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「総選挙後」に苦悩する医師会 第2回・迷いを露呈

公開日時 2009/07/27 04:00

第2回 迷いを露呈 

 日医が与党との駆け引きで一歩下がった、あるいは迷いを露呈した象徴的な問題がレセプトオンライン請求義務化への対応問題だ。日医は5月29日の段階で竹嶋康弘副会長名の文書で郡市区医師会あてに、レセプトオンライン請求完全義務化の厚労省方針に対する「対応指針」を通告した。日医活動としては極めて異例な対応だ。周知の通りレセプトオンライン請求の問題については、来年4月からの完全実施の方向を目指す厚労省、政府の規制改革会議と、零細で高齢のIT対応の難しい診療所の切捨てにつながるとして、レセプトオンラインに対応できる医療機関だけが、「手挙げ」でシステムに参加する方式を取るべきだとする医師会の主張がぶつかりあってきた。特に診療所や歯科診療所の反発は強く、神奈川県や大阪府では、訴訟団を結成しての集団提訴も起されている。

 5月29日の指針は、こうした医師会の方針を実質的にかなり大きく転換させる内容を持ち、完全義務化もやむなしと受け取れる内容だ。むろん少数の対応ができない医療機関に対するサポートや、機器更新のサポート、実施時期の延期なども盛り込まれてはいるが、「義務化」を阻止するという考え方からは遠のいたことは事実だ。

 ここではレセプトオンライン請求完全義務化の問題は措いて、この竹嶋副会長の通知文書が持つ意味を考えてみよう。異例な対応だが、何が異例か。第一は、なぜ会長名ではなく副会長名か。第二は、都道府県医師会ではなく郡市区医師会に直接通告されたこと、第三は、都道府県医師会をスルーしながら公式通告の扱いではなく内部文書の形をとったことだ。第一の問題については、これは完全な内部文書であり、指示事項でもなく経過報告に近いものだったので、会長名にしたという理由が憶測されている。しかし、分かりやすくいえば、この通告が経過報告だったにしても、現在の交渉の相手方が現政府であり、総選挙で政権交代となれば、また新たな対応が必要となる。そのときに「竹嶋文書」は、日医の公式指示ではないといういい訳ができる。新政権に対し、新たな対案提示の余地を残しておこうということだ。こうした手法を使わざるを得なかったこと自体、日医が政治勢力の中で力を失っていることを示してしまうという計算が働いていない。

 第二、第三の理由、背景もそうしたことの組み合わせにつきる。日医は内々に、戸惑う都道府県医師会に対して、「都道府県医師会サイドから、郡市区医師会からの明確な対応を示せという質問にどう答えたらいいのかという問い合わせが増えてきた。このため、日医から直接、郡市区医師会に通告した」という説明が行われているときく。しかし、都道府県医師会にしても、「手挙げ」を前提に行動をとってきたところが大半であり、その方向の実質的転換を直接、郡市区に行われたことには不信も募る。

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