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日医工・田村社長 新たに8成分9品目を自主回収で謝罪 「出荷試験の記録に欠落」など発覚

公開日時 2020/05/19 04:53
日医工の田村友一社長は5月18日の決算説明会(Web会議形式)で、同社の富山第一工場で製造する8成分9品目33ロットについて「承認書に記載のない工程を実施していた」等の事案が発覚し、当該製品と対象ロットについて自主回収(クラスⅡ)を開始したことを明らかにした。同社は4月にも同じ工場で12成分15品目が「承認規格等に適合せず」として自主回収(関連記事)を行っていた。田村社長は決算説明会の冒頭で、「多くの製品の回収により患者様、医療機関、卸の方々、製薬企業の皆さまに多大なるご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。また同社として5つの品質改善への具体策を公表し、取り組む姿勢を表明した。

自主回収となる製品は次の通り。①イフェンプロジル酒石酸塩錠20mg「日医工」(理由:一部製品において、承認書に記載のない工程を実施していることが判明)、②オキサトミド錠30mg「日医工」(一部製品において、承認書に記載のない工程を実施していることが判明)、③オルメサルタンOD錠40 mg「日医工」(出荷試験の溶出性において、社内規格を下回る製品が出荷されていた)、④オロパタジン塩酸塩OD錠5mg「日医工」(一部製品おいて、出荷試験の結果を再確認したところ書類に欠落があった)、⑤クリノリル錠50(一部の製品において、承認書に記載のない工程を実施していることが判明)、⑥クリノリル錠100(承認書に記載のない工程を実施していることが判明)、⑦ゾルピデム酒石酸塩錠10mg「日医工」(一部製品において、出荷試験の結果を再確認したところ書類に欠落があった)、⑧プラバスタチンナトリウム錠10mg「日医工」(一部製品において、出荷試験の結果を再確認したところ書類に欠落があった)、⑨メキシレチン塩酸塩カプセル50㎎「日医工」(一部製品において、出荷試験の結果を再確認したところ書類に欠落があった)-。回収期間は5月18日から6月30日まで。同社は同日から当該製品の納品先の全国の医療機関等に対し、情報提供を開始した。

◎所轄官庁の富山県と相談し、自主回収の判断に至った

田村社長は決算説明会で、一連の自主回収の経緯を説明し、謝罪した。日医工としては、4月に発覚した12成分15品目の自主回収の後に、「外部機関を交え、富山第一工場における有効期限内全製品の調査を行った。そのなかで今回の8成分9品目につき出荷試験の記録に欠落のあった製品も存在することが分かった」と田村社長は報告した。また、「これらは製品の安全性に疑義を生じさせるものではないが、製品の信頼性に疑義が生じるものであることから所轄官庁である富山県と相談し、18日付で自主回収の判断に至った」と説明した。

◎田村社長 原因は「私自身が成長を追い求めたことにある」 役員報酬50%返納

田村社長は、「私自身大変申し訳なく、大変恥ずかしく思っている」と述べた。品質面で問題が生じた原因については、「業容を拡大する中で、品質保証、量的供給、安定供給という優先順位のバランスが崩れたこと、また、成長のスピードに品質管理体制、人材育成および教育のスピードが対応できないにも関わらず、私自身が成長を追い求めたことにあるものと考えている」と謝罪。「私自身の役員報酬をある一定期間50%返納している」とも述べた。

そのうえで同社として信頼を回復するための品質改善策を説明した。具体的には、①4月に新設したGMP監査室のもとGMP遵守を徹底する、②人的、試験機器、測定機器の増強を図る、③人材育成および教育、品質管理体制の組織を見直す、④7月をめどに新しい日医工グループの品質方針を策定、実施する、⑤データ・インティグリティの確保のため製造管理および品質管理システムを導入する――の5点に注力することを表明した。

◎「大規模買付行為に対する買収防衛策を廃止」の背景を説明

このほか決算説明会で赤根賢治副社長が、5月12日付で「大規模買付行為に対する買収防衛策を廃止」(関連記事)した背景について応えた。赤根副社長は、「最近買収防衛に対する評価が変わってきている。我々の置かれている立ち位置、投資家の意見を踏まえて、3年ごとに継続審議をしてきたが、ここに至り、買収防衛策を一旦中止することになった」と述べた。また、「これまでも買収防衛に対する申し入れは一切無かった」としながらも、「今後どうなるか分からないが、我々の目指す企業の価値向上、中期経営計画の達成というところで皆さんのご理解を頂きたいと思う」と述べた。

ただ、この直後に田村社長は、「赤根副社長は一旦と申し上げたが、基本的には廃止します」と念を押した。

◎売上利益1900億円で増収確保 コア営業利益は薬価改定などで粗利率低下で減益

20年3月期連結決算は売上収益1900億円で増収を確保したものの、コア営業利益80億円、親会社に所有者に帰属する当期利益は51億円でともに減益となった。増収分はエルメッド統合によるものだが、各種費用で減益となる。日医工グループでみると、エルメッドの業績が寄与したものの、薬価改定の影響もあり減益となっている。

◎アビガン錠の増産協力 富士フィルム、富山県の要請を受け

決算説明会では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への取り組みが紹介された。アビガン錠については製造受託しており、富士フィルムおよび富山県の増産要請を受けていることを明らかにした。このほかフサンについては、国内外の治験協力のやめフサンの無償提供を行っている。国内は東京大学との特定臨床研究、海外はオックスフォード大学とエジンバラ大学による共同研究。またフサンの増産に向けて愛知工場の設備も増強する。

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