キッセイ 抗がん剤の血管外漏出治療薬を開発へ 厚労省の要請に手上げ
公開日時 2011/09/02 04:00
キッセイ薬品は9月1日、アントラサイクリン系抗がん剤の静脈内投与による血管外漏出を治療する世界で唯一の薬剤デクスラゾキサン(一般名)の国内開発・販売権を、オランダのスペファーム社から取得する契約を締結したと発表した。同治療薬は厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で国内開発の必要性が指摘されるとともに、開発企業の募集が行われた薬剤のひとつ。推定国内患者数が500例ほどとの状況もあって国内開発されていなかったが、キッセイが「未承認薬である本剤の開発に取り組むことは『純良医薬品を通じて社会に貢献する』との当社の経営理念に合致する」と判断し、手をあげたとしている。
がん患者では化学療法によって血管が脆弱化し、静脈内投与される抗がん剤が血管外に漏出しやすい状態になる。特にアントラサイクリン系抗がん剤では少量でも血管外に漏出すると、発赤や腫脹とともに疼痛もきたし、炎症の進行に伴って皮膚の壊死や難治性の潰瘍にいたる場合もあるという。
静脈内投与される抗がん剤の血管外漏出の頻度は0.1~6.5%とのデータがある。一方で、アントラサイクリン系抗がん剤の国内使用患者は年間約50万人のため、アントラサイクリン系抗がん剤の血管外漏出は少なくとも500例とされる。