【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

官民協議会が初会合 WG設置で薬価を産業政策視点で議論、中医協に報告 石破首相「継続的な投資を」

公開日時 2025/06/27 05:30
政府の「創薬力向上のための官民協議会」は6月26日、石破首相出席の下、首相官邸で初会合を開いた。石破首相は、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの解消や医薬品産業の国際競争力強化に向けた「具体的な取組み」として官民協議会の下部にワーキンググループを設けると公表した。ワーキンググループでは、26年度薬価改定を見据え、欧米製薬団体などを交えて産業政策の視点を踏まえて議論し、今秋にも議論の整理を中医協に報告する方針。石破首相は、出席した外資を含む製薬企業やVCなどを前に、「本日を出発点として、官民で今後の議論を深めていくことを約束する」と、政府としてのコミットメントを強調。「内資・外資を問わず、日本を創薬の地とするための継続的な投資を是非ご検討ください」と呼びかけた。

◎石破首相 官民協議会WGの「プロセス自体が官民連携の新たな形」


「ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの解消や我が国の医薬品産業の国際競争力の強化に向け、この官民協議会は非常に重要なものとなる。官と民が垣根を越えて知恵を出し合い、真摯に議論を重ねていく。これを実現させるための具体的な仕組みとして、協議会の下にワーキンググループを設ける」-。石破首相は官民協議会でこう表明した。

さらに、「行政と関係者が現場の実態や課題を踏まえた上で、創薬を取り巻く制度の改善案を整理する。これを行政が個別の政策・制度に反映させていく。このようなプロセス自体が、“開かれた制度形成を可能にする、創薬における官民連携の新しい形”となる。また、関係省庁が官民協議会に一体となって対応することは、創薬の司令塔機能の強化という観点でも重要なものとなる」と続けた。

◎WGは9月上旬初会合 「薬価議論にあたっての大きな方向性」を議論、今秋に中医協に報告

ワーキンググループは、9月上旬に初会合を開く。まずは、薬価を含めた「投資とイノベーションの循環が持続する社会システムの構築」をテーマに議論を深め、今秋には議論の整理を中医協に報告する方針。中医協ではこの報告を踏まえた議論が進むことになる。

厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の水谷忠由課長は協議会後のブリーフィングで、「薬価自体を決めるのは中医協であることは何ら変わるものではない」と断ったうえで、ワーキンググループでは「薬価について議論するにあたっての大きな方向性」を議論する方針。議論に際しては、特に「産業政策の視点」を重視する考えを示した。

◎「業界として、“こうあってほしい”との主張とは一線を画す」 オブザーバーに財務省主計局も

中医協では現在も、製薬業界の意見陳述が行われているが、「官民協議会のワーキングループは、業界団体が議論の整理をするのではなく、業界と有識者、そして関係省庁が議論をしながら、産業政策の視点をどうするか、議論の整理をする。いわゆる業界として、“こうあってほしい”と主張するものとは、一線を画するものだと思っている」と述べた。

なお、ワーキンググループの構成員は、業界団体である日本製薬工業協会(製薬協)や米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)が参加。行政から内閣府健康・医療戦略推進事務局参事官、厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課長、経済産業省商務・サービスグループ生物化学産業課長、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課長が参加する。このほか有識者が参加する。薬価改定にかかわる財務省主計局主計官、厚生労働省保険局総務課長もオブザーバーとして参加する。

◎外資を含む内外の声を一体的に作り上げる「プロセスが投資を呼び込むきっかけに」

水谷課長は、「研究開発拠点などへの投資判断は、個社の様々な事情によってなされるものだと思うが、政府の動き、そしてそれを受けた具体的な環境整備がどのように進んでいるかを総合的に判断されると思う」と説明。「官民協議会の下のワーキンググループを通じ、外資を含めた内外の声を一体的にしながら作り上げていくプロセスの中で、投資を呼び込むきっかけとしていきたい」と話した。

◎石破首相「地方創生の観点でも医薬品産業は重要」

同日の協議会には、ジョンソン・エンド・ジョンソンの幹部など、外資を含む製薬企業や製薬団体、VC、患者団体など30人が出席。創薬力向上のための取組みや、官民協議会の今後の進め方などについて意見を聞いた。

創薬エコシステム構築に向け、政府は政府が24年7月、創薬エコシステムサミットを開催し、岸田首相(当時)が日本を“創薬の地”とすることを宣言。革新的医薬品等実用化支援基金を創設するなと取組みを進めてきた。武田薬品とアステラス製薬が初期段階の研究をスタートアップ設立につなげる支援を行う合弁会社を設立したほか、ノバルティスファーマが研究から開発への橋渡し機能を拡充する拠点の設置を発表するなど、民間の動きも出始めている。

石破首相は、医薬品の製造拠点の多くが地方にあることに触れ、「地方創生の観点でも医薬品産業は重要」と指摘。「医薬品産業は我が国にとって重要な成長産業・基幹産業であることを改めて申し上げたい」と述べた。

協議会の下に設置するワーキンググループでは、議論の整理を秋頃に中医協に報告。それ以降は、我が国の創薬力強化や、国民に最新の医薬品を迅速に届けることをテーマとして議論を深め、26年5月頃に官民協議会に議論の整理を報告する方針。



プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(4)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー