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【アジアスポットライト】中国 画期的医薬品への要求高まる

公開日時 2012/11/13 04:00

中国の医薬品市場はほとんどがブランドジェネリックだが、人口構成の変化は画期的医薬品への要求が増加していることを示唆し、ほとんどの多国籍企業の商業戦略はブランドジェネリック画期的医薬品をミックスしたものとなっている。The Monitor Group、BayHelix、PharmAsia News(The Pink Sheet姉妹誌)が共同でまとめた「The PharmAsia Summit Report –China 2012: Creating Value in a Rapidly Changing Landscape」(急速に変貌する状況における価値を創造する)と題する調査報告書で明らかになった。


同調査は、多国籍企業の幹部らにアンケート調査を実施、中国戦略を尋ねた。回答者の4分の1が中国を国際戦略のトップに掲げ、42%が優先順位の2番目か3番目に挙げた。2%のみが、当該企業の国際戦略のトップ5に入っていないと答えた。ほとんどの回答者の企業は国際的な売上をほぼ画期的医薬品で上げており、3分の2は中国に支店を持っている。そして、これら幹部の29%はアジア太平洋を管轄、36%はグローバルな責任を負っている。


同調査結果から以下の特徴が浮かんだ。


1) 中国のライフサイエンスは岐路に立っている。
2) 今後の成長を牽引するには新たな商業モデルが必要だ。
3) 中国の企業戦略とその実行の間に断絶があるようだ。
4) グローバルな研究開発(R&D)における中国の役割が変貌し、中国で製品を開発する企業はベストのポジションに立つようになる。
5) 多国籍企業は、中国を今後5年で創薬や世界で最初に上市し、輸出する面においてグローバル企業を凌駕するようになると見ている。


回答者らは、どのようなアプローチが中国市場を牽引するのかは、中国政府はイノベーションを促進するための基幹産業としてバイオテクノロジーを重視しているが、どのようにその政策が展開されるかが不透明なので不確実だとしている。中国政府は、2010年にGDP(国内総生産)の5%を占めている7つの業界を2015年にはGDPの8%、2020年にはGDP15%へと成長させる計画だ。


グローバルなライフサイエンス企業の中国人経営幹部らで組織するBay HelixのJimmy Zhang会長は、「中国政府のゴールは不可能だ」と指摘しながら、「多国籍企業は米国あるいは欧州での早期段階の製品を低コストで開発するために中国へ持ち込み、このゴール達成のために今後5年間で承認取得できるように中国以外に目を向けるべき」と医薬品産業の進むべき道を提言した。現在、Accletis Inc、BeiGene Ltd、Hua Medcicine Ltdがこの方向でビジネスを展開しているという。


中国でビジネスを展開するうえで、売上を拡大するために大都市に集中するのか、中小都市へ進出するのかという商業上の課題がある。回答者のほとんどは両面作戦を取っていると答えている。しかし、Monitor Group傘下のAsia Life ScienceのGeorge Baeder氏は、「単に製品による、特に画期的医薬品の売上を伸長させるためにMRを増員させるという古典的なビジネスモデルでは外的な障害が存在するところでは十分でない」と指摘する。同氏は、イノベーションに集中しながら、中小都市への地理的拡大を目指すのは難しいと説明する。だが、その解決策は、Hisin-Pfizer PharmaceuticalsやMSD-Simcere Joint Ventureのような多国籍企業と現地企業の合弁企業のようにパートナーシップの活用によりブランドジェネリックで地理的拡大を図ることにあるという。


なお、アンケートの回答者は外部な障害として以下の点を挙げている。


1) 遅い製品の承認:80%の回答者。
2) 画期的医薬品が保険償還でカバーされない:58%。
3) 売上を制限するような保険償還の上限の設定:33%。


中国のヘルスケア改革のゴールは、13億人の国民に対する皆保険だが、画期的医薬品については政策の優先順位に入っていない。しかし、広東省では、肺がん治療薬タルセバ(エルロチニブ)やイレッサ(ゲフィチニブ)に月2500ドルを給付するパイロットプログラムも開始されており、今後、中国の人口構成の変化が中国政府に画期的医薬品へのアプローチを見直させることを示唆している。


一方、企業の内的な障害も浮き彫りになっている。回答者は成功を妨げるトップ3の要因として以下を上げている。


1) 現地チームの能力:38%。
2) 市場に対する質の高い洞察の欠如:33%。
3) 大きなインパクトのあるマーケティング計画の欠如:27%。


Baeder氏は、「我々は、ジェネリック医薬品を非常にうまく売る組織を作ったが、すぐに画期的医薬品が必要とする洗練されたレベルが必要となり、必要とされるスキルが(現実と)マッチしなくなった」と話し、画期的医薬品への対応や変化の速さへの対応が必要なことを示唆した。


報告書は、「人材育成、スキルの創造、プロセス形成、チームワーク創出、リーダーシップの形成へのチャレンジなくしては、長期間、毎年20%-30%の成長をする産業や企業はほとんどない」と指摘した。企業は厳しい競争を経て、高い利益を獲得する。


イーライリリーのGlobal External R&D Asia担当副社長のTony Zhang氏は、「中国は、私を含め、誰しも驚かせてきた」と述べたうえで、「業界はR&Dの問題を抱えている。いつ業界が欧米で行ってきたような大量の投資を中国でするかだ」と問題点を指摘した。


The Pink Sheet  10月8日号
 

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