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中医協 消費増税に伴う薬価改定「19年10月実施」で各側了承 新薬創出等加算も実勢価改定の対象へ

公開日時 2018/11/15 03:52

厚労省は11月14日の中医協薬価専門部会に、焦点の消費増税に伴う薬価改定の時期について、増税の実施時期と同じ「2019年10月」に実施することを提案し、診療・支払各側とも了承した。これにより市場実勢価改定と増税相当分の薬価への転嫁が同時に行われることになる。新薬創出等加算品も市場実勢価改定を行う方針を示しながらも、加算は適用し、累積額の控除は行わないことを提案した。このほか、基礎的医薬品については、平均乖離率以下の品目については引き続きルールを適用するほか、最低薬価の品目は消費税引き上げ分を上乗せする改定を行うことも提案された。

◎支払側・幸野委員 20年度改定に向け「特別なルールを」

消費増税に伴う薬価改定の時期をめぐっては、当初19年4月に市場実勢価を反映した改定を行い。増税時期の10月に増税分2%を転嫁する、いわゆる「2段階改定」なども議論の俎上にあがっていた。同省としては、中医協の議論に加え、与党内での意見調整の状況なども睨みながら慎重に検討を進め、先週11月9日までに、増税時期である19年10月に市場実勢価と増税分の転嫁を同時に行う方針を固めていた(本誌既報)。改定の時期については、年末の予算編成過程で政府・与党の調整が行われ、最終決着することとなる。

これまで“精緻な薬価調査の実施”を求め、2段階改定を支持していた支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、2020年度の薬価・診療報酬改定に向け、「“特別なルール”を作らないといけない」と述べた。乖離率を把握しているにもかかわらず、2019年4月に薬価を引き下げないことになるため、「乖離率を据え置いた影響を十分に加味したルール」の策定を求めた。

◎新薬創出等加算 加算は「実勢価改定の影響を補正」

焦点は増税改定の対象範囲に移る。次回の中医協薬価専門部会では、製薬業界側が同省の提案に対し、意見陳述を行う。

この日の中医協で、厚労省保険局医療課の田宮憲一薬剤管理官は、「実勢価を踏まえた改定が基本」としたうえで、「実勢価による引下げにより連動して補正するためのルール」として、新薬創出等加算、最低薬価、基礎的医薬品については限定的に消費増税改定に際しても適用する考えを示した。

新薬創出等加算については、加算を「実勢価改定の影響を補正するもの」と位置づけ、実施することを提案。ただし、2018年度改定以降に後発品が収載されるなどして対象から外れた品目については加算の対象としないこととした。一方で、累積額の控除は、「実勢価から追加的に薬価を引き下げる仕組み」として、2020年度改定で実施することも提案した。田宮薬剤管理官は、「実勢価改定のみを行うという趣旨だ」と強調した。

ただ、通常改定でも、新薬創出等加算の対象品目でも平均乖離率を超えた品目では、実勢価までの引下げが大きく、現行の薬価を維持できないケースもある。消費増税に伴う薬価改定でも、現行薬価を維持できず、薬価が下がる品目が出ることを懸念する声もあがっている。

◎増税改定10月実施で深まる流通改善の意義

消費増税に伴う薬価改定が19年10月実施になることで、今後医薬品卸の取引状況や、医薬品マーケットの動向などに影響を及ぼすことが想定される。19年10月の増税改定を前後して、購入者側がバイイングパワーを強めることや、仮需の発生する9月取引分の在庫について薬価引下げの圧力が強まるとの懸念もある。通常の20年4月の通常改定までの半年間の間に増税改定が行われることで、イレギュラーなマーケット環境が生まれることも事実だ。医薬品卸と医療機関との価格交渉などが後退するとの懸念も一部にはある。2021年度からは薬価毎年改定が始まることを考えると、19年度は「その先」の流通環境を占う上で、メーカー、卸、医療機関にとって極めて重要な時期を同時に迎えることになりそうだ。

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