厚労省 消費増税に伴う薬価改定「10月実施」方針固める

公開日時 2018/11/12 03:52
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厚生労働省は11月9日、消費増税に伴う薬価改定を2019年10月に実施する方針を固めた。今週14日に開かれる中医協で診療・支払各側から合意を得たい考え。厚労省は10月31日の中医協で消費増税に伴う薬価改定の時期について、「19年10月に実勢価を踏まえた上で上乗せすることが自然」としていた。日米欧の製薬業界団体は19年10月実施をかねてから強く主張していた。改定月は最終的には政府決着となるが、仮に増税改定の実施時期で関係者間のコンセンサスが得られると、次は薬価改定の範囲に焦点が移る。製薬業界内からは19年4月と10月の「2段階改定」を回避できたことへの安堵感も示されるが、一方で2020年4月の通常改定を睨み、購入者サイドの動向を懸念する声も聞かれ、むしろマーケット環境激変への警戒感が強まっている。

消費増税の実施に懸念の声もあるなかで、安倍首相は10月15日の臨時閣議で消費税を10%に引き上げることを宣言。菅官房長官も、リーマンショック並みの経済ショックがない限り、消費増税を断行する姿勢を示している。一方で、前回14年度の消費増税時(5%→8%)の際は、一時的に消費が落ち込み、経済が冷え込んだ経験がある。そのため、安倍首相は19年10月の消費増税に際しては、「あらゆる政策を総動員し、景気に影響を及ばさないよう全力で対応する」ことを求めている。政府が今年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針2018)にも、「消費税率引き上げによる駆け込み需要・反動減といった経済の流れをコントロールし、需要変動の平準化、ひいては景気変動の安全化に万全を期す」と明記されている。

◎「二段階改定」回避の後に想定される課題への備えは?


消費増税に伴う薬価改定については、製薬業界はかねてより「10月実施しかない」とのスタンスを崩していなかった。薬価の市場実勢価に基づく引下げを2019年4月に行い、10月は薬価に増税分の2%を転嫁するなどの「二段階改定」も検討されたが、製薬業界が強く求めてきた10月実施を行う方針を厚労省は現段階で固めた。

19年10月実施は、18年9月の薬価調査による市場実勢価格を基に、薬価改定を行うことになる。薬価改定の範囲は今後の議論となるが、流通当事者を含む業界関係者によると、薬価乖離率は17年9月取引分の9.1%から1%程度縮小し、8%台前半とみられる。仮に19年10月に薬価引下げを実施すれば、消費税の上乗せ分と相殺し、薬価が消費税の引上げ前後での変化が少ない状況を作ることも視野に入る。

年間約10兆円超の医療用医薬品市場での消費の増減が日本経済に与えるインパクトは少なくない。現段階ではすでに自民、公明の厚生労働関係議員を中心に19年10月の増税改定を行うことについて合意を得ている。ただ、19年春の統一地方選と夏の参院選といった政治日程を控えるなかで、65歳以上の高齢者の負担増をどう考えるかは政治マターとして最優先課題だ。官邸を軸に政府・与党間での調整が年末の予算編成と同時進行で進むことになる。

◎2020年度薬価改定への影響をどう考えるか


一方で、今後課題となるのが、消費増税改定からわずか半年で実施される2020年4月に予定する薬価・診療報酬改定だ。財務省は社会保障費の伸びの抑制について、引き続き厳しい姿勢で臨む方針を示しており、16年度~18年度まで行った集中改革期間とスタンスをあまり変えていない。20年4月の薬価通常改定は、19年9月取引分の薬価調査で得た市場実勢価格を用いて改定作業を行うことになると見られるが、消費増税直前の19年9月取引分となると、仮需が発生するなど、通常のマーケットとは異なる影響も予想される。医療や保険薬局による仮需が発生すれば、ボリュームに応じたバイイングパワーも強まるとみられ、見方によっては乖離率の拡大を招くこともある。当然この結果が薬価調査にも反映され、20年4月の薬価改定にも大きく影響することになる。

製薬業界内には、19年10月の消費増税に伴う薬価改定の実現で、「2段階改定」を回避でき、最悪の事態は避けられたと見る向きもあるが、19年4月以降、医療機関や保険薬局の薬価引下げ圧力がさらに増すという新たな課題に直面することを忘れてはならない。特に消費増税直前の9月には少なからず仮需が発生することから、市場実勢価格が例年に比べて引き下がることも想定しなければならない。製薬業界側は“4月改定”を全力で阻止することに注力した活動を行ってきた。一方で、10月実施の際の新たな課題に備える必要性が高まっている。

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