの緩やかな連携も視野に入れる。構想の実現でRWDの質・量ともに高め、アジア最大のインフラ構築を目指す。希少疾患など革新的新薬創出モデルに舵を切る日本の製薬産業を後押しする狙いがある。同省は2019年度予算案で関連経費を確保する方針。

政府の経済財政諮問会議が6月5日に示した「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針)の原案では、「CINとMID-NETを連携させ、治験・臨床研究や医薬品の開発、安全対策等に活用する」ことが明記された。最大のメリットは、革新的新薬の開発から市販後安全対策まで一貫して、より大規模なRWDの利活用が可能になること。昨年11月に厚労省医薬・生活衛生局が開催した「薬事に関するハイレベル(局長級)官民政策対話」を通じ、同省はRWDの活用による研究開発の生産性向上(低コスト化など)に取り組む方針を製薬産業側に提示し、業界側もこれに賛同する姿勢を示していた(関連記事)。今回示されたCINとMID-NETの融合はこれを具現化するためのもの。医療費低減に寄与するとして政府側も期待を込めている。


◎希少疾患など革新的創薬に期待

これまで新薬開発は、同じ条件の下、既存薬やプラセボなどを対照群に置き、有効性、安全性を検証することが定石とされてきた。各社のパイプラインが生活習慣病から希少疾患へと移る中で、患者数が少なく、対照群を置くことが難しいケースも増えてきた。患者の登録に時間やコストがかかり、開発を妨げている実態もある。こうした中で、CINは希少疾患治療薬の開発をめぐる課題を打破する可能性を秘める。ただ、その規模は10万人規模から数百人規模とまちまち。アカデミアが研究を主眼に置いてきた経緯から、質も様々だ。

一方で、2018年4月から本格稼働したMID-NETはデータの標準化を進めた質の高さが特徴。全国10拠点の医療機関、400万人超の臨床検査や患者の治療成績など、標準的なデータが蓄積されている。いわば、「基本的な診療データを精度よく、かつ自動的に収集する」ことができる。MID-NETとCINの融合で、MID-NETで得られたRWDを対照群として活用するなど、治験・臨床研究から市販後安全対策に至るまで、「効率化、低コスト化」が実現できる。特に希少疾患や難病などの革新的創薬への活用が期待できる。

◎ヘルスイノベーションパークと緩やかな連携も視野

同省は2018、19年度にMID-NETを医薬品の安全対策や研究開発などに活用できるよう“フルオペレーション”とする考え。さらに、20、21年度には、CTや画像データを含め、臨床研究中核病院や国立高度専門医療研究センターと連携・融合し、臨床研究の中核をなすクラウドデータベースを構築。さらに、国立病院機構のNCDAや地域、製薬企業のデータベース、さらにはヘルスイノベーションパークと緩やかな連携を構築し、データベース拡大にアクセルを踏む考え。現段階では、MID-NETに登録する医療機関にサーバーを置く必要があり、これがコストを押し上げる要因にもなっている。将来的には人工知能(AI)の活用などによるデータの標準化により、合理性のあるコストでの大規模化を視野に入れる。

 

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