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武田薬品・ウェバー社長 パイプラインの多様性に自信 21年度第2四半期はグローバル製品が牽引

公開日時 2021/10/29 04:53
武田薬品のクリストフ・ウェバー代表取締役社長CEOは10月28日、2021年度第2四半期決算は、売上高対前年同期比12.8%増の1兆7944億2300万円だったと発表した。潰瘍性大腸炎治療薬エンティビオなど、グローバル14製品が売上を牽引。ウェバー社長は臨床段階にあるパイプラインが約40あり、「一つの革新的技術や化合物に偏っているのではない。多様性があり、患者のアンメットニーズの高いところにフォーカスしている」と自信をみせた。売上を牽引すると期待を寄せたナルコレプシータイプ1(NT1)の治療薬候補「TAK-994」の臨床第2相の中止に踏み切った。ウェバー社長は同社のパイプラインの多様性に自信をみせ、「様々な場面で後退する場面もあるが回復力がある」と強調した。

同社の2021年度第2四半期決算では、グローバル14製品の売上高は6922億円で、コア売上高の42%を占めた。実質的な成長率は11.4%で、今後さらなる成長スピードの加速を見込む。ウェバー社長は、「2014年に我々はグローバル化を加速する旅に出た」と振り返った。2014年以前は、商業化しているグローバル製品はなかったとして、遂げてきた変革に自信をみせた。今後はさらなる研究開発投資の加速を見据える。非小細胞肺がん治療薬EXKIVITYが米国承認。移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染症治療薬Maribavir使用についてFDAの諮問員会が全会一致で推奨されるなど、成果もあがりはじめている。

◎固形がんへの細胞療法推進へ 英スタートアップ企業を買収

がん免疫療法、細胞療法のパイプラインも強化する。同日には、英スタートアップのGamma Delta Therapeutics社を買収したことも発表。同社は、ガンマ・デルタT細胞に基づく血液由来および組織由来の同種免疫療法を作成する目的で構築された技術を持つ。2017年にがんに対するガンマ・デルタT細胞技術の開発で提携しており、成果が得られたとして武田が買収のオプション権を行使した。買収は2022年6月までに完了する見通し。

ウェバー社長は、「現在の療法は固形がんには効かないと言われているなかで、固形がんに対して有効性が高いことが期待される非常に有望なテクノロジーだ。我々も買収に関しては非常に楽しみにしている。オンコロジー領域の細胞療法を推進してけると思っている」とコメントした。また、同社は京都大iPS 細胞研究所の共同研究プログラム「T-CiRA」を進める。ガンマ・デルタT細胞は、iPS細胞のテクノロジーを用いて開発を進めていることも説明し、「戦略的なシナジーも期待できる」と述べた。

◎パートナーシップ拡充に意欲 グローバル進出睨む内資系企業とも

パートナーシップの強化にも注力する。ハンター症候群におけるJCRファーマと提携したことに触れた。武田薬品が日本企業と契約を結び、日本国外でプログラムを商業化するのは初めてという。ウェバー社長は、「日本の企業で非常に有望な治療をもっているが商業化するためにサポートが必要だということであれば、喜んでお手伝いする。特に、重点領域については喜んでお手伝いしたい」と今後、パートナーシップのさらなる拡充にも意欲をみせた。

◎オレキシンフランチャイズに強いコミットメント TAK-994のP2中止も

一方で、同社が期待を寄せていたナルコレプシータイプ1(NT1)の治療薬として開発中の経口オレキシン作動薬TAK-994については、予期せぬ肝毒性の兆候が認められたとして、2つの臨床第2相試験の中止を決断した。今後もデータの分析を続け、2022年度中に今後の方向性を決定する方針。

ウェバー社長は、「重要な進歩を遂げるためには挫折、困難を経験する。それが科学の最先端を行くということ」との見解を表明。「TAK-994は重要なプログラムだが、幅広いパイプラインのひとつ」と説明。オレキシン受容体作動薬の有用性を評価し、「我々は大変強いコミットメントを示している」と述べ、プロファイルの異なる新規オレキシン受容体作動薬候補への投資を継続する姿勢を強調した。長時間作用型経口オレキシン受容体作動薬の「TAK-861」が臨床入りするなど、複数のアセットを有しているとして、開発を加速する姿勢を示した。

◎光工場への再査察「自主的な是正を望む」にステイタス変更

山口県光工場への米国食品医薬品局(FDA)の再査察の結果、検査分類を自主的な是正を望む(VAI)に変更されたことも報告した。FDAは、2020年6月付Warning Letterで指摘した事項は対処されたと判断し、本件を終了することを決定したという。ウェバー社長は、「終結でき、ステイタスが変わったことはプラスの進捗だ。私どもが品質基準を高く保ち、FDAと密に連携をとってきた証左だ」と述べた。

◎最大1000億円で自社株買い 13年ぶりに実施

同日最大1000億円の自社株買いを実施することも発表した。自己株式を除く発行済み株式の2.23%にあたる3500万株を上限に実施する。期間は21年11月2日~22年4月29日まで。自社株買いは、13年ぶり。

