武田薬品のクリストフ・ウェバー代表取締役社長兼CEOは10月30日、2025年度第2四半期決算説明会に臨み、中国Innovent Biologics社との戦略的提携により後期開発段階にある次世代型固形腫瘍治療薬のパイプラインが強化されたと期待感を表明した。グローバルオンコロジービジネスユニットのテレサ・ビテッティ・プレジデントも米ボストンからオンラインで参加し、「2030年以降に向けた重要な成長ドライバーになる」と強調。戦略提携品のうち、非小細胞肺がんや大腸がんを標的とする「IBI363」は初期適応症で400億米ドル以上、胃がんや膵管腺がんを標的とする「IBI343」は約80億ドル以上の潜在市場が見込めると強調し、「オンコロジー領域での将来のリーダーとしての地位を強化する」と意欲を示した。
武田薬品とInnovent Biologics社は10月21日に、PD-1/IL-2α Biased二重特異性抗体融合タンパク質の「IBI363」と、CLDN18.2を標的とする抗体薬物複合体(ADC)「IBI343」の2剤について、中国・香港・マカオ・台湾以外の全世界におけるライセンスおよび提携契約を締結した。また、初期開発段階のEGFR/B7H3二重特異性抗体薬物複合体(ADC)「IBI3001」のライセンスオプションも取得した。この戦略的提携により武田薬品は、固形がん領域で次世代のがん免疫療法におけるバックボーンおよび抗体薬物複合体(ADC)の後期開発段階のパイプラインを強化することができた。
◎テレサ・ビテッティ・プレジデントは、「このディールは戦略的に重要だ」
テレサ・ビテッティ・プレジデントは、「このディールは戦略的に重要だ。中核となる最先端の候補物質を獲得した」と強調する。同社のオンコロジー注力領域は、血液がん・骨髄系腫瘍(AML/MDS、CML/MF、PV)が中心だったが、今回の戦略的提携により、非小細胞肺がん、頭頸部扁平上皮がん、小細胞肺がん、さらに大腸がん、胃がん、膵がん、肝細胞がんなど幅広い固形がん領域で、ADCを含む次世代型モダリティのパイプラインを強化することができた。テレサ・ビテッティ・プレジデントは、「この提携に含まれるプログラムは、タケダが目指すオンコロジー戦略に完全に合致している」と語り、「オンコロジー領域での将来のリーダーとしての地位を強化する」と強調した。
◎「IBI363」の市場ポテンシャルは400億ドル 「IBI343」で約80億ドル
一方で、市場ポテンシャルについては、「IBI363」の初期適応症となる2次治療/がん免疫療法難治性非小細胞肺がんで140億米ドル、1次治療非小細胞肺がんで230億米ドル、1次治療 大腸がんで90億米ドルをし、あわせて400億ドルの潜在市場があるとした。また、「IBI343」の対象となる胃がん、膵管腺がん(PDAC)で約80億ドルを見込み、今後、開発を加速させ、2030年以降の成長ドライバーとしての期待感を表明した。
◎ビバンセのGE影響は「上半期がピーク」 細胞療法中止の関連で減損損失582億円
古田未来乃チーフ フィナンシャル オフィサー25年度第2四半期決算について、ビバンセの米国での特許切れ(2023年8月)に伴いジェネリック品の影響から1000億円の減収になったと報告。一方で効率化による営業コストの削減などで、「コア営業利益への影響は一部軽減できた」と強調した。またビバンセのジェネリック影響については、「上半期がピーク」と見通し、通期については「成長が改善の見込み」と述べた。このほか財務ベースの営業利益は、細胞療法の取り組みの中止に関連する無形資産の減損損失582億円が影響した。
【連結業績(前年同期比) 25年度通期予想(前期比)】
売上高 2兆2194億8100万円(6.9%減) 4兆5000億円(1.8%減)←修正前4兆5300億円
営業利益 2535億6100万円(27.7%減) 4000億円(16.8%増)←修正前4750億円
親会社帰属純利益 1124億4100万円(40.0%減) 1530億円(41.8%増)←修正前2280億円
【グローバル主要製品売上(前年同期実績)通期予想 億円】
【消化器系疾患】
ENTYVIO 4792(4732)9550←修正前9820
GATTEX/レベスティブ 716(733)1450
タケキャブ/VOCINTI 689(643)1400←修正前1380
PANTOLOC/CONTROLOC 212(225)440←修正前410
DEXILANT 164(198)360←修正前350
リアルダ/MEZAVANT 138(134)270
RESOLOR/MOTEGRITY 36(113)70←修正前130
EOHILIA 42(23)>100%←修正前>190%
【希少疾患】
タクザイロ 1133(1110)2300
アドベイト 536(588)1550←修正前1610(予想はアディノベイト計)
アディノベイト/ADYNOVI 288(345)
エラプレース 491(531)960←修正前880
リプレガル 387(413)810←修正前830
ビプリブ 283(270)550←修正前530
リブテンシティ 221(155)450
ボンベンディ 114(104)250←修正前240
フィラジル 86(98)130←修正前120
アジンマ 48(24)>60%←修正前>50%
【血漿分画製剤】
免疫グロブリン製剤 3871(3910)1桁台半ば%の成⻑
アルブミン製剤 661(703)1桁台後半%の成⻑←修正前 1桁台半ば%の成⻑
ファイバ 174(236)320←修正前350
HEMOFIL/IMMUNATE /IMMUNINE 126(146)240
CINRYZE 72(82)140←修正前120
【オンコロジー】
アドセトリス 745(682)1420←修正前1380
リュープリン/ENANTONE 586(604)1160←修正前1150
ニンラーロ 414(474)800←修正前810
アイクルシグ 345(354)690←修正前720
FRUZAQLA 273(231)>10%←修正前>20%
アルンブリグ 178(182)390←修正前410
ベクティビックス 136(135)260←修正前270
ゼジューラ 73(72)150←修正前140
カボメティクス 44(44)80
【ニューロサイエンス】
VYVANSE/ELVANSE 1066(2032)2270←修正前2410
トリンテリックス 570(641)1220←修正前1250
インチュニブ 230(198)430←修正前420
ADDERALL XR 106(168)210←修正前190
【ワクチン】
QDENGA 211(199)550←修正前570
【その他】
アジルバ 25(58)70←修正前60
ホスレノール 48(39)90←修正前70
【国内主要製品売上(前年同期比) 億円】
ENTYVIO 96(11.9 %増)
GATTEX/レベスティブ 49 (7.6 %増)
タケキャブ/VOCINTI 514(4.1%増)
タクザイロ 18(9.7 %増)
アドベイト 13(11.2 %減)
アディノベイト/ADYNOVI 65(7.7 %減)
エラプレース 3(-)
リプレガル 40(5.5 %減)
ビプリブ 7(14.9 %増)
リブテンシティ 14(1,197.0 %増)
ボンベンディ 5(3.4%増)
フィラジル 11(12.9 %減)
アジンマ 10(99.0%増)
ファイバ 2(24.4%減)
アドセトリス 62(5.6 %増)
リュープリン/ENANTONE 144(2.7 %増)
ニンラーロ 31(4.8 %増)
FRUZAQLA(国内製品名:フリュザクラ) 32(-)
アルンブリグ 11(15.2 %減)
ベクティビックス 136(0.8 %増)
ゼジューラ 56(3.4 %減)
カボメティクス 44(1.4 %減)
VYVANSE/ELVANSE 18(27.1 %増)
トリンテリックス 72(15.0 %増)
インチュニブ 154(18.1 %増)
アジルバ 25(57.1%減)