東和薬品 アンプル製品15品目 1∼3mL 98ロットを自主回収(クラスⅡ) 極微小の黒色異物片混入で
公開日時 2025/08/21 04:51
東和薬品は8月20日、山形工場第一無菌製剤棟で製造した注射用アンプル製品15品目 1∼3mL 98ロットを自主回収(クラスⅡ)すると発表した。未開封アンプル内に、極微小の黒色異物片が混入しているとの品質情報を5月に受領し、その後、発生原因を調査した結果、製造ラインを滅菌するピュアスチームの制御に関わる配管内の部品由来の異物片であることが特定された。同社は、「同じ製造ラインで生産されている製品への黒色異物片混入の可能性を否定できない」と判断。使用期限内のアンプル製品を自主回収するとし、当該製品の出荷停止を医療関係者に公表した。
今回自主回収する製品は以下の通り。▽アスコルビン酸注射液100mg「トーワ」、▽アスコルビン酸注射液500mg「トーワ」、▽オザグレル Na点滴静注液20mg「トーワ」、▽グラニセトロン静注液1mg「トーワ」、▽グラニセトロン静注液3mg「トーワ」、▽シアノコバラミン注射液1000μg「トーワ」、▽トブラシン注小児用10mg、▽ファモチジン注射液10mg「トーワ」、▽ファモチジン注射液20mg「トーワ」、▽フロセミド注20mg「トーワ」、▽マキサカルシトール静注透析用 5μg「トーワ」、▽ミネラミック注、▽メコバラミン注射液500μg「トーワ」、▽リンコマイシン塩酸塩注射液 300mg「トーワ」、▽リンコマイシン塩酸塩注射液 600mg「トーワ」-。
同社によると、今年5月にトブラシン注 90mg(製造番号:D0011)の未開封アンプル内に黒色異物(長片で約400μm)が1つ混入しているとの品質情報を受領。工場で調査を行ったところ、アンプル製造ラインを滅菌するピュアスチームの制御にダイアフラムバルブが使用され、表面のPTFE 膜(白色のフッ素樹脂)を裏側から支える黒色ゴムに、フッ素ゴムが使用されており、この破片が製造工程で混入したと推定された。これを受け同社は6月に同製品の当該ロットについて自主回収を実施した。
一方、製品検査工程における原因特定の実証実験を行ったところ、1∼3 mL容量のアンプルが倒れた場合、検査時に倒れたアンプルを正立させても、薬液と異物が枝先部に残る確率が0.1%程度で発生すると分析。また、3 mL超容量のアンプルの場合は、薬液と異物が枝先部に移動しても、正立させる際に薬液と異物は枝先部に残留せず、本体の胴部に戻ることを確認したとし、検査視野に相当する本体胴部での異物を検知できず排除されなかったと推定できる1~3 mL容量アンプルについて当該ロットの製品の自主回収を判断した。
◎再発防止策 内部点検や定期交換を規定したメンテナンスプログラムに「部品」を適用
再発防止策について同社は、今回のダイアフラムバルブの部品は外観の点検のみで、内部の点検や定期交換を規定したメンテナンスプログラムに含まれていなかったと説明。再発防止に向けて、設備のメンテナンスプログラムに「部品」を含めて適用し、管理体制を強化する。
また、一時停止したアンプル製造ラインは8月17日より製造を再開。これによりアシクロビル点滴静注液250mg「トーワ」については8月中の出荷再開を予定する。この他の自主回収品は現在出荷停止中だが、製造ラインの再開に伴い、供給時期は順次同社ホームページを通じてアナウンスする方針だ。