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GSKのDPUの現状は?順調との見方に懸念示す声も

公開日時 2012/05/15 04:00

グラクソ・スミスクライン(GSK)が2008年に設置した「創薬パフォーマンスユニット」(DPU)は、順調に運用され、昨年末、同社の初回見直しに耐え、「正しい方向に進んでいる」(同社Moncef Slaoui R&D会長)と評価された。

 
DPUは、疾患別、生物学的アプローチ別に区分した小規模集団で構成、小規模ベンチャーのような役割が期待されている。成果が上がらないとすぐに廃止されたり、再編されたり柔軟な機動性を持つ。DPUの普遍的な価値について注目が集まっている。
 
しかし、3月29日にロンドンとニューヨークで同時に開催された、R&D再編についてのセミナーでアナリストらから、R&Dに対するDPUアプローチについて、DPUが一貫して長期にわたりR&D生産性を改善するというエビデンスはまだないとDPUについて長期的には懸念を示す声が相次いだ。
 
UBS Investment ResearchのGbola Amusa氏は、GSKのR&Dへの新規アプローチ(DPU)について何らかの決定的な評価をするのは時期尚早と話している。また、Bernstein ResearchのTim Anderson氏らは、数年前、GSKはDPUと同じようなCEDDs(Center of Excellence in Drug Discovery)を提案したが、重要な化合物を創製することは出来なかったと警告している。
 
しかし、GSKは、2008年から11年の間に、11剤の新薬承認を取得している。この数字は他社より多く、Slaoui氏は、「全く素晴らしい数だ」と自己評価している。
 
GSKは、現在フェーズ3段階に30製品があり、今年、すでに5製品が申請を準備中。さらに年内には、フェーズ3が15試験完了予定などポートフォリオは豊富だ。そのため、同社のR&D内部収益率(IRP)は、業界平均の7.5%から8%に比べかなり高く12%程度となっている。
 
しかし、IRPの計算は複雑なので、別の会社のIRPとは厳密な比較は困難だ。GSKは、実際および予測売上、R&D経費、後期パイプライン上の医薬品の成功確率、投資額、税金などを考慮して算出している。
 
GSKのPatrick Vallance R&D担当社長は、DPUの成功率をGSK研究の科学専門誌における掲載頻度で評価する方法を提言している。過去4~5年間で20以上のGSK研究に関する論文が「Nature」や「The New England Journal of Medicine」に発表されたが、このことはGSKの研究レベルが高いことを示しているという。
 
研究開発の生産性が上がっていることはこのような実態でも浮き彫りにされるようだが、DPUの研究者へのインセンティブも不可欠だ。
 
Vallance R&D担当社長は、あるDPUがフェーズIIa終了時に医薬品の可能性のある物質を創製した際には研究者に少額の金銭的報酬を出し、発売にこぎつけたら高額の報酬が出される仕組みだと説明する。報酬は100万ポンド(160万ドル)から1000万ポンド(1600万ドル)になるという。
 
現在のところ順調に進んでいるように思われ、GSKのR&Dを一歩前へ前進させたようなDPUだが、Slaoui R&D会長は、DPUの見直しには、一時にすべてを見直すことは経営的に多くの時間を費やすために事実上不可能なので、見直しが躓く恐れがあると指摘している。今後のDPUの動向が注目されている。


(The Pink Sheet 4月9日号より)
 
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