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住友ファーマ・木村社長 25年度に過去最高益 自己資本比率45%に 「再建から成長フェーズに移った」

公開日時 2026/05/14 04:52
住友ファーマの木村徹代表取締役社長は5月13日の2026年3月期(25年度)決算説明会で、過去最高益の達成と4月に実施した1100億円強の公募増資などにより、「自己資本比率は45%程度になった」と報告した。ラツーダクリフとその対策の失敗で約1300億円のコア営業損失を出し、自己資本比率が17.2%と危険水準まで低下した23年度からV字回復を果たした。また、親会社の債務保証や劣後債といった財務制約の解消も報告。「再建フェーズから成長フェーズに移った」と強調するとともに、3期連続で無配だった株主還元も「今後の業績動向を踏まえて決定する」と年度内の復配に含みを持たせた。

◎25年度コア営業利益 145%増の1059億円 オルゴビクス牽引、アジア事業譲渡益490億円も

25年度連結業績は、売上収益は前年度比13.7%増の4533億円、コア営業利益は145.4%増の1059億円、営業利益は272.6%増の1073億円、親会社帰属当期利益は352.2%増の1069億円――となり、各利益段階で過去最高を達成した。

2ケタ増収をけん引したのは、北米基幹製品の経口前立腺がん治療薬・オルゴビクスと過活動膀胱治療薬・ジェムテサの大幅な伸長となる。オルゴビクスは86.6%増の1550億円、ジェムテサは46.0%増の960億円を売り上げた。オルゴビクスは年間売上5億ドルを達成したことから、ファイザーから販売マイルストン1億ドルも計上した。一方、国内事業は7.5%減の924億円と苦戦。25年6月のエクメットの後発品参入や同年12月のエクア・エクメットの販売提携終了の減収影響が大きかった。

過去最高益の主な要因は、売上拡大に加え、経営再建に向けた販管費のコントロールや研究開発の絞り込み、丸紅グループへの中国・アジア事業の段階的譲渡に伴う一部譲渡益490億円を計上したことによる。

◎26年度は増収減益予想も実質成長トレンド 日本も5%増収へ

26年度の業績予想は、売上収益は19.1%増の5400億円、コア営業利益は14.1%減の910億円、営業利益は16.2%減の900億円、当期利益は27.9%減の770億円――と増収減益を見込む。ただ、各利益の2ケタ減益は、前期に計上した中国・アジア事業の譲渡益の反動によるもの。木村社長は「前期のアジア事業の490億円を除くと、26年度も増益になる。我々の事業構造は回復できている」と述べ、実質的には成長トレンドにあると説明した。

26年度の売上は、オルゴビクスやジェムテサが引き続き大きく伸長する計画だ。オルゴビクスは年間売上10億ドル達成による販売マイルストン3億2500万ドルが受領できることも織り込んだ。結果として、アジア事業の減収などをカバーして、全体で2ケタ増収を計画する。国内は、エクア・エクメットの売上消失(87億円)に対し、ツイミーグなどの売上最大化や、新規提携品のゼプリオン・ゼプリオンTRIで売上171億円を達成するなどして5%の増収を目指す。

◎抗がん剤2製品の最速上市へ 「新しいパートナーを探す」

木村社長は説明会で、26年度の研究開発費として前年度比70億円増の510億円、再生・細胞医薬分野などへの設備投資/投融資に120億円を投じる計画を示した。

研究開発費の増額は、次期成長ドライバーと位置付ける抗がん剤2製品(enzomenib、nuvisertib)の最速上市・価値拡大などを図るため。26年度中に、選択的メニン阻害剤enzomenibの急性白血病に対するフェーズ2中間解析結果が判明するほか、PIM1キナーゼ阻害剤nuvisertibはFDAとの協議を踏まえフェーズ3推奨用量が決定する予定だ。木村社長は、「これらのマイルストン達成をトリガーに、新しいパートナーを探す活動を再開する」と今後の方針を述べた。

◎iPS細胞由来製品アムシェプリ 年内に1例目投与へ 本承認申請は32年度を予定

主な設備投資/投融資先は、再生・細胞医薬事業を担う住友化学との合弁会社のRACTHERA(ラクセラ)及びS-RACMO(エスラクモ)となる。住友ファーマが今年3月に条件及び期限付き承認を取得した、パーキンソン病向けの非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞・アムシェプリの本承認取得に向けた製造販売後臨床試験(フェーズ4)や製品製造に充当する。アムシェプリは7年以内に本承認を取得するためのフェーズ4及び全例を対象とした使用成績調査が求められている(記事はこちら

木村社長はこの日、今年10~12月に1例目への投与を目指し、29年度中にフェーズ4で求められている患者登録35例を完了させる具体的なスケジュールを明かした。実施施設数は7施設とする計画。2年間のフォロー期間を経て、32年度に本承認に向けた申請、33年度に本承認取得を目指す構えだ。フェーズ4の患者登録完了後は、施設数や投与患者を拡大する計画で、こちらは全例を対象とした使用成績調査を行う。

◎木村社長 本承認取得に向けフェーズ4を「しっかり進めたい」 

木村社長は、「条件及び期限付き承認品目で本承認に至った例はない」とした上で、「今回のフェーズ4でしっかりデータを示せれば、厚労省・PMDAとしても本承認すると言っていただいている」と明かした。ただ、「施設数や投与患者数が増える中で、しっかりデータが出せるかについては、自信はあるが、緩みがあればうまくいかないのが治験。しっかり進めたい」と気を引き締めた。

◎約5530万円の薬価もコスト抑制を模索 「利益を出して投資回収するのも我々の責務」

また、この日の中医協総会で、アムシェプリ(18瓶1組)の薬価が5530万6737円とすることが了承され、20日に保険収載される。木村社長は「保険収載いただけることに非常にありがたく、ホッとしている」と感想を述べた。

ただ、薬価算定をめぐり当局との間で、開発費やランニングコストの高さを理由に、「もう少し高い薬価をつけてもらいたいと申し上げていた」とも明かした。今回の薬価に「少し残念ではあった」と吐露しつつ、「メーカーとして、決まった薬価の中で利益を出して投資回収できる形に仕上げるのも我々の得意とするところであり、責務だ」とし、様々なコスト抑制策を検討する意向を示した。

【25年度連結業績 (前年同期比) 26年度予想(前年同期比)】
売上収益 4532億9400万円(13.7%増) 5400億円(19.1%増)
コア営業利益 1059億800万円(145.4%増) 910億円(14.1%減)
営業利益 1073億3800万円(272.6%増) 900億円(16.2%減)
親会社帰属純利益 1068億6500万円(352.2%増) 770億円(27.9%減)

【25年度の国内主要製品売上高(前年同期実績) 26年度予想、億円】
ラツーダ 137(132) 136
ツイミーグ 108(76) 119
メトグルコ 74(73) 76
エクア・エクメット 87(249)
ロナセンテープ 50(46) 44
ゼプリオン・ゼプリオンTRI 32(-) 171
オーソライズドジェネリック品 121(114) 112
*エクア・エクメットは25年12月で販売提携終了

【25年度の北米基幹3製品売上高(前年同期実績) 26年度予想、億円】
オルゴビクス 1550(831) 2099
マイフェンブリー 144(128) 154
ジェムテサ 960(658) 1063
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