アジア伸長 北米下落 国内製薬上位4社海外売上高 製薬協政策研分析
公開日時 2010/05/24 04:00
日本製薬工業協会の医薬政策研究所が、国内製薬企業の上位4社の10年3月期決算の地域別海外売上高を分析したところ、アジア・その他地域は41.5%の増収に対し、世界最大市場で収益源の北米地域は4.5%の減収だった。アジア・その他地域の台頭ぶりを改めて示した。
武田薬品、アステラス製薬、第一三共、エーザイは全売上高の半分程度が海外から。4社合計の北米地域の売上高は1兆4032億円(4.3%減)、欧州地域は5468億円(3.7%増)、アジア・その他地域2354億円(41.5%増)だった。
北米地域の減収は、主力品の後発品攻勢や為替による目減りの影響があるとみられる。それに対しアジア地域の増収は、第一三共がアジアなど広く販路を持つランバクシー社を買収したことが背景にあるが、05年3月期を基点に傾向を見ても、アジア・その他地域は2.6倍もの伸びに対し北米は1.7倍にとどまっている。なお、欧州は1.5倍。
この日は製薬協加盟上場26社の10年3月期決算概況も発表し、薬価改定がなく、海外企業の買収が寄与したことで国内外とも伸びて、26社合計売上高は7兆4898億円で2.0%の増収。利益面では、前期にあった買収に伴う一時的な研究開発費の増加が今回なかったことや、特別損失が大きく減少したことで純利益は8257億円で71.9%の増益だった。11年3月期通期は、薬価改定や円高の悪影響があるものの、海外での企業買収に伴う売上高増の一方で、買収費用がかさむことで、1.6%の増収、11.3%の減益を見込む。