サワイGHD 24年度決算は売上高6.9%増の1890億円の増収増益 選定療養追い風「5%程度」上積みも
公開日時 2025/05/15 04:52

サワイグループホールディングス(GHD)が5月14日に発表した24年度決算は、売上高が前期比6.9%増の1890億円、営業利益が11.7%増の208億円と増収・増益だった。23年12月の胃炎等治療薬・テプレノン品質試験不正での行政処分や24年5月の数品目の自主回収発生を受け、信頼回復活動が中心となった24年度上期の売上高は、前年同期比0.5%増の879億円と増収だったものの、当初計画の990億円には100億円超及ばず、通期業績予想を下方修正した経緯がある。本格的な営業活動を開始した下期の売上高は、24年10月から開始された長期収載品の選定療養を追い風に、前年同期比13.1%増の1012億円となり、修正後の下期計画960億円を50億円超上回って着地した。サワイGHDの木村元彦専務執行役員(沢井製薬社長)は決算説明会で「長期収載品の選定療養が5%程度の売上アップに貢献したとみている」と述べた。
◎積極的な限定出荷解除、薬価改定影響緩和などがプラスに
24年度下期業績が好調だったのは、選定療養制度導入のほか、積極的な限定出荷解除の推進により、既存品の新規採用金額が増加したため。同社では、24年7月以降、積極的な限定出荷解除を実施し、限定出荷品目数は24年6月末の208品目から、25年5月14日時点で84品目にまで減少している。また、24年度には良質な売上拡大に取り組み、▽薬価下支え制度の拡充により24年度の薬価改定の影響がマイナス1%に圧縮できたこと、▽流通価格政策を継続したこと、▽新製品上市による製品ミックス改善―などにより、24年度における販売単価は前期比プラス5.2%改善したという。
決算説明会で木村専務執行役員は、24年6月に発表した中計「Beyond 2027」(24~26年度)の進捗状況を説明。このうち、「GE内シェア拡大」施策については、「△未達成」と評価。同社IR担当者は「24年度の目標数字はもともと出していなかったが、足元は17.0%(販売数量161億錠)で、想定していたより少し弱い」と説明している。主に24年度上期において自主回収があったことや、販売を強く押しだせず、タイムリーに需要対応できなかったことが未達の要因という。25年度シェア予想は17.0%(168億錠)、中計最終26年度目標は20.5%(190億錠)となっている。
また、同社は、医薬品不足の早期解消を目指し、グループ全体で稼働率・生産効率を高め、収益拡大と改善に取り組んでいる。その「投資済み生産設備の稼働率向上と増産」施策については、「〇おおむね計画通り」と評価した。24年度の生産数量の合計(委託生産含む)は、当初計画の177億錠に対し、実績は166億錠だった。24年7月から稼働開始した第二九州工場新固形剤棟の生産数量は、承認書点検(承認書と実際の運用に齟齬がないのかの自主点検)の対応等により、当初計画3億錠に対し実績は0.7億錠と未達だった。25年度は合計で183億錠、26年度は190億錠を計画している。生産人員体制については、24年度の当初計画2802人に対し実績は2791人(23年度末比150人増)とほぼ計画通りに進捗。25年度末には3062人(271人増)を計画している。
この2つ(「シェア拡大」「生産設備稼働率向上と増産」)以外の「新製品の着実な開発と上市」「国内GE医薬品業界トップレベルの研究開発投資の継続」「本中計期間の生産能力増強」「適正価格での販売」等の施策は、全て「◎計画通り」と評価している。
25年度業績予想は、製品価値の維持に向けた取り組みを継続し、薬価改定の影響があるものの、売上数量増加等により、売上高は5.9%増の2002億円、営業利益は23.0%増の256億円の増収・増益を見込んでいる。
サワイGHDの澤井光郎代表取締役会長兼社長は業界再編の可能性について「いま求められているのは、供給不足の解消だ。これをいかにスピード感をもってやるかということに尽きると思う。再編はもっと先の話だろうと思う」と述べた。