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AHA/ASA 脳卒中2次予防GLを改訂

公開日時 2010/10/26 04:01

米国心臓協会(AHA)と米国脳卒中協会(ASA)は、「脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)のための脳卒中予防に関するガイドライン(GL)」の改訂版を10月21日(米国時間)、学術誌「Stroke」のOnline版で発表した。

GLでは、この間に構築されたエビデンスを受け、非心原性脳梗塞二次予防における抗血小板療法では、アスピリン、クロピドグレル、アスピリン+ジピリダモールのいずれも“受け入れられる”治療選択肢とした。また、強力な脂質低下療法を推奨したことが特徴となっている。GLの改訂は、2008年に一部改訂はあったものの、本格的改訂は2006年以来4年ぶり。

10月23日に東京都内で開かれた第2回ATIS Summit(主催:サノフィ・アベンティス)において、GL執筆者の1人である、米・Stanford University Medical Center・Neurology and Neurological Sciences教授のGregory W. Albers氏は講演中に今回のGL改訂に関しての見解を明らかにした。


◎アスピリンとクロピドグレル、ジピリダモールの併用も治療選択肢に


Onlineで発表された今回のGLは、前回(2006年、2008年Update版)と比べ、記載方法を大きく変更した。これまでは、推奨度が別に記載されていたが、今回は縛りを設けず、推奨度が文面に混在する記載方法となった。

非心原性脳梗塞患者に対する2次予防としては、脳卒中と心血管イベントの発症リスクを減少させることから、「経口抗凝固薬よりむしろ、抗血小板薬が推奨される」とした(推奨度:ClassⅠ、エビデンスレベル:A)。

治療薬の選択については、患者の危険因子、コスト、認容性などを考慮した個別化治療を求めた上で、初期治療として、アスピリン単剤(50mg/日~325mg/日)(推奨度:ClassⅠ、エビデンスレベル:A)、クロピドグレル単剤(推奨度:ClassⅡa,エビデンスレベル:B)。アスピリン+徐放性ジピリダモール(推奨度:ClassⅠ、エビデンスレベル:B)の3剤がいずれも初期治療として受け入れられる選択肢であることを明記した。クロピドグレル単剤については、前回のGLで、アスピリン単剤より優れている可能性がある点を推奨度Ⅱbで記載していたが、Ⅱaに格上げした。

Albers氏は、これら各抗血小板薬の使い分けについての考え方にも言及。アスピリンは、多くのエビデンスを持つ点や推奨される他の抗血小板薬と比較し非常にコストが安い点が特徴とした。これに対し、クロピドグレルは、「CAPRIE」試験で、脳梗塞、心筋梗塞、心血管系死亡の発症リスクがアスピリンに比べ、有意に低下していることが示されていることから、「初期治療として、アスピリンよりも有効性が高い」とを強調した。

Aggrenox(アスピリン+徐放性ジピリダモール)も、アスピリンと比較して、有効性が高い点を強調した。クロピドグレルとAggrenoxとの比較に関しては、「PRoFESS」試験の結果から、「クロピドグレルは、Aggrenox(アスピリン+徐放性ジピリダモール)に比べ、より安全で認容性が高い」とした上で、これらの観点からコストの問題などがなければ、クロピドグレルを初期治療として、使用しているとの考えを示した。

なお、PRoFESS試験は、実施当時、脳卒中の再発予防に関しては最大の試験。24時間以上症状が持続し、比較的最近発症した脳梗塞患者2万322例を対象に、降圧療法と抗血小板療法の有用性を同時に検討する2×2factorialデザインで実施された。

抗血小板療法のアームでは、主要評価項目の脳卒中の再発率においてAggrenox群のクロピドグレル群に対する非劣性が認められなかった(ハザード比:1.01、95%CI:0.92~1.11、P値=0.783)。一方で、懸念される頭蓋内出血は、クロピドグレル群で有意に少ない結果となった(ハザード比:1.42、95%CI:1.11~1.83、P値=0.006)。
また大出血は、有意差はないものの、クロピドグレル群で少ない結果となっている。


◎スタチンを用いた積極的な脂質低下療法をClassⅠで推奨


また、同日のATIS Summitで講演した一人である、Northwestern University Medical School・Neurology教授のMark J. Alberts氏は本GLのスタチンの投与に関して講演の中で触れた。

脂質について、「SPARCL」試験の結果などを受け、LDL-C>100mg/dLのアテローム性虚血性脳卒中患者やTIA患者に対するスタチンを用いた積極的な脂質低下療法は、脳卒中と心血管イベントのリスクを減少させるとした(推奨度:ClassⅠ、エビデンスレベル:B)。

治療目標としては、LDL-Cを半数の値にするか、またはLDL-C<70mg/dLにすることで、最大の治療効果が得られるとした(推奨度:ClassⅡb、エビデンスレベル:B)。

なお、SPARCL試験では、脳卒中の既往歴がある患者4731人を、①アトルバスタチン80mg投与群2365例②プラセボ投与群2366例――に分け、治療効果を比較。アトルバスタチン群はプラセボ群に比べ、出血性脳卒中の発生率が増加したものの、相対的に脳梗塞の再発リスクを16%、大血管障害の発症リスクを35%有意に低下させている。


【訂正】アスピリン+徐放性ジピリダモールの推奨度のエビデンスレベルに誤りがありました。正しくは、エビデンスレベルBです。訂正致します。(10月26日本文訂正済)

 


 

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