ノバルティス 医師のニーズに合わせた提案型営業を徹底
公開日時 2010/02/10 04:02
ノバルティス ファーマの三谷宏幸社長は2月9日、東京都内で開いた09年業績の記者会見で、09年から営業戦略を見直し、これまでのMRの一方的なトークの組み立てから、処方医の情報ニーズの掘り起こしに始まって、処方医のニーズに合わせた提案型の営業を展開していることを明らかにした。更にこれまでは「ディオバン+α」のディテールが中心だったが、2製品以上のディテールを行うよう徹底したという。1MRとの平均面談時間が5分未満の医師が7割に上るほどの医師超多忙時代でも、MRの1人当たり生産性を高めるのがねらいだ。また、同社は09年に6製品の上市に成功し、市販直後調査への対応といった課題も背景にあったようだ。
同社の09年の国内売上高は2977億円(ネット、前年比8.2%)。主力製品の売上高(薬価ベース)は、ARBディオバンが1400億円、抗がん剤グリベックが464億円、免疫抑制剤ネオーラル・サンディミュンが223億円――だった。09年には降圧配合剤コディオ、喘息治療薬ゾレア、慢性骨髄性白血病治療薬タシグナ、加齢黄斑変性症治療薬ルセンティス――の4製品同時承認の取得を含む計6製品(4製品+治療抵抗性統合失調症治療薬クロザリル、降圧剤ラジレス)の上市に成功。10年も、1月20日に2年連続4製品同時の承認取得(腎細胞がん治療薬アフィニトール、糖尿病治療薬エクア、降圧配合剤エックスフォージ、H1N1新型インフルエンザワクチン)を達成した。その一方で、訪問規制が厳しく、医師との面談時間も短くなっているため、三谷社長は「MRは進化する必要があった」と振り返った。
同社では、「顧客ニーズの理解による複数製品の最大化」に向けて営業活動を見直した。これまでの処方医に対する画一的・一方的なディテールから、▽処方方針の十分な理解▽処方医のニーズの掘り起こし▽具体的な患者像に合わせた選択肢の提案――ができる「マーケット・イン」の営業ができるよう工夫したという。さらに2~3年前から、「製品の“売り買い”から、病院の経営ニーズに応じた多面的な関係」の構築を目指して、MRも、病院経営・医療連携・国際共同治験に関する知見を深める取り組みをしていることも明かした。営業活動の見直しが効いたかどうかは不明だが、ディオバンは09年に、単月ベースの売上高で、ARBトップ売上高のブロプレスを2回抜いた。しかし現在は、「(ブロプレスに)やり返された状態」(三谷社長)という。
同社のMR数は約2360人。内訳は、循環器・代謝領域のMRが約1730人、移植・免疫、感染症・呼吸器、中枢神経、眼科の各領域に計約250人、がん領域が約380人――。