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イーライリリー・リックス会長 肥満症など学会横断WGと産学連携 ケアモデルやエビデンスの構築支援

公開日時 2025/10/16 04:51
イーライリリー・アンド・カンパニーのデイビッド・A・リックス取締役会長兼最高経営責任者は10月15日、東京都内で記者会見に臨み、肥満症対策の産学連携パートナーシップに関する覚書を締結したと発表した。産学連携において、疾患啓発活動や肥満症に関する治療パスの構築、肥満症を疾患として治療するエビデンスの構築などに取り組む考えを表明した。また、虎の門病院の門脇孝院長は会見で、日本医学会連合の呼びかけで2017年に日本肥満学会など23学会による「領域横断的な肥満症対策の推進に向けたワーキンググループ」が立ち上がったと説明。「領域を超えて英知を結集し、横断的に対応することが求められる」と強調した。

デイビッド・A・リックス会長は会見で産学連携パートナーシップの意義について、「現在の肥満症治療薬の最適使用推進ガイドラインでは治療できる医療機関が都市部に集中する傾向がある」との認識を表明。「治療への公平なアクセスを確保することは、今後も重要な課題の1つになる」と指摘した。また、「肥満症に対する科学的根拠に基づくケアモデルを確立し、肥満症の治療成果と医療制度の持続可能性の両面を支援していきたい」と意欲を示した。

◎虎の門病院・門脇院長 領域を超えた協働「エビデンスづくりや診療連携にもつながる」

虎の門病院の門脇院長は会見で、今回の産学連携に至るバックグラウンドに触れ、「肥満症は全身の様々な健康障害を合併する。2型糖尿病は最も有名なものだが、それ以外に脂質異常症や高血圧、さらには肥満関連腎臓病に至るまで、肥満症の診断基準に必要な健康障害が一つでもBMI25以上に合併すると肥満症と言われる」と説明。「肥満症という疾患は、単に対象疾患であるだけではなく、様々な全身の合併症や健康障害を伴う疾患だ」と述べ、内科・外科系学会だけでなく、整形外科系や基礎医学、社会学系学会なども結集して肥満症対策を検討する意義を強調した。また、肥満症撲滅を目指して領域を超えて協働することは、「肥満症のエビデンス作りでもあるし、肥満症の診療連携も可能となる。さらに協働して社会に対する知識の普及や啓発といった活動にもつながる」と述べ、産学連携を推進する意義を語った。

◎領域横断的なWG・山内委員長「疾患の理解を深める上で重要な時期になった」

会見に出席した日本肥満学会の山内敏正副理事長(領域横断的な肥満症対策の推進に向けたワーキンググループ委員長)は、「肥満症治療薬が登場し、治療できる時代になったということが疾患の理解を深める上で重要な時期になったと考えている」と強調。「まずは日本人、アジア人についてどのようなタイミングで減量すると健康障害にどう影響を及ぼすのか、どんな効果が得られるか、エビデンス構築について23学会が集まってディスカッションしたい」と述べ、産学連携の機会を通じて横断的な取り組みを進めることに意欲を示した。

◎門脇院長 美容痩身での肥満症治療薬「大変大きな問題だと認識している」

一方で美容痩身への肥満症治療薬の使用について門脇院長はコメントし、「大変大きな問題だと認識している」と強調。日本肥満学会も警鐘を乱打し、学会のホームページに声明を掲載していると報告した。また、「肥満症治療薬は一定の条件を備えた肥満症の患者の健康障害を改善する。ベネフィットは肥満症の患者さんにある」と述べ、「そもそも肥満症という健康障害を伴っていないのであれば、医学的な立場から言うと、その患者さんにベネフィットがない。急激な痩せや不健康な痩せにつながることで、逆に副作用や健康障害を起こす。全くメリットはなく、様々な有害事象が起こる」と述べ、「学会として、そのような使われ方をしないよう推奨している」と改めて注意喚起した。
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