◎岩崎日本管掌 情報提供活動はデジタル活用で「落ちることなく加速」

このほか、国内の状況について岩﨑真人代表取締役日本管掌は、「日本の状況は以前から何か変わっているわけではない。コロナでデジタルを使ったオンライン等の情報活動が進んでいるということ。状況は、かなり早くから手を付けていた。私どもの活動は、落ちることなく、加速しながら情報活動が進んでいる。あわせて強調したいのは、コロナに対する取り組みについては全面的なエネルギーをかけながら間違いないようにやっている。コロナのパンデミックで重要な役割を果たしていると自負している」と述べた。


【21年度第2四半期決算(前年同期比) 21年度通期予想(前年同期比)】 
売上収益 1兆7944億2300万円(12.8%増) 3兆3700億円(5.4%増)
営業利益 3459億7900万円(60.5%増) 4880億円(△4.2%)
親会社帰属純利益 1836億4800万円(112.2%増) 1843億円(△51.0%)

【グローバル主要製品売上(前年同期実績) 億円】

(消化器系疾患)  4291(3798)13.0%
エンティビオ 2559(2070)23.6%
タケキャブ 491(400)22.9%
レベスティブ 368(332)10.9%
DEXILANT 257(284)-9.5%
PANTOLOC/CONTROLOC  199(215)-7.5%
リアルダ/MEZAVANT 117(116)0.8%
PENTASA 100(117)-14.0%
AMITIZA 39(124)-68.6%
RESOLOR/MOTEGRITY  64(50)28.7%
アロフィセル 8(3)184.6%
その他 88(88)0.0%
(希少疾患) 3001(2954)1.6%
(希少代謝性疾患) 842(796)5.8%
エラプレース 348(343)1.4%
リプレガル 259(250)3.9%
ビプリブ 210(188)11.4%
NATPARA/NATPAR 25(15)64.7%
(希少血液疾患) 1416(1428)-0.9%
アドベイト 613(634)-3.3%
アディノベイト 300(295)1.6%
ファイバ  202(206)-1.9%
RECOMBINATE  63(69)-9.0%
HEMOFIL/IMMUNATE /IMMUNINE 84(94)-10.5%
その他PDT製品  19(17)14.6%
その他 135(113)19.3%
(遺伝性血管性浮腫) 743(729)1.8%
TAKHZYRO 475(437)8.7%
フィラジル 143(151)-5.3%
CINRYZE  102(120)-15.1%
KALBITOR 22(20)8.0%
(血漿分画製剤・免疫疾患) 2380(2059)15.6%
免疫グロブリン 1813(1627)11.5%
アルブミン 417(286)46.1%
その他 150(147)2.1%
(オンコロジー) 2337(2100)11.3%
ベルケイド 551(500)10.2%
リュープリン 539(499)8.0%
ニンラーロ 458(444)3.3%
アドセトリス 341(306)11.7%
アイクルシグ   179(168)6.0%
ベクティビックス 128(119)7.3%
アルンブリグ 62(43)46.2%
その他 79(22)257.3%
(ニューロサイエンス・神経精神疾患) 2337(2078)12.5%
バイバンス 1593(1326)20.1%
トリンテリックス 400(350)14.6%
インチュニブ 75(90)-16.8%
ADDERALL XR 96(90)7.3%
ロゼレム 63(59)6.3%
その他  110(163)-32.8%
その他  3598(2919)23.3%
アジルバ  404(399)1.1%
ロトリガ 161(157)2.6%
アイファガン 84(77)9.4%
ホスレノール 70(65)7.4%
ACTOVEGIN 67(49)36.3%

【国内主要製品売上(前年同期比) 億円】
(消化器系疾患) 519 18.8 %
エンティビオ 54 34.4 %
タケキャブ 460 17.1 %
レベスティブ 1 -
その他 3 -3.9%
(希少疾患) 141 -10.0%
(希少代謝性疾患) 10 -31.3%
エラプレース 4 -53.4%
ビプリブ 6 -4.7%
(希少血液疾患) 124 -7.9%
アドベイト 30 -9.6%
アディノベイト 73 -8.1%
ファイバ  4 -15.4%
その他 17 -2.0%
(遺伝性血管性浮腫) 7 -5.8%
フィラジル 7 -5.8%
(オンコロジー) 427 3.1%
リュープリン 151 -25.6%
ニンラーロ 30 22.4%
アドセトリス 57 0.5%
ベクティビックス 128 7.3%
アルンブリグ 5 -
その他 58 360.6%
(ニューロサイエンス・神経精神疾患) 160 -18.0%
バイバンス 2 -
トリンテリックス 24 281.6%
インチュニブ 18 -58.5%
ロゼレム 61 4.9%
その他 55 -38.0%
(その他)
アジルバ  404 1.1%
ロトリガ 161 2.6%
アイファガン 84 9.4%


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