GSK バイオテクのR&D手法を試みる
公開日時 2012/04/18 04:00
グラクソスミスクライン(GSK)のMoncef Slaoui R&D担当会長は、同社のR&Dセミナーで、同社の戦略、目標、資本配分、生産性評価などについて講演、そのなかで、R&D組織の再編について話した。
同会長は、組織再編のなかかで、特に、2008年に設置した創薬パフォーマンスユニット(Discovery Performance Unit: DPU)の見直しが如何に同社にとって重要かを説明した。
DPUは、疾患別、生物学的パスウェイ別、すなわち治療方法別に区分した説明責任を持つ小規模かつ集中した科学者の集団から構成される。いわば、各ユニットがバイオベンチャー企業のような役割を果たすことが期待されている組織だ。
同氏は、GSKが持続的成長をするための戦略として、医療用医薬品、消費者向け製品、ワクチンなど多角化を図りつつ、製品価値を一層高め、コストをさらに削減するために経営モデルを単純化することを提言、そのためには、ビッグファーマを「ブロックバスター依存」から「ブロックバスターを生み出す能力を持つこと」に転換する必要性を訴えた。つまり、GSKがブロックバスターを生み出すために、GSKの科学者が追及するのはどの薬効領域でメディカルニーズがあるかかを決定することが重要だということになる。
Slaoui会長は、同社の戦略的目標に到達するためになすべきことを4つ上げた。1.後期パイプラインの再建、2.創薬エンジンの再設計、3.コスト・腎人削減によりR&Dリターンの向上、4.R&D資本投下に関する意思決定の改善。
同社は、過去5年間で、R&D経費を2-3億ポンド削減した。特に、ディスカバリーで10%削減したが、後期開発段階では4%増加させた。
Patrick Vallance医薬品R&D担当社長は、2008年から2011年の間のDPUの変遷を説明した。8つのDPUが新設され、6つが廃止、4つが薬効領域を変更、2011年にはDPUは40になった。DPUの予算については、6つは20%以上の投資増となったが、5つは20%以上の減で総額は前年と変わらなかった。
6つのDPUの責任者の講演が行われたが、その内容は、Slaoiu会長らが講演で話した研究組織再編の価値、イノバティブな科学の価値重視、多彩なDPU責任者の経歴などに真実味を与えた。
責任者らの講演は、GSKのR&Dのリーダーが如何に動機づけをし、R&Dに取り組んでいるかをユニークな色合いで話した。GSKは、過去4年間で11剤の新薬承認を取得、業界トップを走っている。現在、フェーズIIIおよび申請中には約30剤を持つ。そのうち15剤はデータ報告の準備中で、うち5剤は社内でのデータが十分で2012年には申請予定という。
GSKは後期開発段階のパイプラインについては目標を十分に遂行しているようだ。GSKが8-10年先にDPUを通して創薬プロジェクトが成功裏に行っているかどうかは大きな未知数だが。
(The Pink Sheet 4月2日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから