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PhRMA AD治療薬開発に産官学の協力を強調

公開日時 2012/02/16 04:00

米国研究製薬工業協会(PhRMA)は2月7日、オバマ政権がアルツハイマー病(AD)研究に国家予算を追加投入すると同日発表したことを受け、これを歓迎、画期的AD治療薬開発にはPhRMAとして産官学関係者との協力を惜しまないとする声明を発表した。

PhRMAのJohn J・Castellani理事長兼CEOは、ADが患者、家族に強いる心身の過酷な負担について説明したうえで、コスト面に言及。「ADの医療費は年間1720億ドルに達している」とし、「米国アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Association)によれば、50年にはADは33秒に1人が発症、その医療費は1兆1000億ドルに達する」と人口高齢化に伴い、AD発症増加による医療費高騰への懸念を示した。

しかし、Castellani理事長兼CEOは、「ADの発症を遅延させる治療法が開発されればこの方向性は変えられる」とし、バイオ・医薬品企業が社会のニーズに応え、AD分野に多額の投資を行い、現在100剤程度のAD治療薬の研究開発に取り組んでいる実情を説明した。

PhRMA は会員企業が開発している新規薬剤として、(1)アミロイドβタンパクの蓄積を阻害し、神経原線維変化をもたらすタウタンパクを減少させる可能性のある経口剤、(2)ADの前駆症状といわれる中等度の認知障害に対する薬剤で脳関門を貫通できる経鼻吸収薬で、アミロイドβおよびタウタンパクを減少させることが示された、(3)脳の細胞死を防ぎ、記憶喪失を回復させるための脳へ神経成長因子遺伝子を使う遺伝子治療、(4)脳のアミロイドβタンパクを標的としたワクチン療法――などを挙げ、会員企業の努力を紹介した。

Castellani理事長兼CEOは、AD治療薬の発見は容易な仕事ではないとしながらも、「業界、アカデミア、連邦政府研究機関の協力は必ずベネフィットをもたらすことができる」と産官学の協力の重要性を指摘し、今後もPhRMAは関係者への協力を惜しまないとの考えを示した。その観点から、現在進行中の官民学協力プロジェクトであるAlzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative(ADNI:アルツハイマー病神経画像イニシアチブ)の取り組みを評価した。

ADNIは、連邦政府研究機関、医薬品業界、関連財団、大学などが、AD進展の度合いの定義、AD患者を対象とした臨床試験方法の改善、AD関連データベース蓄積などに取り組んでいる。同イニシアチブは5年間のプロジェクトで04年に第1次がスタート、10年には、第2次プロジェクトである、「ADNI GO」がスタートした。

オバマ政権は2月7日、NIH(国立衛生研究所)の今年度予算にAD研究に5000万ドルの追加を発表。同時に13年度予算ではAD研究に8000万ドルを追加することを議会に求める。このほかに介護者支援、国民へのADの啓蒙、データインフラ整備などに2600万ドルの追加予算も組み入れる。米保健福祉省(HHS)のKathleen Sebelius長官は、「我々は(ADへの戦いについての)行動を待つことは出来ない。AD患者や家族への負担を減少させることは国家的な喫緊の課題だ」とコメント、オバマ政権の取り組みを歓迎した。

オバマ大統領は11年1月に、ADの研究・介護・医療サービスなどに関する総合的政策を推進するための「全米アルツハイマー病プロジェクト法」に調印、同政権では同法に基づいて諸施策を展開しているが、今回の予算措置もその一環。

 

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