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【速報】薬価改定告示 リリカとアクテムラが25%下げ、アリセプト16.8%下げ

公開日時 2012/03/05 07:45

 厚労省は3月5日、12年度の薬価基準全面改定を官報告示した。長期収載品の追加下げ含め実質6.25%の引き下げを4月1日に実施する。その中で新薬創出加算が適用されたのは367成分702品目で、臨床の評価が高いが、競合も激しい新規2型糖尿病薬のDPP-4阻害薬では、武田薬品のネシーナと日本ベーリンガーインゲルハイム(NBI)と日本イーライリリーが併売するトラゼンタのみが適用を受け、明暗を分けた。市場拡大再算定は16成分48品目に適用され、臨床の評価が高いものの当初売上予想を大きく上回ったファイザーの疼痛治療薬リリカ、中外製薬の生物学的製剤で抗リウマチ薬アクテムラは引き下げ幅いっぱいの25%となった。エーザイのアルツハイマー型認知症薬アリセプトは2度目の拡大再算定品となり16.8%(規格によっては16.7%)引き下げられた。

新薬創出加算対象品目(別添1)→こちら
新薬創出加算対象品目を有する企業(別添2)→こちら
新薬創出加算相当額の返還品目(別添3)→こちら
特例引下げ対象品目(別添4)→こちら
市場拡大再算定品目(別添5)→こちら
小児適応等にかかる加算(別添6)→こちら

新薬創出加算(以下、加算)の適用品目は外資系メーカーが目立ち、適用品目数の上位10社(計11社)のうち9社を占め、内資メーカーは7位のアステラス製薬、10位の第一三共だけだった。上位10社は次のとおり。
1 グラクソ・スミスクライン(23成分51品目)
2 ファイザー(22成分43品目)
3 中外製薬(14成分35品目)
4 MSD(21成分34品目)
5 ヤンセンファーマ(16成分32品目)
6 ノバルティスファーマ(17成分30品目)
7 アステラス製薬(10成分25品目)
8 サノフィ・アベンティス(12成分24品目)
9 アストラゼネカ(10成分23品目)
10 第一三共(11成分22品目)
10 日本イーライリリー(6成分22品目)

新薬加算 DPP-4阻害薬はネシーナとトラゼンタが獲得 ジャヌビア対象外

加算の対象品目を見てみる。前回10年度薬価改定からこれまでに、経口血糖降下薬市場に大きな変革をもたらした新規機序のDPP-4阻害薬は、武田薬品のネシーナ(10年6月発売)とNBI/リリーのトラゼンタ(11年9月発売)が加算を獲得した一方で、DPP-4阻害薬でトップシェアのMSDのジャヌビア(09年12月発売)や、小野薬品のグラクティブ(09年12月発売)、ノバルティスのエクア(10年4月発売)は加算を得られなかった。武田薬品の価格政策は、最も市場競争の激しいARBでも“辛口”とされており、同社のこのような政策もあいまった結果とも推測できよう。トラゼンタは11年9月に発売したばかりということが反映したとみられる。

新規の糖尿病治療薬としては、GLP-1受容体作動薬のノボノルディスクのビクトーザ(10年6月発売)やリリーのバイエッタ(10年12月発売)はともに加算を獲得した。

市場競争が激化したアルツハイマー型認知症治療薬を見ると、トップシェア製品のアリセプトと作用機序が異なる第一三共のメマリー(11年6月発売)と、貼付剤であるノバルティスのイクセロンパッチ(11年7月発売)、同じく小野薬品のリバスタッチパッチが加算を獲得した。ヤンセンと武田薬品が同一製品名でそれぞれ販売しているレミニール(11年3月発売)は、作用機序及び投与経路が同系統のアリセプトが市場拡大再算定を受けたことに伴ってレミニールも同再算定の対象となり、12.5%の薬価引き下げとなった。

国内に6製品が上市されている抗リウマチ薬でも、市場拡大再算定を受けた中外のアクテムラが25.0%の薬価引き下げとなる一方で、▽田辺三菱製薬のレミケード▽ファイザー/武田薬品のエンブレル▽アボット/エーザイのヒュミラ▽BMSのオレンシア(10年9月発売)▽ヤンセンと田辺三菱が同一製品名で共同販売しているシンポニー(11年9月発売)――の5製品は加算を獲得し、明暗を分けた。

COPD治療薬、禁煙補助薬なども加算

市場が拡大中のCOPD治療薬もNBIのスピリーバ、グラクソ・スミスクライン(GSK)のアドエア、ノバルティス/エーザイのオンブレス(11年9月発売)はそろって加算を獲得。またCOPDの適応追加を申請中のアストラゼネカ/アステラスの気管支喘息治療薬シムビコートも加算を獲得した。潜在患者の掘り起こしもあって新規患者が増加している上に、COPD治療薬の薬価はほぼ維持されたため、同市場の一層の成長が見込まれる。

そのほか、禁煙補助薬や抗インフルエンザ薬もそろって加算を獲得したほか、オーファンドラッグ、抗がん剤、統合失調症薬、抗うつ薬、高用量抗菌薬、過活動膀胱治療薬などでも加算品目が目立った。また、心房細動患者に投与する経口抗凝固薬として約50年ぶりの新薬となったNBIのプラザキサ(11年3月発売)や、第一三共の経口抗凝固薬リクシアナ(11年7月発売)も加算を獲得した。世界で40年ぶりの新薬となった帝人ファーマの高尿酸血症治療薬フェブリク(11年5月発売)や、抗がん剤による遅発性の悪心・嘔吐に対する有効性が初めて確認された小野薬品のイメンド(09年12月)なども加算を獲得した。

一方、10年度改定で加算適用を受けながらも薬価収載から15年超または後発品が登場して加算要件から外れ、ルール上加算相当額を返還する措置がとられたのは32成分69品目に上った。

市場拡大再算定 アリセプトとフローランは新薬加算返還分も下げ

その市場拡大再算定は、原価計算方式の算定品目は最大25%、類似薬効比較方式の算定品目は最大15%の引下げを受ける。アリセプトと、GSKの肺動脈性肺高血圧症治療薬フローランは新薬創出加算の返還分も下げられた。

市場拡大再算定品(規格省略)とその引き下げ率は次のとおり。
▽セレコックス錠(アステラス製薬):14.9~15.0%
▽アリセプト錠、D錠、細粒、内服ゼリー(エーザイ):16.7~16.8%
▽レミニール錠、OD錠、内用液(ヤンセンファーマ):12.5%
▽リリカカプセル(ファイザー):25.0%
▽アーチスト錠(第一三共):12.4~12.5%
▽メインテート錠(田辺三菱製薬):12.4~12.5%
▽ネクサバール錠(バイエル薬品):16.2%
▽スーテントカプセル(ファイザー):16.2%
▽バルトレックス錠、顆粒(グラクソ・スミスクライン):15.0%
▽ファムビル錠(旭化成ファーマ):15.0%
▽静注用フローラン(グラクソ・スミスクライン):25.3~26.4%
▽ゾメタ点滴静注用(ノバルティスファーマ):15.0%
▽アリムタ注射用(日本イーライリリー):25.0%
▽エルプラット点滴静注液(ヤクルト本社):15.0%
▽アバスチン点滴静注用(中外製薬):8.8%
▽アクテムラ点滴静注用(中外製薬):25.0%




 

 

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