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武田薬品 米マーベリック買収 最先端の固形がんに対するT細胞誘導療法の基盤技術獲得

公開日時 2021/03/11 04:50
武田薬品は3月10日、最先端の固形がんに対するT細胞誘導療法の基盤技術を持つ米国マーベリック社を最大5億2500万ドルで買収すると発表した。一定の条件下で活性化されるT細胞誘導抗体の「TAK-186」(以前の開発コード:MVC-101)などの新薬候補も獲得した。武田は今回の買収により、「当社のがん免疫療法のポートフォリオが拡大する」としている。

両社が2017年に締結した複数年の提携契約の中で、武田はマーベリックを買収する独占的オプション権を獲得していた。今回、このオプション権を行使した。武田はマーベリックの負債などを含む調整を前提として、事前交渉により定められた契約一時金、開発、申請、承認などのマイルストン支払いを含めて合計最大5億2500万ドルでマーベリックを買収する。

マーベリックの最先端のT細胞誘導療法の基盤技術は「COBRA」と呼称する。投与後に全身で活性化される標準的なT細胞誘導療法とは異なり、COBRAで改変されたタンパク質をベースとした治療法では、腫瘍微小環境を活用し、患者の正常な組織を傷つけることなく腫瘍部位のみでT細胞性の殺細胞効果を発揮するようデザインされているという。武田は、「COBRAは免疫細胞をリダイレクトしてがんを標的とする当社のアプローチを補完するものであり、固形がんにおける有効性を切り開く可能性がある」としている。

武田が今回獲得したTAK-186はCOBRAを用いたT細胞誘導抗体で、EGFRが発現している固形がん患者を対象とした臨床第1/2相試験を最近開始した。武田は「ファーストインクラスになり得る」としている。また、TAK-280(以前の開発コード:MVC-280)はB7-H3タンパク質が発現している固形がんを対象とした新薬候補で、21年後半の臨床試験入りを目指す。

今回の買収完了後、マーベリックは武田の研究開発組織の一部として存続し、マーベリックの従業員はそこに所属する。

武田のOncology Therapeutic Area UnitのHeadであるChristopher Arendt氏は、「当社の研究開発戦略やがん治療の新たなアプローチの追求において、パートナーシップは最重要課題だ」とした上で、「マーベリック社の最先端の基盤技術であるCOBRAが当社のがんポートフォリオに加わることは素晴らしいことであり、生物学的製剤を一定の条件化で活性化するように改変する新たなアプローチは固形がんに対する免疫リダイレクト療法の進展に寄与する」とコメントした。

マーベリックのJames Scibetta CEOは、「武田薬品の今回の買収オプション権の行使は、当社のチームが固形がんの患者さんの治療成績を改善することに集中して取り組んできたことの証だ」とし、「買収により、リソースの拡大や武田薬品の経験が加わることでCOBRAを基盤とする治療薬の開発が加速され、患者さんは恩恵を受けることになる」とコメントした。
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