富士製薬・森田社長 25年上期は女性医療で計画に遅れ「下期にキャッチアップを目指す」
公開日時 2025/05/15 04:49

富士製薬の森田周平代表取締役社長は5月14日、2025年9月期第2四半期決算説明会に臨み、女性医療領域で計画に遅れが出ているとした上で「要因は明確であり、下期でのキャッチアップを目指す」と述べた。注力する月経困難症治療薬・アリッサ配合錠でも処方獲得に課題を抱えるが、「評価されている安全性に加え、有効性や忍容性も訴求していくことで幅広い年代に使っていただける位置付けを確立する」と訴えた。また、24年秋に承認申請を行ったバイオシミラー3製品の成分名について、アフリベルセプトBS、ゴリムマブBS、デノスマブBSと明らかにし、「いずれもファースト上市を目指す」と強調した。
25年9月期上期の連結業績は、売上高は前年同期比12.7%増の240億9500万円、営業利益は同59.7%増の23億500万円だった。新製品や承継品の販売が拡大して利益成長につながった一方、注力する女性医療領域では計画未達の製品もあった。その要因について製品ごとに具体的に示した上で、森田社長は「(市場縮小傾向とした)緊急避妊薬・レボノルゲストレル錠を除けば下期に向けて具体的な対策を対応済みか実行中にある。それぞれの対応を徹底していくことで、下期でのキャッチアップを目指していく」と述べた。
◎アリッサ配合錠 市場浸透に課題も「安全性に加え、有効性や忍容性を訴求」
24年12月に上市したアリッサ配合錠の売上は2億6300万円で通期計画(11億円)に比べて23.9%の進捗にとどまった。同剤の特徴として、LEP製剤(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤)に懸念される血栓症の発現に関連する血栓マーカーへの影響が少ないという安全性を強みにしており、ターゲット施設での採用率は通期目標60%を上期ですでに達成。一方で、安全性への評価により、血栓症リスクが高まる40代以降への処方に限定されている現状があるという。
森田社長は、「血栓症の発症年齢は40代以降に限らず、10~30代にも起こり得る。評価された安全性を強みと捉え、まだ十分に訴求できていない有効性や忍容性を訴求していく」と強調。「幅広い年代に安心して使用いただける位置付けを確立し、12月の長期処方解禁からの処方拡大に向けて取り組んでいく」と述べた。
◎アフリベルセプト、ゴリムマブ、デノスマブのBS3製品 先行品市場は1600億円規模
バイオシミラー事業では、すでに販売しているフィルグラスチムBS、ウステキヌマブBSに加え、24年秋に3製品の承認申請を行った。これまで製品名は明らかにしていなかったが、「大きな問題はなく順調に進捗している」として成分名をアフリベルセプトBS、ゴリムマブBS、デノスマブBSと開示した。3製品の先行品市場は薬価ベースで約1600億円に上る。予定する適応症について、三橋厚弥常務執行役員経営企画部長は「主力となる効能効果は販売時、もしくは販売からそれほど離れない段階でそろう状況だ」と説明。すでに他社で承認されている製品もあるが、上市品はなく、「承認取得し、すぐに販売できればファースト上市になると想定している」と述べた。
また、24年5月に上市したウステキヌマブBSについて、当初は先発品からの切り替えを見込んでいたが、森田社長は「想定より低い薬価がついたこともあり、バイオ医薬品が高額でステップアップ治療ができなかった人へのファーストバイオの位置づけとしての処方が始まっている」と説明。処方割合は先発品からの切り替えと同程度だとして、「今後はファーストバイオとしての価値を広めていくことで処方獲得をしていきたい」と語った。なお、ウステキヌマブBSは「将来の適応追加に備える」として1月に90mg製剤の規格追加を申請している。
【2025年9月期上期連結業績 (前年同期比) 25年9月期通期予想(前期比)】
売上高 240億9500万円(12.7%増) 533億6000万円(15.7%増)
営業利益 23億500万円(59.7%増) 48億5000万円(25.0%増)
親会社所有者帰属純利益 12億8700万円(69.8%減) 33億8800万円(45.0%減)
【2025年9月期上期主要製品売上高(前年同期実績) 通期予想、億円】
エフメノ 18.02(12.67) 37
ウトロゲスタン 10.77(11.35) 25
ファボワール 10.18(8.28) 24
ドキシル 8.24(9.09) 18
ラベルフィーユ 5.42(5.58) 12
アリッサ 2.63(―) 11
レボノルゲストレル 3.83(4.99) 10
フィルグラスチムBS 8.19(8.71) 17
ウステキヌマブBS 0.95(―) 3