アルフレッサHD 26年度予想に米国MFN影響を織り込み 「日本で新薬上市を見送るリスク等を加味」
公開日時 2026/05/19 04:52

アルフレッサホールディングス(HD)の荒川隆治代表取締役社長は5月18日の2025年度決算説明会で、医療用医薬品等卸売事業の26年度業績予想に、米国の最恵国待遇(MFN)価格政策による影響を織り込んだと説明した。「MFNの影響等で、製薬企業が日本での新薬の上市を見送るリスク等を売上計画に加味した」と述べた。福神雄介代表取締役副社長も、「一般論」とした上で、メーカーの求める薬価と厚労省提示の薬価との差が大きい場合、「国内上市に至らない状況が予想されている」と指摘。複数の市場調査会社の国内成長率見通しが下方修正されたことも引き合いに、「(売上予測に)低成長の見込みを織り込んだ」と述べた。
26年度の医療用医薬品等卸売事業の業績予想は、売上高は前年度比2.0%増の2兆8370億円、売上総利益は3.5%増の1706億円、販管費は4.2%増の1370億円、営業利益は0.9%増の336億円――。営業利益率は0.02ポイント低下の1.18%と予想した。
売上計画にMFNの影響をどの程度織り込んだのかは非開示。利益面は、流通改善ガイドラインの遵守と徹底を行い、過度な薬価差の偏在解消など適正価格での販売活動に努めるものの、人件費を含む物流費高騰などにより微増益を見込む。
◎25年度業績 増収増益も営業利益率は0.05pt低下の1.20%
25年度の医療用医薬品等卸売事業の業績は、売上高は前年度比5.4%増の2兆7825億8400万円、売上総利益は3.0%増の1647億5700万円、販管費は3.6%増の1314億5900万円、営業利益は0.7%増の332億9700万円――の増収増益だった。一方、営業利益率は1.20%で0.05ポイント低下した。
カテゴリー別の売上構成比は、新薬創出等加算品が43.9%(前年度40.5%)、特許品・その他が37.6%(39.9%)――で、特許期間中の製品群の合計で8割を超えた。一方、長期収載品は7.5%(8.6%)とシェアはさらに低下。後発品は11.0%(11.0%)だった。
◎医療用医薬品のみの卸売事業 市場超えの5.9%成長を達成 ネオプライマリー戦略に手応え
25年4月の薬価の中間年改定によるマイナス影響や、人件費を含む物流費高騰など厳しい経営環境ではあったものの、「ネオプライマリー戦略」の推進やスペシャリティ医薬品等限定流通品の取扱いの増加などによる売上伸長で増収となり、増収効果により増益となった。荒川社長は、医療用医薬品市場の25年度成長率が3.9%のところ、ネオプライマリー戦略の貢献で市場を大きく上回る5.9%の高成長を記録できたと胸を張った。
同社は、スペシャリティ医薬品でありながらも対象患者が比較的多く、専門病院に限らずプライマリー領域でも処方される製品を「ネオプライマリー」と呼称し、業界最多の2600人強のMSがネオプライマリー製品のプロモーションを行う「ネオプライマリー戦略」を25年度から本格的に開始した。製薬企業MR数が減少・適正化する一方で、処方医へ広く情報提供が求められるニーズに応える“少ないMR数を補完する卸機能”を提供している。
福神副社長は、ネオプライマリー製品は一般的なプライマリー製品と比べて「医療現場に対するサポートが必要で、やはりスペシャリティ製品の傾向がある」と言い、「プライマリーの広がりでそうしたサポートをどのように提供するかという多くの製薬企業の課題解決に貢献できたと考えている」と評価した。
◎「Mydodes」登録医師数は4割増の3.2万人に 医師と担当地域MRの連絡ツール
同社は、ヘルステックによる患者や医療機関の利便性等の向上、および製薬企業向けソリューションの提供で利益水準の向上を目指している。このプロダクトサービスのひとつが医師と担当地域MRの連絡・Web面談ツール「Mydodes(マイドーデス)」で、登録医師数は24年度の2万3106人から25年度は3万2738人に約40%増加した。
福神副社長は、「開業医のニーズにこだわった機能追加や事業展開を進めてきた」ことに加え、MSによる提案やサポートが登録医師数の伸びにつながったとの認識を示した。さらに、「登録医師数が増えるなか、製薬企業がこのチャネルを使いたいということも増えてきた」と明かし、「コミュニケーションは増え、使い勝手もよくなり、利用する先生も増えている。非常に良い展開が始まったと考えている」と述べた。